【目次】
- 「意味」は?「ですので」を正しく理解するための「基礎知識」
- 「ですので」は「文頭」で使えない!「言い換え」表現は?
- メールなど「書き言葉」への「言い換え」表現
- 「敬語」で伝えたいときの「言い換え」表現
【「ですので」を正しく理解するための「基礎知識」】
■「ですので」は「なので」の丁寧な表現
「明日はとても大事な会議ですので、時間厳守でお願いします」というように、「ですので」は日常的によく使われている言葉です。でも実は、「ですので」が載っている辞書は多くありません。『明鏡国語辞典』には「ですので」が掲載されており、新しい言葉と断ったうえで、「なので」の丁寧な言い方と説明されています。
元の言葉である「なので」は、「前に述べたことを理由として、その帰結を導く」言葉です。「今日は早朝練習なので、早起きした」というふうに使われますね。この「なので」も実は新しい言葉で、載っていない辞書もあるのですが…、今回はこの話題はおいておきましょう。
■「ですので」は「書き言葉」では用いない
「なので」の丁寧な表現である「ですので」は、助動詞「です」と接続助詞「ので」が合わさって接続詞になった言葉で書き言葉では用いない、と『明鏡国語辞典』では注意書きがされています。
つまり、『ですので』は、『理由』を表す丁寧な接続詞だけれども、『書き言葉』としては使わないということですね。ただし、近年ではビジネスメールや日常的な文章に用いる人も増えており、“完全な誤用”というよりは“フォーマルな文書には不向き”と考えた方がよいでしょう。
【「ですので」は「文頭」で使えない!「言い換え」表現は?】
■「ですので」は「ですから」に言い換える
「ですので、明日は時間厳守でお願いします」というように、文章の頭に「ですので」が使われることがありますが、違和感があるという方も多いのではないでしょうか。その感覚は正しいもので、「ですので」が文頭にくるのは一般的ではない使い方です。もっとも、会話では文頭に置く例も多く、口語としては十分に通じます。『文章にすると違和感がある』と覚えておくと安心です。そもそも「ですので」は話し言葉ではよく使われていますが、書き言葉では避けるべき言葉だと覚えておくのがよいでしょう。
「ですので」の言い換え表現は、「なので」と「だから」です。でも、これらは少しくだけた印象の言葉なので、もう少し丁寧に表現したいですね。そんなときは「ですから」が最適な表現です。
実際に例文で見てみましょう。
NG:「明日は9時に出社します。ですので、9時以降ならいつでも大丈夫です」
OK:「明日は9時に出社します。ですから、9時以降ならいつでも大丈夫です」
「ですから」は、文頭で使っても間違いではありません。
【メールなど「書き言葉」での「言い換え」表現】
「ですので」は、会話で使用される話し言葉ですから、ビジネスシーンにおいてメールなどの文章で使うのは避けましょう。特に改まった文書中に用いるのはふさわしくありません。
書き言葉での言い換え表現としては、「したがって」「そのため」「よって」「つきましては」「ゆえに」などがあります。
■したが(従)って ■そのため ■つきましては ■ゆえ(故)に
NG:「明日は臨時休業いたします。ですので、ご連絡は明後日以降になることをご了承ください」
OK:「明日は臨時休業いたします。したがって、ご連絡は明後日以降になることをご了承ください」
OK:「明日は臨時休業いたします。そのため、ご連絡は明後日以降になることをご了承ください」
「ゆえに」は、理由を表す接続助詞です。古風な印象の言葉ですが、改まった文章によく合います。
OK:「本製品は顧客ニーズを的確に捉えている。ゆえに売り上げ目標を達成できた」
【「敬語」で伝えたいときの「言い換え」表現】
「ですので」を言い換えて、さらに丁重度を高めた表現にするとしたら「でございますので」「でございますから」となります。その際は、文章全体の言葉が敬語になるように気を付けましょう。
■でございますので ■でございますから
・「貴重な機会ですので、ぜひご覧になってください」
↓
「貴重な機会でございますので、ご高覧いただけると幸いに存じます」
・「雨のようですので、傘をお持ちになったほうがいいですよ」
↓
「雨のようでございますから、傘をお持ちになったほうがよろしいかと存じます」
***
いかがでしたか? 「ですので」は、話し言葉として広く使われていますが、文章で使用するのは避けるべき言葉だということを解説してきました。でも、言葉はどんどん変化していくもの。『ですので』もいずれは辞書に定着し、“書き言葉でも自然”とされる日が来るかもしれません。それまではTPOに応じて、うまく言い換えを使い分けるのが賢い方法です。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『明鏡国語辞典』(大修館書店)/『三省堂国語辞典』(三省堂) :