雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は「WELLNEST HOME」代表取締役社長 芝山さゆりさんの活動をご紹介します。

芝山 さゆりさん
「WELLNEST HOME」代表取締役社長
音楽教師として勤めた後、専業主婦に。娘の「歯科医になりたい」という夢を叶えるために起業。人材育成などを行う。’17年より現職。モデルルームに宿泊する「試住」体験など、女性ならではの目線で事業を成長させている。

エネルギー効率のよい住宅を提案。安全・安心が持続可能な社会をつくる

起業家として女性支援を行っていた芝山さんが、講演活動で知り合ったビジネスパートナーと共にハウスメーカーを設立したのは’12年のこと。

未経験の業界だったが、「お母さんが輝けば子供も輝ける」という自身の信念は、「未来の子供たちのために持続可能な住宅を」という会社が目指すこととつながっていると気付き、引き受けた。

「私たちが提供しているのは、エネルギー先進国であるドイツに学んだ、高気密・高断熱の住宅です。日本の住宅は平均寿命も約30年と海外に比べて短命で、しかも、エネルギー効率の精度が低く、大量のロスが発生しています。10年でリフォーム、30年で建て直し…そのゴミはどこへ? 森はどうなるの? ということですよね」

芝山さんの会社が提供する住宅はエアコン1台程度の最低限の冷暖房で、一年を通して家全体を温度25度前後、湿度50%前後に保てる。創業以来、全国で745棟つくってきた戸建てに加えて、かつての「長屋」をおしゃれにした集合住宅にも取り組んでいる。

「集合住宅はエネルギーロスが少ないので、CO2が削減できます。住む人にとっても初期投資が少なくてすむので、人口が減少する将来にも、老若男女が健やかに過ごせる、『誰ひとり取り残さない』社会を実現できるだろうと」

その想いは、まちづくりへと拡大。SDGs未来都市(※)に認定されている北海道ニセコ町で、官民連携でのまちづくりにも参画する。

「SDGsというと未来にばかり目がいきがちですが、大切なのは『今』。まずは、安心して日々を過ごせること。家づくりもまちづくりも、女性支援も、すべては『今をどう生きるか』だと思うのです」

【SDGsの現場から】

●女性起業家としてSDGsをテーマに講演活動も行う

インタビュー_1
昨年12月、「日経SDGs FESTIVAL」講演に登壇。テーマは「子供たちが夢をもてる『今』をつくる」

●北海道ニセコ町で持続可能なまちづくりに挑戦

インタビュー_2
「株式会社にせこまち」と包括連携協定を結び、まちづくりに参画。「視察ツアー」も計画中。

※SDGs未来都市とは…国が選定する、SDGs達成に向けて戦略的に取り組む地域・都市。地方創生戦略の一環でもある。ニセコ町は選定初年度の’18年に選定。

PHOTO :
若林聖人
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
河野好美