九谷焼陶工の德永遊心さんが手がけた、菊やみかんをぽってりと描いた器

1625(寛永2)年創業の福光屋は、金沢で最も古い酒蔵。直営店のこちらでは、各種純米酒のほか地元作家の酒器も数多く扱っています。そのなかのひとりが、九谷焼陶工の德永遊心さん。縁起のいい菊やみかんをぽってりと描いたうつわの、なんとかわいいこと! 青みがかった磁肌は、古伊万里(こいまり)にも使われていた柞灰釉(いすばいゆう)を厚めにのせたものです。

ろくろ成形も行う德永さんは、福光屋の杜氏の元に通い、酒器の口の形でお酒の味が変わることを教わったそう。その経験を生かした、使い心地のいい猪口(ちょこ)や片口には、縁をまたぐように色絵が描かれています。

「このかわいらしい器に、ちょっとした朝ごはんのお漬物だったり、煎茶を入れて飲むだけで、普段の何気ない時間も心が豊かになると思うんです」(高木)

問い合わせ先

  • SAKE SHOP 福光屋 金沢店 TEL:076-223-1117
    住所/石川県金沢市石引2-8-3
  • 営業時間/10:00〜19:00
    定休日/年末年始

■特集「工芸の聖地、金沢で愛すべき器やガラスに出会う旅」はこちら

この記事の執筆者
TEXT :
高木史郎さん 和樂編集長
2017.9.1 更新
1970年生まれ。大学卒業後2年間、ヨーロッパ、北アフリカを中心にバックパック旅行を経験。テレビの制作会社を経て小学館入社。『Domani』7年、『和樂』13年の編集を手がける。ウェブマガジン『INTO JAPAN』編集長を兼務。 好きなもの:仏像巡り、土門 拳、喫茶店、マンガ、ボブ・マーリー、雑草観察、スキー、どぶろく、ビール、トルコライス、セントジェームス、顔ハメ写真
公式サイト:INTO JAPAN
クレジット :
写真/篠原宏明 文/輪湖雅江