機能美を追求した、ミニマルなたたずまいが美しい「茶筒」

伝統を重んじながら、新たな文化も受け入れる懐の深さをもつ京都。「伝統と革新」のスピリットが根付くこの街には、現代のライフスタイルに寄り添う、モダンな工芸品も数多く見つけることができます。そんな、京都の神髄が感じられる「ほんまもん」の名品を、「京都通」の推薦コメントとともにお届け。ご紹介するのは、デザインジャーナリストの川上典李子さん、朝日新聞『ボンマルシェ』編集長の岡本くみこさん、青山などにセレクトショップを展開するプレインピープル ディレクターの髙山泰子さんのお三方が推薦する、開化堂の「茶筒」と「珈琲缶」です。

開化堂の「茶筒」と「珈琲缶」

左上から反時計回りに/茶筒 [銅]【200g・φ9.2×高さ11cm】¥12,000、珈琲缶(真鍮スプーン付き)[ブリキ]【200g・ φ11×高さ16cm】¥18,500、携帯用茶筒(正絹組紐巾着・茶さじ付き)[銅]【20g・φ6.5×高さ3.5cm】¥31,500(すべて税抜)

「高温多湿な気候の日本でも、デリケートな茶葉の風味を保てるように」と、古くから使用されてた密閉性の高い金属製の茶筒。「この気密性の高さと、むだをそぎ落とした美しさは、機能美の極み」と川上さんが語るように、気密性の高さと美しさが最大の魅力です。現存する茶筒メーカーのなかでも最も古い歴史がある「開化堂」では、1枚の板から約130の工程を経て茶筒を製作。しかも、そのすべてが手作業!「手触りのよさは格別。海外の方にも喜ばれます」と、髙山さんが驚くのも納得です。

「するすると蓋が落ちていく様子が美しい」と岡本さんが絶賛するように、蓋をかぶせて手を離すと、自重だけでゆっくりと下がり、最後はぴたりと閉まります。開けるときも力を入れずともすうっと自然に持ち上がり、その加工精度の高さには驚かされます。

岡本さんが「使うほどに増す艶や風合いを楽しみたい」と語るように、ブリキ、銅、真鍮、それぞれの素材の経年変化を味わうのも大人の余裕。最近では、伝統的な製法を使った珈琲缶やパスタ缶なども登場。潔いデザインと極みの技には、海外からも熱い視線が注がれているのです。

茶葉の保存に特化し、気密性を追求した金属製の茶筒。その副産物として得られた究極の機能美が、現代のライフスタイルにも違和感なくなじむ、モダンなフォルムを生み出したのです。

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PHOTO :
戸田嘉昭・小池紀行(パイルドライバー)
EDIT&WRITING :
田中美保(スタッフ・オン)、中村絵里子(Precious)
RECONSTRUCT :
難波寛彦