「お手間を取らせてしまい」は、相手に時間や労力をかけさせてしまったことをお詫びする場面で多く使われる言葉です。きちんと意味を理解することで、より感じよく、このフレーズが使えるはず。しっかり学んで、洗練された言葉遣いを目指しましょう!
【目次】
【押さえておきたい「お手間を取らせてしまい」の「基礎知識」】
■「意味」
「手間」は「そのことをするのに費やされる時間や労力」を意味する言葉です。ですから「お手間を取らせてしまい」というフレーズは、「時間を取らせてしまい」「お手数をおかけしてしまい」といった意味となり、多くの場合、あとに「申し訳ない気持ち」、あるいは「感謝の気持ち」を表すフレーズが続きます。
「お手間を取らせてしまい申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします」のように、「依頼」の場面で使われることも多いフレーズです。自分が依頼することによって、その人が今後費やすであろう時間や労力に対し、申し訳ない気持ちをにじませます。
■「目上の人」に使える?
「お手間を取らせてしまい」の「お」は、名詞に付けて、その名詞に関する人に敬意を表す「接頭語」です。つまり「お手間を取らせてしまい」は正しい敬語表現ですから、目上の方に対して使える言葉です。メールでも対面でも使用できます。
ただし、敬意の度合いとしてはそれ程高くありませんので、より丁寧な言葉遣いにするのであれば、「お手間を取らせてしまい」のあとに続くフレーズも丁寧な敬語表現にするとよいでしょう。
親しい同僚や部下に対してこの言葉を使う際には、「手間をかけて悪かったね」のように、相手を立てる接頭語「お」を外して使ったほうが自然かもしれません。
■「お手数をかけさせてしまい」との違いは?
「手数」は「それをするのに要する動作・作業などの数。てかず」、「 他人のためにことさらにかける手間」という意味をもつ言葉です。「お手間を取らせてしまい」と大きな違いはなく、同じように使えるフレーズです。
注意していただきたいのは、「手間取る」という言葉からもわかるように、「手間」は「取る」ものですが、「手数」は「かける」もの。正しく使い分けたいですね!
【ビジネスでの「使い方」がわかる実用「例文」5選】
■「お詫び」の意味で
「お手間を取らせてしまい」というフレーズは、相手が自分のために労力や時間をかけたことに対して使われる言葉です。そのため、「申し訳ない」気持ちをにじませつつ、お詫びするシーンで使われることが多いのです。
・「このたびは、お手間を取らせてしまい申し訳ございませんでした」
・「私どもの不手際のためにお手間を取らせてしまい、誠に申し訳ございませんでした」
■「感謝」を込めて
「労力や時間をかけてくださり、ありがとうございます」という意味で「感謝」を表現する際にも使われます。
・「先日は急な変更のためにお手間を取らせてしまいましたが、ご対応くださりありがとうございました」
■「依頼」のシーンで
自分の依頼により、その人が今後費やすであろう時間や労力に対し、申し訳ない気持ちをにじませます。
・「お手間を取らせてしまい申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします」
・「お手間を取らせてしまいますが、ご容赦いただけますようお願い申し上げます」
・「お手間を取らせてしまいますが、どうぞよろしくお願い申し上げます」
【同じ意味で使える「類語」「言い換え」表現】
■お手を煩わせてしまい
「煩(わずら)わす」は「骨を折らせる。面倒をかける」といった意味の言葉であることから、「手を煩わせる」とは、「相手に面倒をかけてしまうこと」を意味します。また、「煩う」は「悩む、心配する、苦労する」といった意味ももつので、労力や時間の意味で使われる「手間」よりも、 心理的な負担や面倒をかけるニュアンスが強い言葉です。
■お手数をおかけして ■ご負担をおかけてして
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「お手間を取らせてしまい」というフレーズは、相手に何かを依頼したいときや、謝罪したいときに使用できる、敬語表現です。ビジネスでは上司や取引先に対しても、自分の都合で作業や確認を依頼しなければならない場面も多いものです。相手に対して誠実な気持ちをにじませる言葉ですので、この機会にぜひ意味や使い方を覚えておきましょう。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉(小学館) :