ビジネス文書で多用される「恐縮ですが」。依頼や要望を伝えるメールにもつきものの便利なフレーズですが、一通のメールにやたらと「恐縮ですが~」が登場して辟易…なんて経験もあるのでは? 誤用はもちろん、使いすぎも心証を悪くしかねません。「申し訳ない」「ありがたい」という気持ちを伝えるフレーズですが、誠意が伝わる程よい使い方をマスターしたいものです。

【目次】

恐縮とはどう使うのが正解?

「恐縮」とはどんな意味? 正しい使い方を知っていますか?

■「恐縮」+「ですが」や「です」で、丁寧で柔らかな文章に

まずは正しい意味を理解しましょう。「恐縮」は、「恐れて身がすくむ様」を表します。恐怖で身が縮むほど大げさなことではなくても、「恐縮ですが、○○していただけますようお願いいたします」といったふうに使いますが、これは要望をスムーズに受け入れていただくため、円滑なコミュニケーションのための“クッション用語”です。

また、迷惑をかけた場合や、「お祝いの品を頂戴して恐縮です」のように、受けた厚意に対して申し訳ない、大変ありがたい、という気持ちを表す場合にも使用します。

語彙力がアップする!「恐縮」の便利な「言い回し」3選

■1:恐縮の極み

■2:恐縮の至り

■3:恐縮の限り

この場合の「極み」「至り」「限り」は、いずれも「この上ない」という最上級の謝意を表します。「この上なく申し訳ないお願いで恐縮ですが…」と、こうべを垂れるようなケースですね。あまりこのような状況には陥りたくないですが、ビジネス文書では「恐縮ですが」と同じように気軽に使用されているようです。「極み」「至り」「限り」に優劣はなく、「至極恐縮ですが」というようにも使います。

効果的に使って、お願い名人に! 「恐縮ですが」の「ビジネス例文」4選

■1:お忙しいところ恐縮ですが、金曜日までにお返事を頂戴できますでしょうか。

期限を設ける場合に効果的な使い方です。特に先方の都合を確認せず要望する場合には、このフレーズがないと高圧的な印象を与えてしまうかもしれません。「ご多用の折、恐縮ですが」や、「お手数をおかけして恐縮ですが」「お手間をおかけしまして恐縮ですが」など、臨機応変に使い分けて。

■2:早速で恐縮ですが、お問い合わせいただきました件につきまして回答申し上げます。

挨拶もそこそこに本題に入る場合によく使われます。ビジネスメールは友人とのお喋りではありませんが、用件のみというのも失礼なもの。時候の挨拶や、日頃からの感謝を短めに伝えて前文としたいものですが、そんな気遣いをする余裕がない場合に便利なフレーズがこの「早速で恐縮ですが」。緊急の案件に使うと効果的です。

■3:こちらの都合で大変恐縮ですが、次回ミーティングの日時を変更していただけますでしょうか。

約束事を変更やキャンセルしたい場合など、一方的な申し出に使います。致し方ない事情があるにせよ決定した事柄を変更するのですから、これこそ「身が縮まる」思いですね。

■4:ご意向に添えず恐縮ですが、ご理解いただけますようお願い申し上げます。

「申し訳ございません」を言い換えた、お詫びの気持ちを表した例文。「当社ではご希望の商品の取り扱いがなく恐縮です」のように、結びで使用することもできます。

メール文を表現豊かに!「恐縮ですが」と同じ意味をもつ「言い換え表現」3選

■1:恐れ入りますが

■2:お手数ですが

■3:お手間をおかけしますが

最も単純な言い換えは「恐れ入りますが」でしょう。字面も柔らかくなるので、ちょっとしたお願い事などには、身構えなく読めるこちらの方が感じのよい文章に。また、「お手数」「お手間」は、「恐縮ですが」にプラスして使うほか、「お手数ですが」「お手間をおかけしますが」と、「恐縮」抜きでも同様の意味になります。

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本日はビジネスメールで便利なフレーズ「恐縮ですが」の使い方を確認しました。正しく使って、マナー美人を目指しましょう!

この記事の執筆者
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参考資料:『精選版日本国語大辞典』(小学館)/『印象が飛躍的にアップする大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)/『大人なら知っておきたいモノの言い方サクッとノート』(永岡書店) :