ゆったりとした贅沢な空間と、徹底したホスピタリティ。ラグジュアリーホテルの魅力は、旅するように、非日常な体験を味わえることにあります。加えて今、ホテルを訪れる大きな理由のひとつになっているのが「食」。

『Precious』3月号の企画「今、『ホテルダイニング』が面白い!」では、ラグジュアリーホテルが力を入れている「食」について注目しました。

新進気鋭の若手シェフの起用や、環境に配慮した食材の活用、ドリンクペアリングの強化やシェフ自らが生産者を訪れ素材を吟味するなど、ホテルのダイニングという枠を超えた新たな挑戦をしているところが増えています。これまでのイメージを覆す、この時代の新たなホテルの「ダイニング」に迫ります。

今回は、東京・大手町にあるアマン東京の「アルヴァ」をご紹介します。

アマン東京「アルヴァ」|東京・大手町

シェフ自ら、日本全国 約50か所の生産者を訪ね、食材を厳選。本場仕込みの“街のイタリアン”をラグジュアリーな大空間で

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圧巻! アマン東京「アルヴァ」の吹き抜け天井はなんと8メートル。開放的な店内から望む東京の眺めは最高。晴れた日なら富士山も望むことができる。

店名の「アルヴァ」とは、ラテン語で“収穫”の意。2018年の改名と同時に総料理長となった平木正和シェフは、その名のとおり、素材により敬意を払ったメニューへ変更。イタリアで17年過ごし、ヴェネチアの5つ星ホテル「バウアー」でエグゼクティブシェフを経験後、アマン東京へ。

最低限の調理と火入れ、凝ったプレゼンテーションもない究極にシンプルな伝統的イタリア料理は、ラグジュアリーホテルのメインダイニングとしてやや華やかさに欠けるのではという意見もあったとか。

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前菜「伊勢まぐろと中トロのクルード 三重県産まぐろのボッタルガ 金坂蓮魂のアグロドルチェ」

「生産者の方と会い、その哲学や背景を理解したうえでつくる料理は想像力を刺激されるうえ、力強い。ホテルならではの優雅な大空間で、イタリア料理の原点、“街のイタリアン”を楽しむおもしろさも体験していただけたら」

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リゾット「ラディッキオと茨城県産かすみ鴨胸肉のアフミカート サルサヴィーノロッソ」

この日前菜に登場した“金坂蓮魂”は、生でも食べられる瑞々しさが魅力。「“根”の字をあえて“魂”とするなんて生産者の魂を感じるじゃないですか」と、自ら各テーブルに登場し、食材について熱く語る姿も。

そんな温かく親しみやすい雰囲気と筋の通った奥深い料理に、今では多くの人が魅了されています。ときには生産者を招いてディナーを催すなど、ホテルダイニングの枠組みを超えたユニークな取り組みも実施。進化する姿がそこにあります。

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メイン「クエのソテー 南瓜と群馬県やまこきのこ園産茸のトリフォラーティ」。写真は、すべてコースからのひと皿。いずれも旬の食材を使い、その魅力を最大限引き出したシンプルな“町場”のイタリア料理。

※この特集の情報は1月17日現在のものです。営業時間など最新の情報をご確認のうえ、ご活用ください。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
田中美保、佐藤友貴絵(Precious)