勤めている会社へ休暇を申請する際に「家事都合」という単語を使ったことはありますか? 2019年4月に改正された労働基準法では、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日以上の取得が義務付けられました。政府による“働き方改革”の一環ですが、労働者である私たちも、雇い主である企業側も、気持ちよく取得できる、あるいは取得させられる、そんな環境であるといいですね。今回はそんな休暇と関わりの深い「家事都合」について解説します。
【目次】
【「家事都合」の正しい「意味」や「使い方」】
■読み方
「かじつごう」と読みます。
■意味
「家事」は、掃除や洗濯、炊事、育児など、家庭生活に欠かせない仕事や労働のこと。また、家庭内の事情や事柄を表します。「都合」は、何かをするときにほかの物事に影響を及ぼす「事情」や「理由」という意味。「家事都合」は、「家庭内の事情による理由」と翻訳できます。
■使い方
本来、有給休暇の取得は労働者の権利であり雇用主の義務ですから、申請理由は不要です。しかし、休暇の理由を尋ねられるケースも少なくありませんね。その際に大変便利に使えるのがこの「家事都合」です。家庭内のなんらかの事情によるものである「家事都合」は、理由が自分にある「私事都合」より印象がいいからです。たとえひとり暮らしであっても、就業時間内に室内の立ち合い点検があったり、役所での申請は平日の日中しか手続きできないなどの事情があったりする場合も。ひとり暮らしでも家族がいても、「家事都合」は使えるワードです。
■「私事都合」とどう違う?
「私事都合(しじつごう)」の「私事」は、 自分個人のことや私生活に関係したことを示します。「私事都合」は「個人的な用事による理由」と翻訳できるでしょう。
「家事都合」は自分以外に理由があり、「私事都合」は自分自身に理由がある、というわけです。
【ビジネスでの使い方がわかる「例文」5選】
■1:「来月に2日間、家事都合により休暇をいただきます」
■2:「家事都合による有給休暇を申請します」
■3:「申請理由は家事都合でよろしいでしょうか?」
■4:「来週は家事都合による休暇取得者が2名いるので、業務のやりくりが大変だ」
■5:「同居していない親の介護も、家事都合となるのだろうか」
親の介護や子供の看護、自分の治療や検査のための通院など、健康理由は大変プライベートな事柄で、周囲に知られたくない場合もあるでしょう。そんなときにも「家事都合」を活用したいですね。
【「有給休暇」「慶弔休暇」「産休」「育休」を上手に活用!】
本来「有給休暇」に理由は必要ありませんが、スムースに気持ちよく休暇を取るために「家事都合」を活用して、と解説しましたが、冠婚葬祭については「慶弔休暇」として取得できる会社も少なくありません。無給休暇ではありますが、会社から「慶弔見舞金」が支給されることもあるので、就業規則をしっかり確認しましょう。
また、「産前休暇」や「産後休暇」、「育児休暇」も労働者の権利です。定められた休暇を取得することは心身のリフレッシュにつながり、ひいては業務にもよい影響を及ぼすことになるかもしれません。業務にできるだけ支障が出ないよう、可能な場合は前もって休暇申請する――そんな配慮も“大人の働き方”ですね。
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休暇申請時に便利に使える「家事都合」というワードについて、確認できたでしょうか。しっかり休暇を取りながら、できるだけ無理なく日々の仕事をこなしていきたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『すぐに使えて、きちんと伝わる 敬語サクッとノート』(永岡書店) :