「ブラックフライデー」といえば、11月の下旬に行われるセールのこと。日本ではここ数年でメジャーになった、比較的新しいイベントですが、それにしてもセールという心浮き立つワードが、どうして“ブラック”? 今回の記事では「ブラックフライデー」という言葉の由来や「サイバーマンデー」という言葉についても解説します。

【目次】

本家アメリカでは、11月の第4金曜日に行われる大規模セールのこと。
本家アメリカでは、11月の第4金曜日に行われる大規模セールのこと。

【「意味」は?「ブラックフライデー」の「基礎知識」】

■意味

「ブラックフライデー」とはアメリカの小売業界で最大のイベントと言われる、11月の第4金曜日に行われる大規模セールのことです。アメリカでは感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日から、年末に向けてのクリスマス商戦が本格化します。つまり11月の第4金曜日は、クリスマス商戦の公式スタート日。この日、ほとんどのショップは集客のため、競って大規模セールを開催し、消費者は大量買いに走ります。早朝からオープンする店も多く、目当ての商品を狙った客が真夜中から列をなすのも珍しいことではありません。これが「ブラックフライデー」です。感謝祭には馴染みのないはずの日本でも、現在では11月に開催される大規模セールの呼称として、知られるようになりました。

それにしても、大規模セールの開催日が、なぜ「ブラック」なのでしょうか?アメリカ人にとって「ブラック」という言葉は、「ブラックマンデー(1987年10月19日の世界的株価大暴落の日)」などを連想させ、不吉なワードのはずなのですが…?

■「由来」は?

11月最後の木曜日に行われる「感謝祭[Thanksgiving Day]」は、アメリカの人々にとって特別な祝日です。開拓者が最初の収穫を神に感謝したのが始まりで、家族や親族と集まり、皆で一緒にターキーを食べて過ごす風習があります。これは、日本人にとってのお正月やお盆のような感覚かもしれません。「感謝祭」の翌日の金曜日である「ブラックフライデー」は休日ではありませんが、前日と併せて連休とする職場も多く、大規模な激安セールで小売店の売り上げが年間のピークを迎える日でもあるのです。「ブラック」という呼称は、小売業者が売り上げ増によって儲かる(黒字になる)こと、道路や店舗が混み合って黒山の人だかりとなることに由来していると言われています。一方で、消費者からすれば「大量にモノを買わされてしまう暗黒の日」という裏の意味が含まれているという説もあるそうです。思い当たる人もいるかもしれませんね!


【「日本」では「いつ」から始まった?】

日本では「いつから」?

日本では2014年、玩具とベビー用品の専門店として知られる『日本トイザらス』が、米国の「ブラックフライデー」に合わせてセールを開催したのが始まりと言われています。その後、アパレルブランドの『ギャップジャパン』が、2016年には『イオン』が、国内資本企業としては初の本格的な「ブラックフライデー」を開催しました。翌2017年には『楽天市場』、そして『アマゾンジャパンが参戦したのは2019年。この頃からは日本でも、「ブラックフライデー」の存在が恒例のイベントとして定着してきたのではないでしょうか。

どんなことが起こるの?「内容」は?

実は日本の消費市場では、12月の年末商戦直前の11月は、年間のなかでも売り上げが低いとされる月でした。この現象をカバーし、さらには年末商戦への起爆剤とする目的から、「ブラックフライデー」セールを実施する小売企業は年々増加しています。 「ブラックフライデー」の本家アメリカでは、1日限りのセールですが、日本では3日から1週間ほどかけて行われることが多いですね。「感謝祭」の代わりに11月23日の「勤労感謝の日」に合わせた日程が組まれることもあるようです。本来の「感謝祭」の意味を理解している日本人はかなり少ないと思いますが、そこはお祭り好きな日本人のこと、ハロウィーンとクリスマスの間を埋める、誰もが楽しめるイベントとして「ブラックフライデー」は今後ますます盛り上がっていくのではないでしょうか。 


【日本語で言うと?「類語」「言い換え」表現】

「ブラックフライデー」をぴったり表現する日本語はありませんが、あえて訳すならば…という言葉をご紹介します。

■年に1度の大セール ■歳末感謝セール 


【「プレミアムフライデー」との違い】

「プレミアムフライデー」とは、2017年に経済産業省や経団連などが提唱した“個人消費喚起キャンペーン”のことですご記憶にあるでしょうか?「月末の金曜日は15時退社推奨」といった、働き方改革としての提案でしたが、残念ながら定着しませんでした。「ひと月のなかでいちばん価値のある、特別な金曜日」という意味合いで、「プレミアム」な「フライデー」と命名されたようです。


【「サイバーマンデー」とは?】

「ブラックフライデー」同様、アメリカのクリスマス商戦に関連した言葉で、「サイバーマンデー」は感謝祭明けの月曜日。リアル店舗でのセールである「ブラックフライデー」に乗り遅れた人や、週末に買い損ねた商品をインターネット経由で購入する消費者が急増し、オンラインショッピングの売り上げが年間最大になることから「サイバーマンデー」と呼ばれるようになりました。GDP(国内総生産)の約7割を個人消費が占めるアメリカでは、年間売上の4分の1を占めると言われるクリスマス商戦は経済の先行きを占う重要な指標。その動向は世界中から注目されています。

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消費者のひとりとしては、どんな理由であろうとも、セールは歓迎すべき楽しいイベントです。とはいえ、大人であれば本来の「感謝祭」の意味は押さえておきたいもの。家族に感謝にしつつ、お得なプライスに感謝しつつ、よきお買い物を楽しみましょう!

この記事の執筆者
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