屋外ではかぶる。屋内では脱帽する。これが帽子のマナーである。実に明快。とはいってみたものの、ちょっと悩ましいのが屋外と屋内の中間に存在するスペースだ。具体的にいうと、タクシーの中。ホテルのロビー。駅や空港の構内。コンサート会場。あと、カジュアルな立ち飲みのパブや居酒屋では脱ぐべきか、脱がざるべきか?

ヴィットリオ・デ・シーカ/イタリア出身の映画監督・俳優。紳士のスタイルが凝縮された、古典的なスーツの着こなしは見習うところが多い。
ヴィットリオ・デ・シーカ/イタリア出身の映画監督・俳優。紳士のスタイルが凝縮された、古典的なスーツの着こなしは見習うところが多い。

日本における帽子の文化はほぼ断絶しており、意外と年配者であっても、そういったマナーには無頓着だったりする。お洒落としてかぶるのはおおいに結構だが、若い世代の紳士には、改めてその作法を身につけていただきたい。

帽子のマナーで正しくないのはどれ?

タクシーの中
タクシーの中
立ち飲み居酒屋
立ち飲み居酒屋
ホテルのロビー
ホテルのロビー

というわけで先ほどの問いに対する答えだが、以下のとおり。タクシーの中、ホテルのロビー、駅や空港の構内といった公共のスペースでは着帽でOK。コンサート会場や飲食の場においては、着帽はNGだ。最上級のボルサリーノだろうと、つばのないベレー帽やニットキャップだろうと、例外はない。

ただし、寝るとき以外は帽子を脱がないアーティストがいるように、ときにルールやマナーを逸脱した個性的なスタイルが、人間的な魅力を醸し出すこともまた事実。ベレー帽を「ぼくの顔の一部」というほど愛し、どんなVIPの前でも絶対に取らなかったという手塚治虫に、マナー違反を指摘するほど無粋なことはない。

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