メイクボックスのなかで日の目を見ないまま、眠り続けているコスメたち。つい衝動的に買ってしまい、使わないものが増えていくばかりで整理もなかなか進まないものですが、使おうと思って取り出しても「やっぱり今の気分じゃない」と、再びメイクボックス行きの悪循環。そして、いつ買ったのか忘れてしまったコスメを使うのはとても危険なのです。

では、マスカラや口紅など、コスメの使用期限ってどのくらいなんでしょう? 今回はそんな素朴な疑問を、小顔&肌改善サロン「SUHADA」を運営する美容家の永松麻美さんにお聞きしました。

■1度開封すると空気が入り込み、酸化が進行!

コスメの種類によって使用期限は変わります
コスメの種類によって使用期限は変わります

食品の賞味期限に関しては敏感でも、コスメには無頓着という方も多いのでは? 永松さん曰く、コスメは一度開封すると酸化が進行しやすくなるそう。空気に触れやすい容器タイプのものやリキッド状のものは、酸化や劣化が早い傾向があるのでなるべく早く使いきるのがベストです。

一般的に開封済みのメイク用品はどのくらいの期間使用して大丈夫なのでしょうか?

「マスカラは3か月、口紅(固形で水分を多く含まないタイプのもの)、アイシャドウ、マニキュアは1年が目安です。ファンデーションは容器や形状によりますが、パウダーとリキッドの中でも酸素に触れづらいチューブタイプの容器であれば1年、ジャータイプのような空気に触れやすい容器は半年が目安となります」と永松さん。

ジャータイプはキャップが大きい分開けた際に空気に触れやすいそう
ジャータイプはキャップが大きい分開けた際に空気に触れやすいそう

化粧品は安全性や品質を保つ目的で、薬事法などによる規制を受けています。使用期限が記載されていない製品の場合、適切な保管条件のもとであれば未開封は3年、開封済みは1年以内に使いましょう。

そして特に気をつけたいのがナチュラル系コスメを謳っている場合。

値段で使用期限の差はないものの、「オーガニック」や「無添加」などのコスメは保存料や防腐剤が少なめだったりするケースもあるのだそう。

コスメによって劣化や変質が早い可能性があるので、使用期限の記載は購入前に必ずチェックしたいですね。

■メイクブラシは2~3日に1回洗うのが理想的!

直接肌に触れるからこそメイクブラシも使用期限をしっかり守りましょう
直接肌に触れるからこそメイクブラシも使用期限をしっかり守りましょう

メイクの際、手の皮脂や雑菌がコスメに直接付着しないよう、メイクブラシを使う方も多いのではないでしょうか? ブラシを使うとより綺麗に仕上がり、気分も上がりますよね。ただし、そのお気に入りのブラシにも注意が必要。ブラシの汚れを目で見て判断していませんか? メイクブラシひとつとっても、使用期限を守り、ケアを怠らないことが肌トラブル回避につながります。

メイクブラシは2~3日に1回洗うのが好ましいです。特にオイリー傾向のお肌の方や敏感肌の方の場合、雑菌の影響でニキビや肌荒れにつながりやすいのでブラシの衛生に気をつけましょう」(永松さん)

洗い方は、ブラシの毛の種類にもよりますが、

1.中性洗剤などで優しく洗う

2.ブラシの表面だけでなく真ん中の隠れて見えない部分の汚れもしっかり洗い流す

3.メイク汚れや洗浄成分が残らないようによくすすぎ、タオルで水気をきる

4.日陰でよく乾かす

この4行程が清潔に保つ秘訣とのこと。

毛がばらけてきたり、ブラシ全体が広がってきたら替えどきのサインです。ファンデーション用のスポンジは、表面がザラザラしたり、ボロボロしたりスポンジのキメが荒くなってきたら捨てどき。古くなっても使っていると摩擦による皮膚刺激が増えてしまうので注意しましょう。

「旅行の機会が増えるこれからのシーズンは、衛生面はもちろんブラシの寿命のためにも、ケースを付けることをおすすめします。ブラシに付属のケースがないものは必ずつけるようにしましょう。専用のブラシケースなら、なおベターです。使用後はそのままポーチに入れるのではなく、ティッシュなどで油分や水分をオフしてからしまうクセをつけましょう。ちょっとしたクセが、肌荒れ予防にもブラシを長持ちさせることにもつながります」(永松さん)

■コスメの保管場所や収納方法にも注意が必要!

メイク用品はキャップの閉め忘れに要注意
メイク用品はキャップの閉め忘れに要注意

次に気になるのがコスメの収納方法。使用期限を守っていても、収納場所によって劣化が進んでしまうこともあるのだそう。

コスメの保管では高温多湿を避け、温度変化の激しくない場所、直射日光の当たらない場所に収納するのがマスト。特にお風呂場や窓際は避けてください。また、容器の口元はアルコールティッシュなどでこまめに拭いたり、キャップはすぐにしっかり閉めて保管することが劣化を防ぐコツです」と永松さん。

どんなに高級であったり、いい化粧品であったりしても、品質が保たれていなければ台無しです。大切なコスメだからこそ、丁寧に扱えばもっとメイクが楽しくなるはず。基本的なことは分かっているという方も、改めて保管場所を見直しましょう。

■「一番使いたいとき」に使うことで、肌への効果もUP

これを機にコスメの断捨離をしてみては?
これを機にコスメの断捨離をしてみては?

新しいメイク用品を購入したときはワクワクしたり、ときめいたりと、使うのが楽しいもの。タンスの肥やしになって使用期限が過ぎてしまうと、メイクの土台となる肌への負担が大きくなってしまいます。

「化粧品も、人の気持ちも生モノ。『もったいない』や『とっておこう』よりも『手に入れた今』『一番使いたいとき』に使うのが気持ちも肌への効果も上げてくれます。ワクワク気分が最大のときに開封して使い切れば、使用期限が切れたり、断捨離したりする手間も省けますよね。断捨離に成功したら、これからは『すぐ使う』を習慣化してくださいね」(永松さん)

コスメは女性らしさをより引き立ててくれる大切な存在。毎年新しいトレンドをチェックして常に買い足している方はもちろん、使わないメイク道具に覚えがある方は早速メイクボックスのなかを整えてみては?

 
 
永松麻美さん
美容家
(ながまつ あさみ)小顔&肌改善サロンSUHADAを運営して6年目の美容家。CIDESCOインターナショナルエステティシャン。技術だけでなく「肌質をしっかり見分ける」肌分析にこだわったフェイシャル専門サロン。エステティシャン向けのフェイシャルスクールや「肌を見分ける1Day講座」なども開校中。
公式ホームページ
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
田代祐子
EDIT :
高橋優海(東京通信社)