辛くて甘い、不思議な薬膳スープ
薬膳火鍋を火にかけると、カレーにも似た独特の香りがふわっと広がる。真ん中で二つに仕切られた鍋には紅白のスープが。意外にもこの二種類のスープ、薬膳材料を調合する前のベースは同じスープだそう。
白の白湯(パイタン)スープは、豚骨や鶏ガラのダシを感じる、濃厚でありながらすっきりとした味わい。赤の麻辣(マーラー)スープは、白湯に山椒や唐辛子などの香辛料と漢方が入り、深みのあるスパイシーな味に仕上がっている。
薬膳材料・香辛料の種類やブレンドで、「紅」「白」のスープは生まれるという。
鍋に浮かんだ漢方や香辛料は、目で確認できるだけでも15種類はあるが、実はこのスープの中には約60種類もの材料が含まれているという。漢方には独特の尖った風味や苦味などがあるが、薬膳スープを「美味しい」と感じるには、それぞれの味をベストに調和させる絶妙な配合が不可欠となる。老麻火鍋房のスープは、使う薬膳材料を全種類そのままの状態で食べ、味の分析してから調合したというこだわりの一品だ。
より材料の味を感じる白湯スープは、辛くないので野菜と一緒にそのまま飲み干せる。一方の麻辣スープは、ラー油と唐辛子が浮かび、いかにも辛そう。だが、口に入れるとビリビリとした辛さの後に、驚くほどの甘みが広がる。野菜や肉と合わせて食べると、それぞれの食材の旨味と絡み合い、ひと口ひと口味が変化していくような感じがする。
薬膳火鍋というと難しそうなイメージを持つが、食べ方はとても簡単。
ふつふつスープが沸いてきたらまずは火が通りにくい野菜や魚介類などのダシが出るものを先に入れる。そして最後に、肉を一気に入れるだけ。「70種類以上の具材を用意していますので、好きなものを選んでたくさん食べてくださいね」という言葉通り、海老、ホタテ、ラム肉、豚肉・・・何を入れても味がまとまり、美味しさが凝縮されていく。〆には、このスープでおじやを・・・。
食べ進めるうちに、体の芯からポカポカになっている。この感覚は、次の日も続き、だんだんとりこになっている自分に気づく。
変化を楽しむ秘伝の味をめざして
「老麻火鍋房 渋谷 円山町店」料理人の徳持一勝さん。
元々はラーメンが専門だったが、縁あって火鍋に転身することに。
ラーメンと火鍋。スープが決め手となるというのはどちらにも共通しているが、内容は全然違うらしい。
ラーメンは、食べ始めから10分ほどの間に味の照準を合わせるが、火鍋は、様々な具材を入れてから1時間以上は美味しく食べられるスープを提供しなければならない。
今では薬膳を追求する徳持さん。「うちの火鍋は薬膳材料の量とブレンドの仕方が自慢です」と語る。都内でもトップクラスを誇る量の薬膳材料が入ったスープは、辛さの中に深みとコクが閉じ込められ、ここでしか食べられない味だ。
「最後まで楽しめる美味しいスープを作りたい」。この思いからはじまった老麻火鍋房の秘伝のスープ。
味の変化を研究し尽くした上で誕生した「最後まで美味しく食べられる」スープは、人々を魅了し続ける。
老麻火鍋房 渋谷 円山町店でこれだけは食べてほしいベスト3
■お問い合わせ
店名:老麻火鍋房 渋谷 円山町店
TEL:03-6455-3500
アクセス:JR各線 渋谷駅 徒歩8分
営業時間:18:00~05:00 (L.O.04:00)
無休
渋谷駅より徒歩8分。神泉駅より徒歩1分。視認できる物だけでも22種類以上の漢方食材をブレンドした薬膳火鍋が自慢の【老麻火鍋房】。かつて惜しまれながらも終了した【老湯火鍋房】の魂を受け継ぎ、さらに進化した無添加の薬膳火鍋を堪能することができます。イチオシはやっぱり『火鍋』。店舗で8時間かけて炊かれたスープは、痺れるような辛さが魅力の紅いスープと、深いコクとまろやかな旨みの白いスープの二種類。お肉や新鮮野菜にスープの旨味が加わり、深いコクと旨みを味わえる逸品です。店内はおしゃれで落ち着いた雰囲気。座り心地の良いソファー席や個室など、ゆっくりと食事を楽しめます。身体の中から元気にキレイに。
記事元:ヒトサラ https://hitosara.com/dish/05yakuzenhinabe.html
- TEXT :
- ヒトサラ編集部
公式サイト:ヒトサラ
- PHOTO :
- 永友 啓美