本日はまず、いきなりクイズです。
【問題1】「啓蟄」ってなんと読む?
「啓蟄」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「二十四節気のひとつで、冬ごもりの虫が地中からはい出るころ」という意味の言葉です。
<使用例>
「令和5年は、明日から啓蟄ね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 「啓蟄(けいちつ)」 です。
「啓蟄(けいちつ)」は、二十四節気の春の3つめの節気で、暦(こよみ)の上では、「啓蟄(けいちつ)」から仲春に入ります。例文にあるように、令和5年の「啓蟄(けいちつ)」は、明日・3月6日からです。「蟄」という字はちょっと難しいですが、「啓」は常用漢字ですので、「啓発」「啓蒙」などの熟語でもお馴染みですね。「啓」という字は「啓く(ひらく)」とも読み、「教え導く」という意味をもつ字です。「啓蟄(けいちつ)」は、地中にとじこもった虫=「蟄」が、春の温かさに啓かれるように這い出てくる…という意味の熟語で、「啓発(けいはつ)」は「人が気が付かずにいるとこを教え示し、より高度な認識・理解に導くこと」です。
ところでみなさま、「啓蒙」という熟語、正しく読めて、意味を説明できますか?…というところで、2問目にまいりましょう。
【問題2】「蒙昧」ってなんと読む?
「蒙昧」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「暗いこと。転じて、知識が不十分で道理にくらいことや、そのさま」という意味を持もつ言葉です。
<使用例>
「御高名な先生のお名前を間違えるとは、無知蒙昧で申し訳ございません」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 蒙昧(もうまい)です。
「蒙」は「暗い」また「おさない(若い。未熟である。)」などの意味をもつ字で、「蒙昧(もうまい)」は、同じく「道理にくらい」「うすぐらい」という意味を持つ字「昧」と重ねて、「知識がなく、ものの道理をしらないこと」を意味する言葉です(例文に出てきた四字熟語「無知蒙昧(むちもうまい)」は、無知であることを更に強調した言葉です)。
この「蒙」は、2問目の直前に書いた問い「啓蒙」にも使用されている字です。「啓蒙」は大人の常識レベルで読めると思いますが、改めて「啓蒙(けいもう)」と読みます。福沢諭吉は「啓蒙家」、『学問ノススメ』は「啓蒙書」、など、「啓蒙」という熟語は当たり前に使われているものの、意外と「蒙」という字の意味を知らないまま使用している…という例もあるようです。ちなみに「啓蒙(けいもう)」は、「一般の人々の無智をきりひらき、正しい知識を与えること」という意味で、「蒙(=道理に暗い者)を啓く(ひらく)」という成り立ちの言葉です。
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本日は、3月6日からの二十四節気にからめて、
・啓蟄(けいちつ)
・蒙昧(もうまい)
の読み方についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/国立天文台ウェブサイト/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱