「カレシ」「ドラマ」「データ」はもちろん、若い世代の間では、あらゆる単語の音の高低差をなくして平坦に発音するのがデフォ(いつも通り)。では「ワンチャン」という言葉は? もちろん「ワンちゃん」ではありません。若い世代に迎合し、日本語の乱れに手を貸すのは「ノー!」だとしても、日々変化する言葉についての「情報」はアップデートしたいもの。今回は「ワンチャン」の意味や使い方を解説します。これを読めば「ワンチャン」を使いこなせる可能性も「ワンチャン」あるかもしれません。

【目次】

ゆる〜く「可能性」を指す言葉です。
ゆる〜く「可能性」を指す言葉です。

【「ワンチャン」ってどういう意味?「言い換え」ると?】

■もしかしたら ■多分 ■おそらく

もともとは「可能性は低いけれど、ひょっとしたらあり得るかもしれない」という「希望的観測」的な意味で使われていましたが、現在では実現する可能性の高さ低さはほぼ関係なく、「ワンチャン」が使われているようです。若い世代の言葉は変化が早いですね。

■選択肢のひとつとして

この使い方のニュアンスをお伝えするのは難しいので、使い方がわかる例文の中で説明していきましょう。


【「ワンチャン」の「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「なんとかレポートは出したけど、ワンチャン単位落としたかも」

単位を落とす可能性は50%、半々くらい。「もしかしたら」くらいの意味です。この例文の場合、「チャンス」という意味はもはや消滅しています。とはいえ、今も「テストは赤点だったけど、レポートは期限内に出したから、ワンチャン単位取れるかも」という、「チャンスありそう」という意味の使い方もされているようです。

■2:「今日、ワンチャンごはん行ける(かも)」

「行けたら行く」よりもずっと可能性は高いらしいので、多分、「多分」くらいの意味で使われています。

■3:「Aって、ワンチャンBのこと好きなんじゃない?」

かなり可能性は低いケースでも使われ、その場合には「実現したらおもしろそう」といったニュアンスも含まれるようです。

■4:(友達から「30分遅れるから先にお店に先入っていて」と言われて)
   「ワンチャン外で待とうかなと思った(けどしなかった)」

■5:「スタバ行かね?」「ワンチャンあり」

4と5が「選択肢として」というニュアンスでの使われ方です。


【「ワンチャン」の「由来」は?】

■ one chance (ワンチャンス)

「ワンチャン」は[one chance(一度の機会)]を略したカタカナ語だといわれています。「ワンチャンをものにする」というように、「一度限りのチャンス」という意味で、勝利や成功を得るための好機を指して使われます。ただし、英語表現では「〜かもしれない」を表現する言葉として[one chance]は用いません。

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「ワンチャン」は「もしかしたら」「多分」「おそらく」といった意味で、不確実なことを幅広く表現している言葉のようです。若い世代で流行する言葉は変化が早いだけに、誤解も生じやすいもの。よくわからないのに「わかったふりをする大人」にはなりたくないものですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :