なぜ【シジミ目(大人の加齢による小さな目)】になってしまうのでしょう?その原因を深堀り!
「この頃、目が小さくなった?」年齢を重ねて、ふと気がつく、目の大きさの変化。それは、たるんだまぶたがかぶって目を隠してしまう、大人の【シジミ目】。大人になると目は小粒化していくのです。目が小さいというだけで、顔が地味見えするし、メイクしても目力が出ない。なんとなく自覚していた人も、今の今まで考えたことがなかった人も、気づいてしまったら、もう知らない自分には戻れないはず。
毎日のお手入れで少しでも目を大きく。アイメイクも見直して目元を華やかに。シジミ目から時を戻しましょう。シジミ目を脱するには、まず、シジミ目を知ることから。実は、シジミ目とひと口にいってもふたつのタイプがあります。あなたの目はどっちのタイプ?そして、なぜ年齢を重ねると目が小粒に見えてしまうのか?形成外科医の寺島先生に解説していただきました。
プレシャス世代の100%が皮膚たるみ系シジミ目予備軍です!
これまで何万もの目元の相談を受け、眼瞼下垂やクマ取りなどの手術を手掛けてきた、形成外科専門医の寺島ドクター。ドクターによると、加齢による大人のシジミ目は、大きく2タイプに分けられるそう。
「ひとつは、たるんだ皮膚が目に覆いかぶさって、まさに肉のカーテンのように目を隠してしまう、Aタイプ(下のイラスト参照)です。特に目尻側の皮膚が垂れ下がり、尻すぼみの三角目のように見えてしまいます。このタイプは、もともと二重だったとしても、まぶたが上からかぶってくるので、奥二重や腫れぼったい一重のように見えてしまうことがあります。
原因はもちろん皮膚のたるみ。年齢を重ねれば、誰にでも等しく起こるものです。40歳を過ぎてまったくたるんでいない人はいないはずなので、プレシャス世代なら100%このたるみ系タイプのシジミ目予備軍といえるでしょう」
Aタイプ:たるみ系シジミ目
たるんだ皮膚が肉のカーテンのように目を隠してしまっているタイプのシジミ目。特に目尻側がかぶって、三角目のように見えたり、二重なのに奥二重や一重のように見えたりします。
40代以降は全員シジミ目の危険ありとは、かなりショッキング!
「加齢によって皮膚がたるむことは誰にとっても不可避ですが、さらに、日常的に日焼けしていたり、花粉症やアトピー性皮膚炎などで目を頻繁に擦こすったり、落ちにくいアイメイクやクレンジングなどで目元を摩擦していると、皮膚が劣化し、たるみが進行します。
まぶたの皮膚は体のなかでも最も柔らかい部分のひとつ。ピザ生地がこねられて大きく広がっていくように、摩擦の刺激によって皮膚も伸びてしまうのです。皮膚のかゆみのせいなどで長い間目を擦り続けた場合、まつげの生え際の皮膚が本当に透けるように薄くなってしまうこともあります」
Aタイプのたるみ系シジミ目を、もしクリニックで治療するとしたら、どのような方法が選択されるのでしょう?
「たるみによるシジミ目を手術で解決するのなら、不要な皮膚を眉の下などで切り取って縫い直すことになります。この余った皮膚を切り取る手術は、自費での“たるみ取り”の手術として当クリニックでも、よく行っています」
たるみ系シジミ目には、骨や脂肪は関係ないのでしょうか?
「骨や脂肪や筋肉も、目元の印象に大きく関係しています。とくに、加齢と共に眼がん窩か隔かく壁へきという眼球を包む薄い膜がゆるむと脂肪が眼球の下側に落ちてきて、目の下がぷっくり飛び出す感じになりやすいです。脂肪が移動したぶん、目の上が凹んで“くぼみ目”になりやすく、これはこれで老けた印象になります」
Aタイプ:たるみ系シジミ目のメカニズム
原因は皮膚のたるみ。まぶたが目に覆いかぶさってきている状態。プレシャス世代のほとんどは既にたるみ系シジミ目になっている説もアリ。また、たるんだ皮膚は脂肪も支えきれなくなる。
なかには目を開けたくても開き切らないシジミ目もあります
もうひとつのシジミ目はどのようなものでしょうか?
「簡単にいうと、目を開ける筋(すじ)が伸びてきていて、まぶたが持ち上がりにくくなっている状態。目を見開きたくても見開けない、これがBタイプ(下のイラスト参照)のシジミ目です。
目の裏側には、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋という筋肉があり、その筋肉につながる腱膜とミューラー筋という細い筋(すじ)があります。これらが伸びきって、最終的にペラペラに薄くなってしまうのです。
まぶたが半開きのようになってしまうので、眠たそうに見えますし、二重の幅が広がって見えたり、黒目が隠れてしまうことも多いです。目を見開くたびに、額などに負担がかかり、顔が疲れるのもストレスですね」
Bタイプ:伸びきり系シジミ目
まぶたが持ち上がりにくく、目が開けづらいタイプのシジミ目。半開きの眠たそうな目に見えてしまったり、もともとの二重の幅が広がってしまうことも。黒目も隠れがちになってしまいます。
Bタイプのシジミ目はよくあるケースなのでしょうか?
「全体の1〜2割といったところです。実はシジミ目のほとんどは、Aタイプのたるみ系シジミ目なのです。Bタイプに当てはまる人は、皮膚のたるみも同時に起こしているので、正確にはA+Bの複合型ということになります」
伸びきり系タイプのシジミ目も加齢によるのでしょうか?
「加齢でもなりますが、ハードコンタクトレンズを長く使用していると、かなりの確率で重症化するといわれています。ほかにも、花粉症やアトピー性皮膚炎などで目を頻繁に擦るのも、腱膜とミューラー筋を劣化させるのでよくないです」
このタイプのシジミ目を手術で解消するとしたら、どのような方法が選択されるのでしょう?
「伸びきってしまった腱膜やミューラー筋が原因ですので、私だったらまぶたの内側で腱膜やミューラー筋を縫って縮める方法を選びます。まさにタックをとるように縫うので、“ミューラータッキング”と呼ばれる手法です。
まぶたの表面には一切傷がつかない手術です。しかし、クリニックやドクターによってはこの手法を使っていない場合もあります」
Bタイプ:伸びきり系シジミ目のメカニズム
原因は目の中の腱膜やミューラー筋。まぶたを持ち上げる筋が伸びてきている状態。目を開けづらいと感じたら、このタイプを疑ってみていいかも。
シジミ目の原因は、第一に皮膚のたるみ、第二に目の中の構造の劣化と判明しました。今できることは、皮膚のハリ弾力を維持し、たるみを少しでも遅らせること。
摩擦などの刺激や紫外線などのダメージから目元を守ること。そして、目を開けるたびに負担をかけている、目元や顔の疲れをとることも、実践していきたいところです。
- PHOTO :
- Getty Images
- ILLUSTRATION :
- 石田敦子、きくちりえ(Softdesign LLP)
- EDIT&WRITING :
- 木更容子、佐藤友貴絵(Precious)