「では、次回までに各々ブラッシュアップしておくように」なんて発言、よく聞きますね。今では一般的な言葉として使われている「ブラッシュアップ」ですが、本来の意味を知っているでしょうか。誤った使い方をしてはいませんか? カタカナビジネス用語を間違えて使うのはとても恥ずかしいもの。「ブラッシュアップ」を間違いなく使うため、しっかり確認してください。
【目次】
【「ブラッシュアップ」の「意味」と「使い方」】
■「ブラッシュアップ」って?
ビジネスシーンで使われている「ブラッシュアップ」とは、すでにある資料やアイディア、個人や団体の能力などを、さらに向上させてよいものにすること。英語の[brush up]から派生して、日本のビジネスシーンでも一般的に使われるようになったカタカナ語です。そもそも英語の[brush up]は、学問などの「再勉強」や、鈍った腕や技の「磨き直し」のことをいいます。また、一定のレベルに達した状態から「さらに磨きをかけること」も表すため、私たちの仕事の現場でも使われているようです。カタカナ語の「ブラッシュアップ」は、「すでにあるものや能力を、さらに高度なものにすること」「よりよくすること」「完成度を上げること」である点がポイントです。
■どう使う?
「~します」「~しました」「~してください」「~するように」など、語尾を変えてさまざまなシーンで使えますが、使用不可と心得ておきたいのが、目上の人に対して「ブラッシュアップしてください」と進言や依頼すること。「ブラッシュアップ」とは、「現状が最適ではないのでもっとよいものにする」ということ。たとえそうだとしても、上司や先輩、先方を立てる関係の取引先などには、「ブラッシュアップしてください」ではなく「ご再考ください」「ご再考いただけますでしょうか」などを。意味合いは同じですが、カタカナ語より正式な日本語のほうが与える印象が柔らかい場合があるのです。そんなところにも気遣うのが“大人の語彙力”といえますね。
【ビジネスでの「使い方」がわかる「例文」5選】
■1:「本日の調査で検出された問題点を解決し、仕様書をブラッシュアップしてください」
■2:「企画書をブラッシュアップするためには、さらに現地調査が必要です」
■3:「ブラッシュアップした資料を、週明けに提出していただくことは可能ですか?」
■4:「素晴らしいプレゼン資料ですね。もうブラッシュアップの必要はないでしょう」
■5:「ブラッシュアップを重ねていくうちに、本来の目的からずれてしまうことがあるので注意が必要です」
【「言い換え」で語彙力もブラッシュアップ!「類語」表現】
「ブラッシュアップ」の類語や言い換え表現を紹介します。相手によってはカタカナ語より日本語のほうがわかりやすく、メールなどの文章でカタカナ語やビジネス用語が頻出するのは読みにくいもの。適度にカタカナ語、ビジネス用語、一般的な日本語を組み合わせて文章を完成させるのも“大人の語彙力”です。
■再考 ■改善 ■改良 ■再提出 ■品質向上 ■腕を磨く ■クオリティアップ
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「ブラッシュアップ」は、長くなったミーティングを終わらせたいときや、議論が煮詰まらなかったときなどに、「それぞれ次回までにブラッシュアップさせて…」と切り上げるのに便利な言葉でもあります。普段何気なく使っている言い回しやフレーズのブラッシュアップに、この連載を活用してくださいね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『情報・知識imidas』集英社/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社) :