海外旅行につきものなのが時差ボケ。眠りたい時間に眠れず、眠りたくない時間に眠気がきて、頭痛や食欲不振などの症状が出ることも。実際なってみると悩ましいものですよね。そもそも、なぜ時差ボケが起こるのでしょうか。これから旅行を控えている人は、そのメカニズムを知り、予防や解消方法を確認しておきましょう。
これからの時期、海外旅行へ出る機会は増えるでしょう。そのようななか、時差ボケを起こした経験のある方は、なんとか対策をしたいと考えているかもしれません。そこで今回は、時差ボケのメカニズムと上手く回避するコツを医師監修のもとに解説していきます。
そもそも時差ボケはなぜ起きる?
時差ボケとは、その名の通り、時差が大きい遠方の土地へ、飛行機などを用いて短時間の間に移動することで、何かしらの不調が起こることをいいます。例えば、次のような症状が一般的です。
●夜の不眠や中途覚醒、日中の眠気
●頭痛・頭重・めまい
●疲労感
●食欲不振・吐き気
これらの症状が、渡航先に到着してから数日に渡って続きます。
時差ボケの原因は、体内時計がずれることにあるといわれています。体内時計とは、医学的には「概日リズム」と呼ばれるものです。概日リズムはただ体内でリズムを刻んでいるだけでなく、外界の光や温度、食事や仕事の習慣などによっても影響されています。例えば、体内時計は朝、光を浴びるとリセットされ、その瞬間に夜眠くなる時間が決まり、覚醒と睡眠の周期ができあがると言われています。
概日リズムは自律神経や内分泌・代謝にも関係しているため、リズムが乱れると自律神経やホルモンの状態も乱れてしまい、あらゆる不調をきたしてしまうのです。
時差ボケの予防策
時差ボケを予防するためにはどうすればいいのでしょうか。
一番のポイントは、体内時計を渡航先に早くから合わせることです。そのための方法として「睡眠調整」と「食事」があります。
■1: 睡眠調整~現地時間に合わせて睡眠を取る(東回りと西回りを考慮)
●出発1週間前
渡航先へのルートが東回り(アメリカ方面)と西回り(ヨーロッパ方面)どちらなのかを考慮して、睡眠を調整しておきます。
(1)東回り(アメリカ方面)
東回りは到着すると夜が早くくるので、日本では早寝早起きに切り替える。
(2)西回り(ヨーロッパ方面)
西回りは到着すると夜まで長くなるので、日本ではいつもより遅い時間に寝る習慣をつける。
時差ボケの症状は、睡眠不足だとより強く出るといわれています。東回り・西回りどちらも旅行前には十分な睡眠をとっておくことをおすすめします。
●東回りで昼出発の場合は空港までの道で太陽の光を避ける
東回りの場合、日本の昼に出発すると現地は夜です。着いたらすぐにスムーズに寝入るために、日本で空港に行くまでの道では太陽の光をできるだけ浴びないようにしましょう。サングラスをかけるなどの対策をおすすめします。
●飛行機に乗ったら
飛行機の搭乗中から、睡眠を現地時間に合わせます。日本が昼でも、現地では深夜の到着になる場合には、眠くなくても飛行機の中で寝るようにします。
■2:食事~現地時間に合わせて食事を摂る
出発日、もしくは数日前から、朝・昼・夕の食事を、現地時間に合わせて食べるようにします。機内食の場合には現地時間に合わせたタイミングで提供されるため、出されたタイミングで、できるだけ食べるようにするとよいでしょう。
時差ボケの症状が起きてしまったら?
もし時差ボケらしき症状を自覚したら、どうすれば早く回復できるでしょうか。時差ボケの予防策のところで「体内時計を渡航先に早くから合わせること」がカギになるとお伝えしました。このことからも、時差ボケになってしまったときの一番の解決策は「渡航先に体内時計を合わせる」ことにあります。そのためには「朝、光を浴びて体内時計をリセットする」ことがポイントです。
【解決策】
●朝、太陽の光を浴びる
概日リズムは、光によって前進・後退します。現地が朝~昼の時間帯に光を浴びながら朝食やランチを食べると、体内時計がリセットされ、現地時間に合わせやすくなります。
【その他のポイント】
●眠れなくても現地時間に合わせて寝る
眠れなくても現地の時間に合わせて寝ましょう。ただ、眠れないからとお酒を飲む人がいますが、お酒は睡眠の質が低下したり中途覚醒したりするのでおすすめできません。どうしても眠れない日々が続くなら医師に相談し、短期的に睡眠導入薬を飲むことも考慮しましょう。また、昼間は眠たくても寝ないで起きていましょう。ただ、どうしても眠たければ、昼寝は短時間にして夜に影響がないようにするといいですね。
●帰国後、時差ボケが2週間以上続くなら医師に相談を
もし日本に帰国した後も、時差ボケの症状が2週間以上も続く場合には医師に相談してみましょう。
時差ボケは、予防策を行うことで軽減できると考えられます。個人差があるため一概にはいえませんが、この冬に海外の時差の大きい場所に出かける予定のある方はぜひ予防策を行いましょう。また、帰国後に時差ボケの症状が数日残ることも考慮して、余裕を持った旅行計画を立てることをおすすめします。
http://e-clinic.gr.jp/
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利