「薫育」ってどういう意味?「香育」とは違うの?
明日・5月19日は『香育の日』です。
5(こう)1(い)9(く)の語呂合わせすが、
みなさま「香育(こういく)」という言葉、ご存じでしょうか?
「香育(こういく)」は、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)が提唱する新たな教育法のひとつで、子どもたちに向けた「香りの体験教育」を指します。
植物の恵みである精油(エッセンシャルオイル)の香り体験を通して、五感のひとつである嗅覚に意識を向け、豊かな感性や柔軟な発想力を育むとともに、人と植物の関わり、自然環境の大切さを伝える …というコンセプトで行われているそう。
素敵な香りに意識を集中し、そのルーツや自然の恵みを意識する…なんとも素敵な教育法ですね。
…さて皆様、「かおり」という言葉には、「香り(かおり)」のほか「薫り(かおり)」という表記もございますね。「薫」は中学校で学習する常用漢字ですが、「香り」と「薫り」の違い、説明できるでしょうか?
文化庁 文化審議会国語分科会 が発表している『「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)』 の内容を抜粋しますと、
・香り・香る…鼻で感じられる良い匂い。
・薫り・薫る…主に比喩的あるいは抽象的なかおり。
だそうです。
後者は「風薫る5月」「文化の薫り」などの表現に使用する、比喩表現としての「かおるような趣(おもむき)を指す字なのですね。
本日はこの「薫」という漢字を使った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「薫く」ってなんと読む?
「薫く」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「炎を出さず、くすべる。いぶす。 」という意味を持つ言葉です。
<使用例>
「お気に入りのアロマを薫くと、香りで一気に気分転換できるのよ。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 薫く(たく)です。
「薫」という字の常用漢字としての読み方は「薫風(くんぷう)」などの「薫(クン)」と「薫る(かおーる)」ですが、
表外読みにある訓読みが「薫く(たく)」です。
「焚く(たく)」という表記もありますが、実は「焚」は常用漢字ではありません。
大人として、お香やアロマ、薫製(くんせい)など、香りを活かしていぶすような行為には「薫く(たく)」という表記が使えると素敵ですね。
さて、2問目に参りましょう。
【問題2】「薫育」ってどういう意味?
「薫育(くんいく)」という日本語の意味として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:目に見えぬ趣(おもむき)を感じる心を磨くこと。
2:罰を用いて厳しく指導すること。
3:徳を持って人を教え導くこと。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 3:徳を持って人を教え導くこと。 です。
「薫」という字には「よいかおり」という意味と同時に「人を感化する。」という意味もあり、
「薫育(くんいく)」は「薫陶化育(くんとうかいく)」の短縮形で、「徳をもって人を教え導くこと。しつけ。」を意味する言葉です。
大人の語彙に加えておきたいですね。
冒頭でご紹介した「香育(こういく)」は新語ですが、
「薫育(くんいく)」は古来の日本語です。
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本日は、5月19日『香育の日』のトリビアと、「薫」という漢字を使った日本語から、
・薫く(たく)
・薫育(くんいく)
などについておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/「『異字同訓』の使い分け例(報告)」(文化庁文化審議会国語分科会)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/公益社団法人日本アロマ環境協会ウェブサイト
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱