大人らしいおしゃれには、女性らしさの要素が不可欠。でも、女性らしさはあまり前面に出し過ぎると頑張っている感が出てしまい、大人の余裕からは遠ざかってしまいます。

品があり、なおかつセンスのよいスタイルには、どこかに辛口の部分が必要なのです。すると問題は、甘・辛のバランス。スタイリスト・押田比呂美さんのアドバイスを頼りに、8つの事例から品があって頑張りすぎない甘辛ポイントを探っていきましょう。

■1:トップスがフェミニンならボトムスはワイドパンツでマニッシュに

カーディガン・パンツ・ネックレス・バッグ・椅子にかけたファーコート(シャネル)

コーディネートのポイントは、小さめシルエットのカーディガン。

押田さんが「まるでツイードジャケットのような風格のあるバイカラーカーディガンは、手にした瞬間、心のときめきを感じます。トップスに品があるぶん、ボトムはワイドシルエットでマニッシュに」と指摘する通り、この場合はボトムスでバランスを取るのが正解。

ふんわりとしたシルクカシミアのカーディガンはアイコニックなキルティング柄が施され、絵になる一枚。ワイドシルエットパンツ、それにクリアガラスのネックレスや淡色バッグでクリーンに仕上げましょう。

■2:白のセットアップは個性派小物でちょっぴり辛口をきかせて

トップス・パンツ・ジャケット(コロネット〈ザ ロウ〉)、バングル(デペッシュモード恵比寿本店〈グレコ〉)、ピアス(ストラスブルゴ〈サイモン アルカンタラ〉)、バッグ(JIMMY CHOO)

「こんなハリ感のあるシルクウールのセットアップなら、優しいはずの白でもキリッとした雰囲気に」と押田さん。白は合わせる小物によって表情が大きく変わるもの。頑張りすぎずカッコいい大人コーディネートの甘辛ポイントは?

「ここで淡色のバッグや時計を合わせては無難に終わってしまいますね。そこで、ホワイトベースのレオパードバッグやパイソン調の太バングルの出番。すべてを辛口にせず、料理のスパイスのようにちょっぴり辛みを効かせましょう」(押田さん)

あえて辛みのある小物を合わせることで、全体の印象を引き締めます。その上からふんわりと軽いカシミヤニットをかけることで、表情がまろやかになり、バランスの取れたコーディネートが完成します。

■3:ファー×デニムでミラノマダムのような余裕をまとう

ファーコート[ベルト付き]・ノースリーブブラウス・ジーンズ・バッグ・ファーチャーム[白]・[ブルー]・時計・靴(フェンディ ジャパン)

「ファーとデニムは正反対のようでいて、お互いを引き立て合う存在」と押田さん。

ゴージャスになりがちなファーコートをあえて色落ちデニムと合わせ、ミラノマダムのようなこなれ感や余裕をまとう楽しみ方も大人ならではのおしゃれ。「白&グレーのファーに水色のデニム……まるで澄んだ冬空のような清い色彩も、軽やかな印象をもたらす秘訣です」(押田さん)

毛足の長さに変化をつけたミンクコートは、ピアノの鍵盤をイメージしたもの。職人の手によって紡ぎ出されるバッグには、ハンドステッチが1522針も施されています。そうした確かな上質感も、大人の女性になってこそ手にできる味わいです。

■4:鮮やかな青のケープで冬の着こなしを変える!

ケープ・ワンピース・バッグ(エミリオ・プッチジャパン)、サングラス(イー・ヴィ・アイ PR〈ソルト〉)、ピアス・ブレスレット[一重]・[二重](アルテミス・ジョイエリ〈アルテミス・ジョイエリ〉)、リング(ストラスブルゴ〈ハム〉)、靴(セルジオ ロッシ)、タイツ/私物

「ケープはどちらかというと、かわいらしさが先行するアイテム」と自ら指摘する押田さん。甘辛バランス的には甘さが勝つのでは?

「視界にパッと飛び込んでくる鮮やかなケープがあれば冬の着こなしは変わります! 冴えたブルーを選び、ラウンドバックルが施されたチェーンバッグなど、辛口テイストの小物を加えましょう。街で見たら思わず振り返らずにいられない! そんなオーラが生まれます」(押田さん)

ウールをベースにカシミヤやシルクを混紡した伸縮性のあるケープは肌触りもよく軽やか。ベージュ系やブラック、グレーなど彩度の低いカラーが主流になりがちな冬だからこそ、目の醒めるようなブルーを身につける遊び心を忘れたくないですよね。

■4:ライダースジャケットで大人の色香を引き立てる

ライダースジャケット・トップス・スカート・チェーンバッグ(コロネット〈エルマンノ シェルヴィーノ〉)、ピアス・ブレスレット(ダミアーニ ブティック東京)、靴(JIMMY CHOO)

辛口フェミニンを引き立てるアイテムとして押田さんが次に提案するのは、なんとライダースジャケット。ちょっと辛口に振れすぎ? いえいえ、そんなことはないんです。「辛口アイテムの筆頭ともいえるライダースジャケットは、大人の色香を引き立たせる力があると思うのです」と押田さん。ただし、コーディネートには注意事項も。

「デニムにワークブーツという若い世代と同じようなカジュアルに転ぶのは御法度。立体的なカッティングやレースのあしらいなど細部まで凝ったつくりのセットアップで女性らしさを忘れないことが大切です。凛とした雰囲気をつくるためには、小物はメタリックの輝きでそろえましょう」(押田さん)

勇気を出してトライしてみて! 黒ライダースのアストラカンのしなやかな毛先が大人の女性をエレガントに見せてくれます。

■5:ゴールドチェーンのバッグが着こなしに刺激を

バッグ(ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン)、ニット(東レ・ディプロモード〈ブルー レ・コパン〉)、コート(チェルキ〈_ TOMOUMI ONO〉)、ピアス(サイモン アルカンタラ)、リング(ハム)、パンツ(ストラスブルゴ〈アリクアム〉)

次にご紹介する辛口アイテムは、押田さん自身がほれ込んだもの。

「数ある巾着型のなかでも、細かなスタッズが幾何学状にあしらわれた、このバッグはひと目見た瞬間、心の高鳴りを感じました。キラリと光るゴールドのスタッズが、心に、着こなしに刺激をもたらします。シャンパンゴールドのチェーンを際立たせるために、装いは黒のタートルネックでソリッドに徹して」(押田さん)

バッグのチェーンとそろえるように、優美に揺れるフリンジピアスで顔周りを優しげに彩れば、気品あふれる辛口フェミニンの誕生です。

■6:ミリタリージャケットで優美なレースワンピを引き締めて

ジャケット・ワンピース・ベルト・バッグ(アレキサンダー・マックイーン)、サングラス(イー・ヴィ・アイ PR〈ソルト×マーク&ロナ〉)、ピアス(ダミアーニ ブティック東京)、タイツ/私物

体にしなやかに寄り添うレースワンピースは、女性だからこそ楽しめる究極の一枚。知的なミッドナイトブルーなら、ここぞというときだけでなく、日常で楽しめるので、女性らしさに磨きをかけられるはず。そんなフェミニンアイテムには、あえてミリタリーテイストのハードなアウターを合わせるのが押田流。

「優美なレースワンピースは、決して無難に終わらせないこと。肩章が施されたアウターを合わせることで、コンサバに終始せず、凛と女らしいスタイルが可能になります」(押田さん)

ウールクレープのしなやかなジャケットは立体裁断やペプラムでボディラインを補正する役割も果たしてくれます。

■7:存在感大の赤フェルトニットで攻める姿勢を意識!

ニット・スカート・ブローチ[胸][そで]・イヤリング(バレンシアガ ジャパン)

ラストはクチュール感のある赤フェルトニット。

「頑張りすぎないおしゃれを目指すといっても、ベーシックばかりだと進化がなく、自分らしさを発揮できません。いつものVネックニットをコクーンシルエットのフェルトニットに変えるだけで、とたんに生き生きとした表情に。ほんのちょっぴり大胆に攻める姿勢が、自分らしさという最大の魅力を引き出す秘訣です」(押田さん)

アクセントには、クリストバル・バレンシアガのジュエリーコレクションからインスパイアされたという大きなブローチを数点。遊び心が手もちのニットやコートが蘇らせます。

甘すぎず、辛すぎず、適度なバランスで頑張りすぎない辛口フェミニンを成立させるアイテム使い実例をご紹介しました。甘いだけではもの足りない。辛口アイテムを上手に使って、あなただけのおしゃれの境地を見つけてみて!

PHOTO :
熊澤 透
STYLIST :
押田比呂美
HAIR MAKE :
三澤公幸(3rd)
MODEL :
高橋里奈(本誌専属)
COOPERATION :
EASE
RECONSTRUCT :
藤岡あかね