家で過ごす時間が長くなり、住まうこと、暮らすことへの関心がこれまで以上に高まっています。
そこで、インテリアや家具だけでなく、どう住むか、どう暮らすかといった「生き方そのもの」と連動した「家」のあり方について考えてみたい。雑誌『Precious』2月号では、そんな想いから、6人の方に「理想の家と暮らし」についておうかがいしました。
今回はモデル 弥生さんのお住まいをご紹介します。
「アーチ形の窓などディテールが美しい100年前の古い家は、工夫しながら暮らしていくのが楽しい」
L.A.と東京を行き来しながら2拠点ライフを送る弥生さん。出産を機に家族3人で住むことにしたL.A.中心部の家は、約100年前に建てられたスパニッシュ様式の家。リビングとダイニングがアーチの壁でつながり、天井装飾が残るなど往時の美しい佇まいを残しています。
「実はここは夫が初めて一人暮らしをした、思い出のある懐かしい家。でも私にとっては、いろいろ新しい(笑)。ディテールはとても美しいけれど、古い家なので、風が強く吹く日は入ってくるし、配管や水道の手入れも必要。大変なこともあるけれど、元々の美しさを生かし、工夫しながら暮らしています」
「友達が来る日もふだんの器といつもの料理をベースに。カジュアルな食卓を囲みます」
この家に住むためにまず改装したのが、キッチンスペース。「料理をしている時間が大好き」という弥生さん自らがデザインして調理場とパントリー、洗濯機置き場の壁を取り払い、広々とした空間に改装。色を優しいブルーグレーで統一しました。
「今の家は私にとって最高の『癒しの場所』。『サンクチュアリ』のようなところにするのが夢です」
スパニッシュ様式の窓や天井装飾、造りを生かしながら、部屋ごとにオレンジや黄色などカラフルだった天井を、グレーみやベージュみを帯びた柔らかな白で統一。カーテンポールや写真の額などで黒のアクセントを効かせたのも、弥生さんのアイディア。
この配色が絶妙で、温もりがありながらも、どこか端正な、スマートで美しい空間が生まれています。
味わいのある古い建物の魅力に、軽やかな今の気分も漂う、穏やかな時間が流れる家。「住む土地の風土によって、インテリアも変わってきます」と言う弥生さん。
それは、暮らしにも通じること。食品ロスを防ぐため地産地消を心掛けるなど、早くから環境と暮らしを見つめていた弥生さん。環境への先進的な取り組みで知られるL.A.にはエコに特化したマーケットも多く、野菜はプラスチックバッグ入りでないものを購入。
できるだけ使いきるようにし、最後に出た生ゴミはコンポストを使用して庭の堆肥に。味噌や甘酒などの発酵食品も「好きだから」手づくりしているそう。環境に優しい暮らしがとても自然体なのです。
インテリアからも丁寧で美しい暮らしを楽しむ姿が伝わってくる弥生さんですが、実は今、幼い息子さんの育児に奮闘中。
「今はキッチンで料理をする時間と、息子と遊ぶ時間が最高の『癒しのとき』。とはいえ、息子は元気いっぱいで悪戯も絶えない(笑)。もう少ししたらヨガや瞑想をしたり、ゆっくりとお茶を飲んだり…。そんな気持ちを落ち着かせる時間を楽しめるような、『サンクチュアリ』のような場所にしたいです」
家族と共に進化する「理想の家と美しい暮らし」は、この先も楽しみです。
弥生さんのHouse DATA
●間取り…3LDK
●家族構成…夫婦、子供1人
●住んで何年?…約2年
- EDIT&WRITING :
- 川村有布子、古里典子(Precious)