上司から「新規プロジェクトのリーダーに君をアサインするよ」と言われたらうれしいですか? そもそも意味はわかりますか? 「アサイン」はさまざまな意味をもつ、ビジネスシーンでよく使われる単語です。また、業界によっては特別な使い方も…。今回は「アサイン」の使い方について解説します。
【目次】
【ビジネスシーンでの「アサイン」の基礎知識】
■「アサイン」を簡単にいうと「任命」「割り当て」「参加」です
動詞「アサイン[assign]」を『ランダムハウス英和辞典』で引くと、
【仕事や物などを割り当てる、あてがう/任務・部署などに任命(選任、配属)する】
【日時や場所などを定める、指定する/制限などを設ける、課す】
【財産や権利などを譲渡する】
【人や部隊を配属する、指揮下に編入する】
など、環境や状況によってさまざまな意味をカバーする英単語だとわかります。
■会議で頻出!ビジネスシーンで使われるときの意味
日本のビジネスシーンでは「役職や役割に任命する」「業務を割り当てる」、あるいは「作業に参加する」などの意味でよく使われるカタカナ語です。
■「ジョイン」「ジョイント」「アサインメント」
似たシーンで使われるカタカナ語に「ジョイン」や「ジョイント」があります。これは複数の企業が「提携すること」や「合同で作業すること」という意味で使用するもの。「アサイン」は、ひとりの人間やひとつの団体が何かに携わることを指すので、微妙に異なります。
また、カタカナビジネス用語としての「アサイン」は、本来は名詞の「アサインメント[assignment]」を使用するほうがふさわしい場合もあるのですが、どちらを使っても間違いではありません。ただ厳密には、「アサインメント」は「割り当てられた仕事」を指します。むしろビジネスユースとしては「アサイン」のほうが一般的といえます。
【ビジネスでの一般的な使い方がわかる「例文」6選】
さまざまなシーンで使用できる「アサイン」の使い方を見てみましょう。
■1:「この度リーダーにアサイン(任命)されました」
■2:「今回のアサイン(割り当て)は時間的にきつそうだ」
■3:「来月から新しいプロジェクトにアサイン(参加)することが決まった」
■4:「本件につきましては、ぜひ弊社をアサイン(指定)していただきたく…」
■5:「すぐに戦力となる有能な人材を至急アサイン(確保)してください」
■6:「業務委託をアサイン(了承)します」
【「アサイン」の「言い換え」】
■任命 ■割り当て ■参加 ■指定 ■確保 ■了承
例文のカッコ書きでもわかるように、カタカナビジネス用語の「アサイン」は、状況に応じた日本語に置き換えることができます。ビジネスシーンではカタカナ語を連呼するより、しっくりくる日本語を混ぜたほうが正解です。
【ホテルや飲食店で使われる「アサイン」の「特例」】
■ホテルや旅行業界では
「部屋割り」を意味します。「○○部長には、眺望が格別な部屋をアサインする」などと使います。「ルームアサイン」という言い方も。「シートアサイン」は「飛行機や列車の座席の割り当て」を意味します。
■飲食店では
「テーブルアサイン」も同様、「テーブルを割り当てる」こと。
■人材業界では
「採用」や「選出」といった意味でもよく使われます。「A社はプログラマー5名をアサインしたがっている」といえば、「採用したがっている」ということです。
■IT業界では
IT業界では、「数値をアサインする」「仕様をアサインする」というように、多くの場合「割り当てる」という意味に限定して使われます。
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抱えている課題にいつ着手するのか、予定を組んでいく行為のことも「アサインする」と表現できます。このようにさまざまなシーンで便利に使える「アサイン」ですが、それだけに意味が伝わりにくかったり、間違って受け取られてしまう場合も。カタカナ語にこだわらず、日本語で言い換えてみるのも大人のビジネススキルですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『いまさら聞けない ビジネス用語BOOK』(成美堂出版)/『そうだったのか! スゴ訳 あたらしいカタカナ語辞典』(高橋書店) :