ミーティングや商談、メール連絡など、ビジネスシーンでよく使われる「兼ね合い」という言葉。バランスをとるといったような意味で使用することが多いと思いますが、正しいのでしょうか? 今日は、暗黙の了解的に使用されている言葉「兼ね合い」について、間違いのない使い方を見ていきます。

【目次】

「兼ね合い」を言い換えるなら…?
「兼ね合い」を言い換えるなら…?

【「兼ね合い」の基礎知識と類語「折り合い」との違い】

■「兼ね合い」はなんと読む?

「兼ね合い」と書いて「かねあい」です。読むことはできても、漢字で書く際に迷うことがあるかもしれませんね。

■「兼ね合い」の正しい意味

『デジタル大辞泉』に【1. ふたつのものがうまくつりあいを保つこと。均衡。平均。「予算との―で決める」】【2. よい程合】とあるように、「兼ね合い」は複数のもののバランスがとれている状態を示す名詞です。

「兼ね合い」は「兼ねる」と「合わさる」で成り立った言葉。「兼ねる」はひとつでふたつ以上の働きをすることで、「合わさる」は複数のものが合わさった状態にすること。「兼」という字は「~しかねる」の「兼ねる」でもあり、「~することが難しい」という意味も。「兼ね合い」には、本来はひとつにする(一緒にする)ことが難しいものを合わせるという意味があり、ビジネスでは「いい頃合いの着地点」といった意味で使用されます。

意味をしっかり理解していれば、漢字でも正しく書けるはずですね。

■似た言葉「折り合い」も同じ意味?

「兼ね合い」の意味をもっと具体的に理解するために「折り合い」と比べてみましょう。

似た文脈で使用する場合の「折り合い」は、譲り合って解決するという意味。こちらも複数のものがひとつになるといった意味では同義ですが、「兼ね合い」はうまくバランスを取った状態であるのに対し、「折り合い」は妥協点を探って歩み寄ることなので、厳密にいえば異なります。

【微妙なニュアンスがわかる「兼ね合い」の「例文」5選】

では、「兼ね合い」と「折り合い」を使用した例文を見ながら、その微妙な違いを理解していきましょう。

■1:「会場との兼ね合いで、日程が〇月×日△時に変更になりました」

 → 会場と折り合いをつけたので、予定通りの日程で決行します。

■2:「予算と制作費の兼ね合いがつかないので、このプロジェクトは継続が難しいと判断しました」

 → 予算と制作費の折り合いをつけるのが、私たちの腕の見せどころです。

■3:「A社と弊社の発案内容の兼ね合いが悪く、落としどころが見つかりません」

 → A社と弊社の発案内容に相違があり、どうやって折り合いをつけるのかが問題です。

■4:「仕事とプライベートの兼ね合いは、働き方の重要なポイントです」

 → 仕事とプライベートに折り合いをつけながら働くことが大切です。

■5:「提案デザインは、顧客ニーズとの兼ね合いを図って変更する可能性もあります」

 → 提案デザインは、顧客ニーズの分析によっては折り合いをつけて変更すべきと考えています。


【「兼ね合い」と同じ意味で使える「言い換え」表現】

先に「兼ね合い」と「折り合い」の違いを見ていきましたが、「兼ね合い」にはいくつもの言い換え表現があります。ひとつの例文を言い換えてみましょう。

例文:労働量と報酬の兼ね合いがついたので引き受けた。

 → 労働量と報酬のバランスがよかったので引き受けた。

 → 労働量と報酬の釣り合いが理想的だったので引き受けた。

 → 労働量と報酬の均衡が取れていたので引き受けた。

 → 労働量と報酬の振り合いがついたので引き受けた。


【「兼ね合い」に続く動詞や形容詞もチェック!】

上記の例文のように、「兼ね合いを~」「兼ね合いが~」など、動詞や形容詞が続くことがあります。代表的なものをご紹介しましょう。

■1:兼ね合いを取る

「仕事と家庭生活の兼ね合いを取ることが大切です」などと使います。「バランスを取る」と言い換えるとわかりやすいですね。

■2:兼ね合いをはかる

「はかる」は漢字で「図る」と書き、「意図してとりはからう」という意味。自然とそうなったということではなく、意図して兼ね合いをつけた場合に用いると、ビジネス文章として効果的です。

■3:兼ね合いを見る

ここでの「見る」は、「確認する」「チェックする」という意味。「両者の兼ね合いを見ないことには決断できない」などと使います。

***

本日は、ビジネスシーンでよく使われる「兼ね合い」について学びました。類語や言い換え表現なども駆使して正しく使用してください。若干ネガティブな印象がある「折り合い」より、オフィス内も取引先も「兼ね合い」がつく現場で働きたいものですね。

この記事の執筆者
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