iPhoneのメール機能のひとつ、「メッセージをアーカイブ」や、インスタぐらむの「アーカイブに移動」を使ったことのある人は多いはず。大切なデータや写真を誤操作で消してしまわないためにも、「アーカイブ」の機能は便利ですね。今回のテーマは「アーカイブ」。なんとなくわかった気になっている曖昧な知識を、使いこなせる知識に変える、「カタカナ語」講座です。一緒に学びましょう!
【目次】
【「アーカイブ」の「意味」と「使い方」は?】
■もともとは、「公文書」「書庫」という「意味」
「アーカイブ」は「公文書」やそれを保管する「書庫」を示す言葉で、由来となるのは英語の[archive]です。
また、公共性が高く、今後、歴史的に重要になるかもしれない記録や資料を、1か所に保存・管理することや、そうしてまとめられた資料を保存・保管する施設や機関を指して「アーカイブ」といいます。例えば、テレビ局がもつ「過去の映像の保存・閲覧施設」が、「アーカイブ」です。
■ビジネスでは重要書類を「ひとまとめに保存」!
ビジネスシーンでは、なんらかの記録や資料をひとまとめにして保存する作業やその場所を「アーカイブ」といいます。またIT用語としては、「コンピューターに蓄積された複数のデータをひとつにまとめたり、圧縮したりする作業」や、「まとめられたデータ(ファイル)」が「アーカイブ」です。インターネット上で公開された「ファイルの保管庫」を意味する場合もあります。さらに、“sit”や“lzh”、“zip”などの拡張子で表される圧縮ファイルを指すことも。
一般には「アーカイブ」が多く用いられていますが、専門語としては「アーカイブズ」の語形が用いられることもあります。
■インスタグラムでは?
写真を投稿したものの、あまり「いいね!」がつかなかったものや、見直してみるとあまりうまく撮れていなかった写真を、消去せずに「非公開」にできる機能です。
【知っておきたい「アーカイブ」の「関連用語」】
■デジタルアーカイブ
博物館・美術館・公文書館などの所蔵資料や、自治体・大学・研究機関などの公共性が高いデータを電子化して管理・公開するシステムを指します。絵画・彫刻・文書・写真・音声・映像などを幅広く対象とし、インターネットを通じて資料目録を検索したり、デジタル画像などを閲覧したりすることが可能です。
■アーカイバー[archiver]
パソコンで、複数のファイルをひとつにまとめるプログラムのこと。通常、まとめるときにファイルを圧縮し、ファイルをまた使用するときには復元(解凍)します。
【別の言葉にするなら? 「言い換え」「類語」表現】
■保存資料 ■公文書(館) ■保存記録 ■保管庫 ■史料
「保存されたもの」を示す場合は、単に「記録」「資料」と言い換えるほうがわかりやすい場合も。歴史資料の場合は、「史料」と言い換えることも可能です。
また、国や地方自治体が公文書を保存・管理するものは「公文書(館)」が適切。歴史資料ならば「史料館」と言い換えることもできます。
■ライブラリー ■データベース
「ライブラリー」が、図書館をはじめとする資料を収集し、閲覧の機会を提供する場であることに対して、「アーカイブ」は、記録や資料を記録媒体にかかわらず、長期に保存するためのもの。
【ビジネスでの「使い方」がわかる「例文」5選】
■「資料をまとめて保管すること」の意味で
・「重要な資料はアーカイブしておくべきだ」
・「古いものもアーカイブとして残し、情報として蓄積していくべきだ」
■「データをまとめたり、ファイルを圧縮する」の意味で
・「メールで送ったアーカイブの件、ご確認よろしくお願いします」
・「消したくないけれど、人に見られたくないデータは、アーカイブに移しておくのがオススメ」
・「アーカイブの活用は、作業の効率化にもつながる」
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コロナ禍でステイホームが続くなか、美術館や博物館の「デジタルアーカイブ」は、自宅にいながらにして非日常の“美”を堪能できるツールとして広がりました。時には歴史的価値のある「アーカイブ」を堪能して、癒しの時間を過ごすのも素敵ですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『カタカナ語 すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社)/『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社)/『わかりやすく伝える 外来語 言い換え手引き』(ぎょうせい) :