「ご教示いただけますでしょうか」は、メールなどで相手に教えを乞う場合に便利なフレーズです。あなたも使ったり使われたりすることがあると思います。相手を立ててへりくだった言い方ですが、同僚や部下にも同じように使うべき? 今回は、この「ご教示いただけますでしょうか」について、疑問を残さずすっきり使えるように解説していきます。
【目次】
- 「ご教示いただけますでしょうか」の基礎をさらっと解説
- 「ご教示いただけますでしょうか」は「二重敬語」なの?
- 使い方がすっきりわかる「メール例文」5選
- 「ご教示いただけますでしょうか」の「言い換え」表現
- ビジネスシーンで使う際の「注意点」まとめ
【「ご教示いただけますでしょうか」の基礎をさらっと解説】
■フレーズの成り立ち
「ご」「教示」「いただけ」「ますでしょうか」と4つの語から成っています。
「ご」は敬意を表す接頭語、「教示」は知識や方法などを教え示すこと、「いただけ(いただく)」は恩恵となる行為を受ける際の補助動詞、「ますでしょうか」は問いかけの丁寧な言い方です。
■意味
「ご教示いただけますでしょうか」は、「教えてほしい」と丁寧な要求を意味します。ビジネスシーンでは、取引先の相手や上司などに質問する際によく使われますね。同僚や部下、後輩など、自分と同等か目下の相手には、堅苦しい印象を与えてしまうので気を付けて。
また、話し言葉としてではなく、メールなどの文章フレーズとして使われます。対面や電話での会話なら、シンプルに「教えていただけますでしょうか」が好印象でしょう。
「教示」と似た言葉に「教授」がありますが、「教授」とは学問などを長期にわたって教えること。「教示」は「教え示すこと」なので、もっとコンパクトな事柄に使います。「教授=授業」、「教示=情報伝達」くらいのイメージで覚えておくといいでしょう。
【「ご教示いただけますでしょうか」は「二重敬語」なの?】
「ご」が敬意を表す接頭語、「いただけますでしょうか」も丁寧語を使ったフレーズなので「二重敬語では?」と不安になることもあるかと思いますが、「ご教示いただけますでしょうか」は正しい敬語表現です。
敬語には、「尊敬語」「謙譲語(2種類)」「丁寧語」「美化語」と種類が5つあり、二重敬語は「ひとつの語に対して同じ種類の敬語を重ねて使用する」のが不適切とされます。
例えば「お読みになられますか」は、「お読みになる」と「読まれる」というふたつの「尊敬語」を二重に用いてしまっているので二重敬語に。この場合は「お読みになりますか」または「読まれますか」が正解です。
【使い方がすっきりわかる「メール例文」5選】
■1:「恐れ入りますが、昨日のミーティングでご提案がありました改善策について、次回、再度教示いただけますでしょうか」
■2:「参考にされた資料をご教示いただけますでしょうか」
■3:「差し支えなければ、御社のお考えをご教示いただけますでしょうか」
■4:「明日はどなた様をお訪ねしたらよいか、ご教示いただけますでしょうか」
■5:「お忙しいところ申し訳ありませんが、新しいシステムの操作方法をご教示いただけますでしょうか」
「恐れ入りますが」「恐縮ですが」「お手数をおかけしますが」「申し訳ありませんが」「よろしければ」「差し支えなければ」など、「クッション言葉」や「マジックフレーズ」と呼ばれる言葉をプラスすれば、ぐっと印象もよくなるはずです。
【「ご教示いただけますでしょうか」の「言い換え」表現】
■「ご教示」の言い換え
・お教え ・ご説明 ・ご案内 ・お知らせ
■「いただけますでしょうか」の言い換え
・くださいますでしょうか ・くださいませ ・いただけますか ・いただけますと幸いです
・お願いいたします
■「ご教示いただけますでしょうか」の感じのいい言い換え
・お教えくださいませ ・お教えいただけますと幸いに存じます ・お知らせくださいますでしょうか
【ビジネスシーンで使う際の「注意点」まとめ】
■目上の相手に使う
■単発で済むような内容を教えてもらう際に
■話し言葉では使わない
敬語や丁寧な言い回しは、相手やシチュエーションを鑑みて使用するのが“大人の語彙力”です。「丁寧なほうがいい」「とにかく敬語を使えばいい」のは誤りで、「相手に失礼がないシンプルな物言い」こそ“大人の語彙力”なのです。
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大正・昭和と活躍した歴史小説家・吉川英治が遺した言葉「我以外皆我師」は、「自分以外はみな自分にとっての師である」という意味ですが、ビジネスシーンにおいても心に刻んでおきたい名文句。些細な事柄でも、その気持ちを忘れないでいたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『印象が飛躍的にアップする 大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)/『大人なら知っておきたい モノの言い方サクッとノート』(永岡書店) :