冬の贅沢素材「ファー」。コートやストールなど、ファー付き、ファー仕立ての衣類は家庭でのお手入れがしにくいと思われがちですが、ちょっとした手間を加えるだけで、いつまでも風合いを保ち続ける方法があるんです。

今回は、長野のクリーニング会社「芳洗舎」の三代目であり、「洗濯アドバイザー」として、日本初の洗濯専門のスタジオ「Sentaku Studio」をプロデュースするなど、幅広い活動をする洗濯家・中村祐一さんに、ファーのお手入れ方法を詳しく聞きました。

「私には難しい」と身構えずに、大切なファーをお手入れしてみてはいかがでしょうか?

「毛皮の種類」によってお手入れ方法は変わる?

「基本的にリアルファーのお手入れ方法は毛皮の種類によって変わりません。しかし、リアルファーは風合いが変化する可能性が高いので、心配なものは拭き洗い程度に留め、クリーニングへ出すようにするとよいですよ」と中村さん。

中村さん曰く、総リアルファーのコートなどは、自宅で洗うのはオススメしないそう。ですが、襟元などについた部分ファーなどは自分で洗えるとのこと。それでは、部分ファーの洗い方についてみていきましょう。

■1:オイルを混ぜて「専用の洗浄オイル」をつくる

リアルファーを洗う場合、ファーが元々もつ油分が抜けるとパサつく原因になってしまいます。そのため、保湿に使用するラノリン(羊毛脂)を併用して洗浄液をつくります。

「ラノリン」を衣料洗剤に混ぜることでファーの油分抜け落ちを防ぎます

まず、ラノリンオイル5ccに対して、おしゃれ着用の中性洗剤を1、2滴混ぜ、乳化させます。

中性洗剤は1、2滴程度加えます

乳化した洗剤オイルは下の写真のような液体になります。ここで、加えたオイルが多すぎるとベタつくので、分量には注意しましょう。

乳化した洗浄オイル

■2:30℃のぬるま湯でさっと「ふり洗い」

次に1の洗浄オイルをお湯に溶かして洗剤液をつくります。このときお湯の温度は30℃のぬるま湯で。温度が高すぎると縮みがおこりやすく、油分も落ちやすくなってしまいます。

1でつくった洗浄オイルをぬるま湯へ

そして、桶内へファーを入れ全体をさっと振り洗いします。お湯の中で優しく揺らすように洗いましょう。

優しく揺らすように洗います

■3:タオルで水気をきり、風通しのよい場所で陰干し

ファーを振り洗いしたら、水から引き上げ、そのままタオルで優しく挟んで水気を拭きとります。すすぎをする度にリアルファーは油分が抜けてしまうので、今回は一度洗いのみで対応できるよう、おしゃれ着用の洗剤で、使用料を少なくしています。おしゃれ着用の中性洗剤は、仮に洗剤が残っても繊維や肌への影響が少ないそう。

優しく水気を拭きとります

そして部分ファーをハンガーにかけ、風通しのよい場所で陰干し乾燥させます。

毛並みに跡がつかないよう、ハンガーにかけて乾燥させます

■4:ブラッシングして毛並みを整える

 十分乾いたら、洋服用ブラシでブラッシング。毛並みに沿って整えましょう。ブラッシングでファーがよりふわふわな質感になります。

毛並みの方向へ、ブラッシングも優しく行います
簡単なお手入れでふんわり感がアップします

いいかがでしたか? 思っていたより簡単だったのではないでしょうか。

【まとめ/ファーの手洗い方法4か条】
1:オイルに洗剤を混ぜて専用の洗浄オイルをつくる
2.:30℃のぬるま湯でさっとふり洗い
3.:タオルで水気をきり、風通しのよい場所で陰干し
4:ブラッシングして毛並みを整える

リアルファー用のラノリンオイルは、海外の生活雑貨や食品を扱う「iherb」などのサイトで手軽に購入できます。ぜひ手に入れて試して下さいね。


リアルファーの「拭き洗い」ってどうすればいいの?

小さなリアルファーならば、前述のように全体を洗えばいいのですが、大きなものは自宅ではなかなか手洗いしにくいもの。そんなときに役立つのが「拭き洗い」という方法です。洗剤を溶かした洗剤液で、タオルで拭くのが「拭き洗い」。それでは、行程ごとに具体的なハウツーを見ていきましょう!

■1:ブラシでホコリを落とす

はじめに、洋服用ブラシで全体のホコリをさっと払い落とします。毛並みに逆らって毛の間に詰まったホコリなどをかき出すようにブラッシングして下さい。

ブラシは優しくかけます

■2:洗浄液を含ませたタオルで拭き洗い

次におしゃれ着用の中性洗剤を規定量水に溶かし、洗剤液をつくります。

中性洗剤は規定量で使用してください

そしてタオルに洗剤液を含ませ、固く絞ります。

固く絞って水気を切りましょう

このとき水気をしっかり切ったタオルを使うこと。濡らし過ぎに注意しながら、タオルでファーを拭き上げます。

強い力で行うと毛が切れてしまったり、抜けてしまったりするので注意

■3:乾いたタオルで水気をオフし、ドライヤーの冷風で乾かす 

次に乾いた別のタオルで水分を軽く拭きとり、ドライヤーの冷風で乾かします。

毛の根元もしっかりと乾燥させます

■4:仕上げにブラッシングで整える

 乾いたら最後にブラッシングで毛並みを整えます。毛並みに沿って優しく行いましょう。

丁寧にブラッシングしましょう
拭き洗いのお手入れはこれで完了です

丸ごと洗うのが難しいサイズの大きなファーの場合は、拭き洗いをして風合いを長持ちさせましょう!

【まとめ/エコファーの拭き洗い方法5か条】
1:ブラシでホコリを落とす
2.:洗浄液を含ませたタオルで拭き洗い
3:乾いたタオルで水気をオフし、ドライヤーの冷風で乾かす
4:仕上げにブラッシングで整える

「ファー衣類の保管は、防虫剤と一緒に箱に入れての保管がよいです。防虫剤はガス化して、そのガスが下に落ちていき、箱内に防虫ガスが充満します。箱のフタの裏にテープで防虫剤を貼っておくのがオススメです」と中村さん。

意外に簡単なファーのお手入れ、いかがでしたでしょうか? まだまだ寒い日が続くからこそ、ファーのお手入れをぜひとも試してみてくださいね。 

 
中村祐一さん
洗濯家
(なかむら ゆういち)長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。培ったプロの洗濯技術を一般家庭用にアレンジし伝えている。日本を代表する洗濯家として知られ「洗濯王子」の愛称で、テレビや雑誌など、各種メディアでも活躍中。
公式サイト
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
長祖久美子
EDIT :
高橋優海(東京通信社)