「せっかくの機会ですので、ぜひご覧ください」のように使われる「ですので」。普段は無意識に使っている言葉ですが、どんな役割の語なのでしょう。実は文頭で「ですので」を使うのは誤りです。今回は「ですので」について、徹底解説します!
【目次】
- 「意味」は?「ですので」を正しく理解するための「基礎知識」
- 「ですので」は「文頭」で使えない!「言い換え」表現は?
- メールなど「書き言葉」への「言い換え」表現
- 「敬語」で伝えたいときの「言い換え」表現
【「意味」は?「ですので」を正しく理解するための「基礎知識」】
■「ですので」の「意味」は?
まずは「ですので」を文法的に解説しましょう。「ですので」は「です・ので」と分解できます。「です」は「丁寧な断定」を表す助動詞。断定の助動詞「だ」の丁寧語です。「ので」はあとに続く文章の「原因・理由・根拠・動機」などを表す接続助詞で、「から」と同じように使われます。助動詞「です」が「だ」を丁寧にした表現で、「ので」は「から」とほぼ同じ意味の言葉…ということから、「ですので」は「なので(「だ」の連体形+ので)」や「~だから」を丁寧な表現にした言葉であり、「ですから」と同じ意味で使われることがわかります。ちなみに『日本国語大辞典』には、「ですから」は接続詞として記述がありますが、「ですので」という言葉は記載されていません。
■「ですので」の「使い方」がわかる「例文」5選
「ですので」の具体的な使い方を例文でご紹介しましょう。必ず文中で用いられます。
・「貴重な機会ですので、ぜひご覧になってください」
・「明日は非常に大事な会議ですので、時間厳守でお願いします」
・「せっかくですので、お言葉に甘えさせていただきます」
・「雨が降っているようですので、傘をお持ちになったほうがいいですよ」
・「申し訳ありませんが明日は定休日ですので、明後日以降にお願いします」
これらの例文からもわかるように、「ですので」は基本的に会話で使用される表現です。
【「ですので」は「文頭」で使えない!「言い換え」表現は?】
「ですので」の「です」は終助詞(文章の終わりを意味する助詞」なので、文頭に使うのは「不正解」。「ですから」を接続詞「だから」の敬語表現だと勘違いしている人がいるかもしれませんが、接続詞に敬語はありません。上述の通り『日本国語大辞典』では、接続詞としての表記がありますから、使っても間違いとはいえませんが、違和感をもつ人も少なくないので、使わないほうがベターです。端的に的確に話すために、文章を区切って「だから」という意味合いでつなげたいときには、「そのため」「つきましては」など、前の文章を受ける指示語を使うのがスマートです。
■NG:「明日は9時に出社いたします。ですので9時以降なら何時でも結構です」
■OK:「明日は9時に出社いたします。つきましては9時以降なら何時でも結構です」
■OK:「明日は8時出社なの。だから9時以降なら何時でも大丈夫よ」
「だから」は接続詞なので文頭で使っても間違いにはなりません。ただし、目上の方に対してはカジュアルすぎるため、ビジネスシーンでは同僚や後輩への使用にとどめるのが正解といえます。
■OK:「明日は9時に出社いたしますので、9時以降なら何時でも結構です」
【メールなど「書き言葉」への「言い換え」表現】
「ですので」は基本的に会話で使用される「話し言葉」ですから、ビジネスシーンでもメールなどの文書で使うのは避けましょう。特に改まった文章中に用いるのは誤りです。
■従いまして ■そのため
【「敬語」で伝えたいときの「言い換え」表現】
「ですので」は丁寧語を使った敬語表現です。さらに丁重度を高めた表現にすると「ございますので」となりますが、丁寧に言い変えたときは後に続く語句の丁重度も高めたほうが、バランスのよい文章となります。
■ございますので ■ございますから
・「貴重な機会ですので、ぜひご覧になってください」→「貴重な機会でございますので、ご高覧いただけると幸いです」
・「雨が降っているようですので、傘をお持ちになったほうがいいですよ」→「雨が降っているようでございますから、傘をお持ちになったほうがよろしいかと存じます」
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いかがでしたか?「ですので」を文頭で使用するのは誤った用法であることが、おわかりいただけたでしょうか? また、文法的な意味とは別に、「ですので、今日は定休日と申し上げましたが…?」といった表現には非難がましいニュアンスをキャッチし、不快に感じる人も多いようです。加えて「ですので」は口語表現のため、文章中に使っても、メールで使用することに違和感をもつ人も多いはず。無意識に使ってしまう言葉ほど、正しい使い方を知識としてもっておきたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) :