【目次】

【「ご教示」の「読み方」と「意味」】

■読み方

「ご教示」は「ごきょうじ」と読みます。

■「教示」とは

「教示」とは「知識や方法などを教え示すこと」です。

■「ご教示いただけますでしょうか」の成り立ち

「ご教示いただけますでしょうか」は、「ご」「教示」「いただけ」「ますでしょうか」と4つの語から成っています。「ご」は敬意を表す接頭語、「教示」は知識や方法などを教え示すこと、「いただけ(いただく)」は恩恵となる行為を受ける際の補助動詞、「ますでしょうか」は問いかけの丁寧な言い方です。

■「ご教示いただけますでしょうか」の意味

「ご教示いただけますでしょうか」は、「教えてほしい」という依頼を丁寧に表現するフレーズです。ビジネスシーンでは、取引先の相手や上司などに質問する際に使われますね。そしてどちらかといえば、話し言葉としてよりも、メールなどの文章としてよく使われるフレーズです。対面や電話での会話なら、シンプルに「教えていただけますでしょうか」が好印象でしょう。また、同僚や部下、後輩など、自分と同等か目下の相手には、堅苦しい印象を与えてしまうので気を付けて。


【使い方がわかる「メール例文」】

■1:「恐れ入りますが、昨日のミーティングでご提案がありました改善策について、次回、再度ご教示いただけますでしょうか」

■2:「参考にされた資料をご教示いただけますでしょうか」

■3:「差し支えなければ、御社のお考えをご教示いただけますでしょうか」

■4:「明日はどなたさまをお訪ねしたらよいか、ご教示いただけますでしょうか」

■5:「お忙しいところ申し訳ありませんが、新しいシステムの操作方法をご教示いただけますでしょうか」

「恐れ入りますが」「恐縮ですが」「お手数をおかけしますが」「申し訳ありませんが」「よろしければ」「差し支えなければ」など、「クッション言葉」や「マジックフレーズ」と呼ばれる言葉をプラスすれば、ぐっと印象もよくなるはずです。


【同じ意味で使える「言い換え」表現】

「教示」と似た言葉に「教授」がありますが、「教授」とは学問などを長期にわたって教えること。「教示」は「教え示すこと」なので、もっとコンパクトな事柄に使います。「教授=授業」、「教示=情報伝達」くらいのイメージで覚えておくといいでしょう。

■「ご教示」の言い換え

・お教え ・ご説明 ・ご案内 ・お知らせ 

■「いただけますでしょうか」の言い換え

・くださいますでしょうか ・くださいませ ・いただけますか ・いただけますと幸いです 
・お願いいたします 

■「ご教示いただけますでしょうか」の感じのいい言い換え

・お教えくださいませ ・お教えいただけますと幸いに存じます ・お知らせくださいますでしょうか


【「ご教示いただけますでしょうか」は「二重敬語」なの?】

■敬語として正しい?

「ご教示いただけますでしょうか」は「二重敬語では?」と不安になる人がいるかもしれませんね。でもご安心ください。「ご教示いただけますでしょうか」は二重敬語ではない、正しい敬語表現です。

「二重敬語」とは、ひとつの語に同じ種類の敬語を二重に使ったもの。現在、敬語は「尊敬語 」と 2種類の 「謙譲語」、「丁寧語」と「美化語」の5種類に分かれています。例えば「お読みになられる」は、「読む」という語を、「お読みになる」と尊敬語表現にしたうえで、さらに尊敬の助動詞「(読ま)れる」を加えていますから、二重敬語です。

一方、「いただけますでしょうか」を細かく解説すると、「(~して)もらう」の謙譲語「(~して)いただく」に丁寧語の助動詞「ます」、断定「だ」の丁寧語である助動詞「です(でしょ)」に推量の助動詞「う」、それに疑問の助詞「か」がついた言葉です。つまり「いただけますでしょうか」は「(〜して)もらえるだろうか」の敬語表現です。多分、文法的に気になるのは、ひとつのフレーズのなかで「ます」と「です」という丁寧語がふたつ使われている点ではないでしょうか。でも「ます」と「です」は別々の語であり、ひとつの言葉に同じ種類の敬語を重ねているわけではありません。従って、二重敬語にはあたらないのです。

とはいえ、敬語としては正しくても、二重敬語では? という疑問を抱く人は多く、さらに少々まわりくどい表現であるのはたしかです。いっそシンプルに「ご教示いただけますか」あるいは「教えていただけますか」とするのも、ひとつの選択です。


【ビジネスシーンで使う際の「注意点」まとめ】

■目上の相手に使う

■単発で済むような内容を教えてもらう際に

■話し言葉では使わない

敬語や丁寧な言い回しは、相手やシチュエーションを鑑みて使用するのが“大人の語彙力”です。「丁寧なほうがいい」「とにかく敬語を使えばいい」のは誤りで、「相手に失礼がないシンプルな物言い」こそ“大人の語彙力”なのです。

***

「ご教示いただけますでしょうか」は「教えてもらえるだろうか」を丁寧に表現した正しい敬語フレーズです。とはいえ、二重敬語では? と疑問を抱く人が多いうえに、少々まわりくどい印象を与える言葉でもあります。特に対面であれば、シンプルに「お教えください」と表現するのがスマート。「大人の語彙力」としては、「正しい」「正しくない」という当然の選択だけでなく、「より洗練された表現」を身に付けていきたいものです。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店) :