雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回はボランティアグループ「弃資手作公益」代表 クララ・ホァンさんの活動をご紹介します。
廃棄物の再利用から教育支援へ女性が集まる編み物ワークショップ
「紡績会社の工場で不要となった布や毛糸を回収」→「それを材料にして手芸のワークショップを開催、編みぐるみやオーナメント、ニット帽などの作品をつくる」→「イベントやポップアップストアなどで販売し、売り上げは、貧困家庭の子供(※)の教育支援を行う基金に寄付」。
クララさんが’17年に立ち上げたボランティアグループが行っている、むだのない社会支援システムである。
「お手伝いしてくれるボランティアは40〜50人ほど。主婦の方や、最近ではキャリア女性も増えてきました。みなさん、『意味のある時間の使い方ができる』と言ってくださっています。異なる立場の女性が知り合い、世界を広げる場になっていることがうれしい」
6歳で父を亡くし、その後は母子家庭で育った。母親はあちこちで借金をしてクララさんを大学卒業、フランス留学まで支えた。留学2年目からは奨学金を得て、多国籍企業に就職。マレーシアやオマーン、イギリスなどで勤務した。そして公益プロジェクトに携わったことをきっかけに、ボランティアの道へ。
「1年目は、活動を理解してくれる人もいなかったし、作品もほぼ私ひとりでつくっていました。イベントのフライヤーも、ゼロからデザインを勉強して、自分でつくるように。そんなことを繰り返していくうちに、『誰かを助けたいという気持ちは自分のスキルも上げるんだな』と実感しました」
幼い頃から得意だった編み物と、世界各国で仕事をしてきた語学力とコミュニケーション能力で、クララさんは社会を変える。
「まずは他都市に広めていきたい。中国全土で同様の活動を展開できれば、すごく大きな力になる」
【SDGsの現場から】
●おしゃべりも楽しいワークショップ
●パッケージも含めてすべてが不要品の再利用
※子供の貧困とは…クララさんは基金を通じて、貧しい家庭が多い地域である雲南省の子供を主に支援。4年間で193人の進学援助を実現。
- PHOTO :
- 長舟真人
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- 萩原晶子