「オルタナティブ・メディスン」という言葉を聞いたことはありませんか? 「代替医療」や「補完医療」と訳しますが、漢方やヨガ、アロマテラピー、サプリメントなどを指すので、なじみがある人もいるでしょう。今回学ぶ「オルタナティブ」は、ビジネスはもちろん、生活全般にも関わるワードです。さまざまなシーンで上手に使えるよう、しっかりと解説していきます。

【目次】

「オルタナティブ〇〇」――いくつ思いつきますか?
「オルタナティブ〇〇」――いくつ思いつきますか?

【「オルタナティブ」の意味をしっかり確認!】

さまざまなシーンで使用される「オルタナティブ」ですが、ビジネスカタカナ語として正しく理解するうえでも、まずはしっかり単語としての意味を把握しましょう。

■「オルタナティブ」の意味

「オルタナティブ[alternative]」という単語は、【英語の「二者択一」という意味から転じ、現在あるもののかわりに選び得る新しい選択肢、代替案のこと】という意味の言葉です。語源は「変える」を意味するラテン語です。

■手元のキーボードを見て!

コンピューターのキーボードに「Alt(オルト)」がありますね。意識せずに使用しているかもしれませんが、この「Alt」とは「オルタネイトキー[Alternate Key]」のこと。ほかのキー(仮にC)と一緒に打つことで、Cというキーの通常の役割とは異なる動作を実行させる、それが「Altキー」の役割です。

このことからもわかるように、「オルタナティブ」は、「メインではない」「代替の」「代案の」「ほかの新しいスタイルの」などの意味で使われる単語です。


【ビジネスシーンではこんなふうに使われます】

■オルタナティブな戦略 ■発想のオルタナティブ ■オルタナティブな提案
■オルタナティブな働き方 

「既成のものの代わり」や「従来ではない新しいもの」という概念をもつので、新規事業やプロジェクトの発足時や、企画の提案など、ビジネスでは意欲的な場面で使われます

■「オルタナティブ」には別の意味も!

「代替」や「新たなもの」のほか、「二者択一」という意味もあります。「AかBか、オルタナティブな選択が求められる」というように使います。


【「オルタナティブ」を用いたビジネスシーンでの「例文」】

■1:「長引くコロナ禍によって、オルタナティブな働き方を受け入れる企業が激増した」

■2:「必ずしもよいとは限らないが、オルタナティブな提案には耳を傾けるべきだ」

■3:「どちらか一方しか選択できないという、オルタナティブな状況だ」

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【「オルタナティブ」の「類似語」「対義語」】

■類似語

・二者択一 ・代替案 ・カウンター(カルチャー)

■対義語

・主流 ・既存 ・現行 ・メジャー


【覚えておきたい「オルタナティブ」の「関連語」】

■オルタナティブ・テクノロジー

再生可能エネルギー資源を活用し,天然資源を保存しようとする技術のこと。1960~70年の公害問題やオイルショックを機に、これまでの科学技術に代わるものとして考えられました。太陽熱や水力エネルギーなどが「オルタナティブ・テクノロジー」にあたります。

■オルタナティブ・スクール

学校教育活動の選択肢を拡大するために設置された、多様なタイプの学校の総称。学年制や一斉授業、画一的なカリキュラムなどを用いる従来型の学校に対し、それらの点で独自の教育理念に基づいた新しい教育実践を目指すものが多い。子供の自由と自主性を重視する「フリー・スクール」、教室と時間割の壁を取り払った「オープン・スクール」、人種統合や公立学校の質の向上を目的に設立された多様な「マグネット・スクール」などがあります。

■オルタナティブ投資

「株式・債券などの伝統的な資産」以外への投資、あるいは、「資産を保有する伝統的投資手法とは異なる手法による投資」。例えば、天然資源・不動産・未公開株などを投資対象として、先物・オプション・スワップなどの新たな方法で投資することをいいます。

■オルタナティブ・トレード

社会的・経済的に弱い立場の人(企業・国)にも、公正な対価を支払う貿易方法。発展途上国の労働者などから搾取せず、正当な対価を支払って取引が行われるため、「オルタナティブ・トレード」が行われた商品は比較的高価になることが。コーヒーやバナナ、カカオ、手工芸品などで、「オルタナティブ・トレード」が行われています。「フェア・トレード」とも呼ばれます。

 

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今回学んだ「オルタナティブ」は、日本のビジネス界では21世紀になって加速度的に広まった感のあるカタカナ語です。誰もが「オルタナティブ」な柔軟性と「サスティナブル」な安定性を両立させて、仕事でもプライベートでも自分らしくありたいものですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本大百科全書』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『情報・知識imdas』(集英社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『ビジネス用語図鑑』(WAVE出版)/『あの新語もわかる カタカナ語 すぐに役立つ辞典』(河出書房新社) :