ビジネスでもプライベートでも、何かミスをしたり相手に迷惑をかけた際に使われるのが、「お詫び申し上げます」という言葉です。目上の方に謝罪の気持ちを伝える正しい敬語表現ですが、重みのある表現なので日常会話で些細な失敗に対して使うのは、大仰に聞こえるかもしれません。相手との関係や場面を考慮し、適切な言葉を選んで、謝罪の気持ちを上手に伝えましょう。

【目次】

正しい「お詫び申し上げます」のひと言で、ピンチを挽回!
正しい「お詫び申し上げます」のひと言で、ピンチを挽回!

【正しく理解したい!「お詫び申し上げます」の基礎知識】

■「意味」は?

「詫(わ)び」とは「あやまること。謝罪すること。また、そのことば」。
目上の人へ謝罪の気持ちを伝える際に使用されます。「すみませんでした」、「申し訳ありませんでした」よりも、丁寧で真摯な印象となりますので、シリアスなシーンですぐに使えるよう心に留めておきましょう。

■「敬語」としての種類は?

「敬語」には、以下の3種類があります。
(1)敬う気持ちを表現する「尊敬語」(おっしゃる、お話しくださる、ご利用なさる、様、先生、など)
(2)へりくだって敬意を表す「謙譲語」(いただく、申す、うかがう、拝見する、など)
(3)丁寧な言い方で敬意を表す「丁寧語」(です、ます、ございます、など)
「お詫び申し上げます」は、名詞の「詫び」に、相手への敬意を表す接頭語「お」をつけ、動詞「言う」の謙譲語である「申し上げる」、これに聞き手への丁寧な気持ちを表す助動詞の「ます」から構成されています。敬語の種類としては謙譲表現。

同じような構成となる表現に、
「お祝い申し上げます」「お悔やみ申し上げます」「ご報告申し上げます」…などがあります。


【ビジネスで使われるのはどんなシーン?】

目上の方へ、謝罪の気持ちを伝える際に使用されます。さまざまなミスに対して、口頭でもメールでも、謝罪会見などの公式な場面でも使うことが可能です。

■取引先に対してメールで:「この度は手前どもの不注意により、御社に多大なご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます」

■HPなど、公式な文書での謝罪:「この度、弊社の製品カタログにおいて一部誤記載がございました。ご不便をおかけしたことを深くお詫び申し上げますと共に、下記の通り訂正させていただきます」


【ビジネスでそのまま使える「例文」6選】

取引先の相手や上司に対し、謝罪の気持ちを表現する例文をご紹介します。「お詫び申し上げます」に付け加える言葉として、「平に」「深く」「心より」「謹んで」「心から(話し言葉)」を覚えておきましょう。また、謝罪する内容がふたつある場合は、「重ねて」と表現するとスマートです。

■1:「この度は私共の不手際でご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」

■2:「本来なら直接お伺いするところですが、まずは書面にてお詫び申し上げます」

■3:「お詫び申し上げると共に、早急に原因を突き止め、解決に努めさせていただきます」

■4:「失礼をいたしました。心よりお詫び申し上げます」

■5:「謹んでお詫び申し上げます」

■6:「また、ご連絡が遅くなりましたこと、重ねてお詫び申し上げます」


【知っておきたい。「お詫び申し上げます」の「注意点」】

「お詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」という表現からは、心からお詫びしている気持ちが伝わってきますが、ほぼ同じ意味の言葉を重ねることに違和感をもつ人もいます。
また、ただ謝罪の言葉を並べるだけでは、誠意が感じられないという人もいます。
・どうして、今回のミスが起こったのか…原因と経緯
・今後の具体的な対応策
謝罪文では、この2点を明記すると、相手に反省の気持ちが伝わります。


【似た意味で使える「言い換え」表現は?】

「お詫び申し上げます」と同様に、丁寧な謝罪を表わす表現として、「お詫びの申し上げようもございません」「お詫びの言葉もございません」などもあります。

■「お詫びの申し上げようもございません」

■「お詫びの言葉もございません」

■「猛省しております」

■「何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます」

■「陳謝いたします」

■「申し訳ございませんでした」

■「(失礼を)お許しください」

■「恐縮の至りでございます」

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ビジネスにおいて、パーフェクトに仕事をこなすのが理想ではありますが、実際にはミスやトラブルはつきものです。こうしたピンチのときこそ、迅速で誠意のある言動で、信頼の回復に努めましょう。まずは言い訳なしで、「深くお詫び申し上げます」のひと言を。場合によっては、もう少し率直な「申し訳ありませんでした」という言葉が、ストレートに謝罪の気持ちを伝えてくれるかもしれません。上手に使い分けて。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂) :