心配をかけた相手に対し「ご心配ありがとうございます」とお礼を述べるのは、社会人としての最低限のマナーです。対面でも電話やメールや手紙でも、可能な状況なら速やかに一報を入れたいもの。「ご心配ありがとうございます」を、ビジネスシーンで正しく、より感じよく使う方法などを確認していきましょう。

【目次】

「ご心配ありがとうございます」は使わないに越したことはないけれど…
「ご心配ありがとうございます」は使わないに越したことはないけれど…

【「ご心配ありがとうございます」の意味など基本をチェック!】

■ただのお礼フレーズじゃない!…意味

ネガティブな状況に対する気遣いや配慮に対して、謝意を示すフレーズです。「ありがとうございます」のひと言より、「あなたの気持ちや対応に感謝しています」という印象がプラスされるので、よりコミュ力の高い“大人のフレーズ”であるといえます。

■どんなシーンで、誰に、いつ?…使い方

「ご心配ありがとうございます」は、「心配してくれてありがとう」「気にかけてくれてありがとう」の丁寧な言い回しです。体調を崩した、怪我をした、身内に不幸があったなどの個人的なことから、進行中の仕事にトラブルがあったなど、さまざまな状況で、社内の人や仕事仲間、あるいは取引先などに気遣いや配慮をしてもらった際に使用します。その状況がそれほど心配のない軽いものであれば、できるだけ早く謝意を伝えたいものです。

■「ご心配ありがとうございます」では足りない!…大人の語彙力

「ご心配ありがとうございます」と連絡ができる状態ではある、ということは、相手にとってひとつの安心材料ですが、もうひと言加えるのが“大人の語彙力”というもの。このお礼フレーズの前後に、「おかげさまですっかり回復しました」など、簡単でいいので現状報告を忘れずに!


【「ご心配ありがとうございます」をもっと丁寧に!】

「ご心配ありがとうございます」では少々敬語として足りないのでは…という相手、会社の上層部の人や、取引先の目上の人などへ、あるいはお礼状としての文章の場合は、下記のような敬語表現を使うといいでしょう。

・ご心配いただきありがとうございます。

・ご心配くださり恐縮に存じます。

・ご心配を賜り、感謝申し上げます。


【仕事の関係者に「そのまま使える例文」3選】

■1:「先日は私の体調不良により、大変ご迷惑をおかけいたしました。ご心配いただきありがとうございます。本日より元気に出社しておりますので、お打ち合わせのお時間を改めて頂戴できますでしょうか」

■2:「このたびの弊社のトラブルにおきまして、貴殿より多大なご心配を賜り、感謝申し上げます。明日より業務を再開いたしますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」

■3:「ご心配ありがとうございます。しばらくは時短勤務となりご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、引き続きお力添えいただけますと幸いです」


【「類語」や「言い換え」でもっとデキる表現に!】

■「ご心配」の「類語」「言い換え」

・ご配慮 ・お心配(こころくば)り ・お気遣い ・お心遣い ・ご交配

■「ありがとうございます」同様、謝意を伝える「類語」「言い換え」

・感謝いたします ・感謝申し上げます ・御礼申し上げます ・恐縮です ・恐縮に存じます

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困ったことが起こったときの気遣いやサポートは、程度の多少にかかわらずうれしいもの。困っている人に、さっと声を掛けたり手を差し伸べたりすることができる人になりたいですね。このIT社会においても、やはり人と人とのコミュニケーションは不可欠なのです。いざというときに慌てないよう、“語彙力”も“人間力”も磨いていきましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『すぐに使えて、きちんと伝わる 敬語サクッとノート』(永岡書店) :