今回のテーマは、若者言葉のひとつである「とりま」。「とりあえず、まぁ」を略した言葉として、2000年代前半頃から登場しました。とはいえ、若い世代の間では一過性の流行語ではなく、今もごく当たり前の言葉として使われているようです。「とりま」の意味や使い方を深掘りして解説します。
【目次】
【「とりま」を理解するための「基礎知識」】
■意味
「とりま」は「とりあえず、まぁ」の略語です。意味は「とりあえず」とほぼ同じ。「先のことはわからないけれど、今のところは応急的に」といったニュアンスの言葉で、「まぁ」にはほとんど意味はありません。「よくわからないけど今のとこ」をさらに曖昧に表現しているようです。
■「方言」なの?
「とりま」は2000年代前半に発生した、若者世代による造語です。「ギャル語」のひとつと思われますが、もしかしたら「ギャル語」という言葉自体が死語かもしれませんね。当時、既に大人だった世代にとっては、「とりま」は一過性の流行語のように思われますが、当のギャルたちにとってはごく自然にそのまま定着した言葉なので、今さら古いも新しいもない、普通に使える言葉という認識のようです。
【使い方がわかる「例文」3選】
「とりま」は会話の冒頭でいきなり使われるというよりも、話題を切り替えたいときに使われることが多いようです。また、「どうする?」といった問いかけや空気に対して「とりま、○○しよ」のように使われます。
■1:「おつかれー。とりま今日は解散ってことで、明日よろしく」
■2:「今日、授業終わったらどうする?」「とりまマック行かない?」
■3:(東京ディズニーシーに着いて)「とりまセンター(アトラクション『センター・オブ・ジ・アース』の略)だよね?」
【「類語」「言い換え」表現は?】
■とりあえず
■ひとまず
【ポイ活アプリ「トリマ」って知ってる?】
アプリの名前である「トリマ」は、「トリップ・マイル」を省略した造語です。そして「ポイ活」とは「ポイントが貯める」こと。つまり「トリマ」は、移動距離に応じてマイル(ポイント)が貯まる「お小遣い稼ぎアプリ」。今回テーマの「とりま」とは無関係です。
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言葉は時代と共に変化していくもの。平安時代のおしゃれエッセイスト・清少納言も、『枕草子』のなかで「最近の若者は、言葉が乱れていて嘆かわしい」と書いています。流行言葉を自分が使うか否かは別の問題として、情報アップデートの一環として、「とりま」をはじめ若者言葉の意味や使い方をさらっと知っておくのも、「大人の余裕」というものではないでしょうか。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:/『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :