目に映る佇まい、使う時の手触りや音、放つ香り… ラグジュアリーなアプローチでこその「用の美」の奥深さを、変わりゆく時代こそ見つめ直したい。そんな想いから『Precious』8月号では「五感で慈しむ『暮らしの名品』」と題して、日々を彩る名品を特集しています。

家で過ごす時間を慈しむようになり、2度目の夏を迎えました。暮らしを彩る名品と、その向き合い方までアップデートする…そんな絶好の機会ととらえてみませんか? ナビゲーターは松浦弥太郎さん名品との対話を尊ぶことで生まれる、真の豊かな暮らしへ―。

今回のテーマは「整える」。松浦さんは一日に何度も床や棚を清めて心をリセットするのだとか。愛用品の「内藤商店」のほうきと、「REDECKER(レデッカー)」のダスターをご紹介いただきました。

松浦 弥太郎さん
エッセイスト
(まつうら やたろう)2006年から『暮しの手帖』編集長を務める。2015年よりウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げ、現在「おいしい健康」共同CEO。10月29日より、初監督ドキュメンタリー映画『場所はいつも旅先だった』が公開予定。

「内藤商店」の棕櫚(しゅろ)のほうき、「REDECKER(レデッカー)」のダスター

名品_1,小物_1
■1:フック各¥22,550(HIKE〈カール・オーボック〉)、■2:ほうき[フローリング用]¥20,900(内藤商店)、■3:ダスター¥8,690(ザ・コンランショップ〈レデッカー〉)

「内藤商店」のほうきは棕櫚の産地、和歌山の職人の手仕事。松浦さんは穂が9つ束ねられた9玉タイプを愛用中。同様に天然素材を使っているのがドイツの「レデッカー」。オーストリッチの羽根が繊細なものを傷つけることなく埃を払ってくれる。

「掃除は『心を整える』という作用が大きい」

「掃除とは、汚れた場所を綺麗にするというより、僕にとっては『心を整える』という作用のほうが大きいのです。生きていると心が波立つことがたくさん起こります。だから原稿を書く前に、ミーティングの前に、一日何度も床や棚を清め、心をリセットするのです。

内藤商店のほうきは、使い始めてもう15年ほど。国産の棕櫚はしなやかで、埃を舞い上げずに部屋の隅々まで掃き清めてくれます。レデッカーのダスターは、豊かな羽根が装飾の細かな部分まで撫で上げてくれるのが心地いい。

ちなみに僕は、運転前に必ず車体をひと拭きします。事故を起こしませんように、というおまじないのようなもの。物に感謝することで心に余裕が生まれる。その作用を信じているのです」(松浦さん)

※掲載した商品は、すべて税込みです。

問い合わせ先

PHOTO :
本多康司
STYLIST :
来住昌美
WRITING :
本庄真穂
EDIT&WRITING :
兼信実加子、喜多容子(Precious)
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