上司や取引先にやる気や意気込みをアピールしたいときは、過剰にならず、なおかつ控えめすぎない言葉で自己主張したいものです。そんなとき、ぴったりなのが「精進してまいります」。美しい言葉遣いで爽やかに、前向きな姿勢が印象づけられるはずです。

【目次】

「精進してまいります」はどんなときに使うのが適切?
就活・転職活動にキックオフミーティング…「精進してまいります」でポジティブなアピールを!

【まずは「精進してまいります」の基礎知識から】

■「読み方」と「意味」

「精進」は「しょうじん」と読みます。

「精進」には、【雑念を去り、仏道修行に専心すること】という意味があり、ここから転じて【一つのことに精神を集中して励むこと。一生懸命に努力すること】を指します。とてもストイックな印象の言葉ですね。
誠実さやひたむきに努力する姿勢などがイメージされ、「これからも今まで以上に頑張ります」という気持ちを、「頑張ります」よりも落ち着いた印象で先方に伝えることができます。

「精進してまいります」の「まいる」は「行く」の謙譲語。この場合、補助動詞として使われていますので、「精進する」に謙譲の意味合いを加えており、ひらがな表記が正解です。目上の方に対しても使える、正しい敬語表現です。


【「精進してまいります」はどんなときに使う言葉?】

謝罪のシーンにも使えますが、基本的にポジティブな向上心を表明する言葉なので、何らかの成果に対する褒め言葉や激励をいただいたときの返答として使うのにふさわしい言葉です。浮ついた印象にならず、あくまで謙虚な姿勢が表現できます。

■就活・転職活動の面接

仕事に対するやる気をきちんとアピールしたいときに使います。就活の履歴書の志望動機で使った人も多いかもしれませんね。

■新年の挨拶

メールや手紙、年賀状で、挨拶文の締めとして使われるフレーズの定番です。

■激励を受けたとき

上司からの激励や昇進の辞令を受けた際、今後ますます謙虚に仕事に励む気持ちを伝えたいときに。

■新規の仕事でのあいさつ

今後に向けた決意表明としても「精進してまいります」は使われます。


【ビジネスシーンでそのまま使える「例文」5選】

■1:「精進してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします」

「精進してまいりますので〜よろしくお願いいたします」は、文末の締めの言葉としてよく使われます。口頭で使っても違和感ありません。

■2:「御社のお役に立てるよう日々精進してまいります」

ポジティブな決意表明の言葉として。「日々精進して」は、努力を積み重ねていく決意を強めることができる表現です。

■3:「旧年中は大変お世話になりました。今年もいっそう精進してまいりますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします」

年賀状に使われる定型文です。「いっそう」もしくは「よりいっそう」といった表現で意気込みを強調します。新年の抱負や目標を書く際にも使われます。

■4:「これからも精進してまいりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」

「精進してまいります」と「ご指導ご鞭撻」の組み合わせも、頻繁に使われる言い回しです。「精進してまいりますので」に合わせ、締めは「お願い申し上げます」にすると文章全体のバランスが取れます。

■5:「実績があげられるよう精進してまいる所存でございます」

「精進してまいる所存でございます」あるいは「精進してまいる所存です」は、口頭より手紙や年賀状、挨拶状などの文書で使われることが多い、さらに丁寧な敬語表現です。「精進していく所存」「精進を重ねてまいる所存」などもよく使われます。


【似た意味で使われる「類語」「言い換え」表現は?】

「精進してまいります」と意味が近い言葉に、「邁進してまいります」があります。「邁進(まいしん)」とは「恐れることなく突き進むこと」。「精進」のほうがストイックな印象を、「邁進」のほうが勢いを、それぞれ感じさせるニュアンスです。

「頑張ります」「励みます」「努力してまいります」は、「精進してまいります」と比べると、ややカジュアルな印象。親しい上司や先輩に対してなら、むしろストレートに気持ちが伝わるかもしれません。ただ、フォーマルな場面であれば、やはり「精進してまいります」がしっくりきます。

■邁進してまいります  ■頑張ります  ■努力してまいります

■熱心に(誠心誠意・精一杯・一生懸命)取り組みます

■励みます  ■しっかり向き合っていきます  ■尽力してまいります

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昇進の辞令や褒め言葉、激励をいただいたとき。「精進してまいります」を使うと、浮ついた印象を与えることなく、今後に対する意気込みを印象づけられます。控えめなのも素敵ですが、たまには積極的に、美しい日本語で自分をアピールしてみてはいかがでしょうか。ちなみに、「精進してまいります」と言われたら、相手との関係性を考慮しつつ、「ますますのご活躍を楽しみに(お祈り)しております」「応援しています」などと応えるとスマートな印象です。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂)/『大人なら知っておきたいモノの言い方サクッとノート』(永岡書店)『とっさに使える敬語手帳』(新星出版社) :