現時点の進捗状況を報告いたします」「今の時点では予定がありません」など、「時点」はビジネスシーンでもよく使われる単語です。この「時点」について、みなさん正しく理解できていますか? 今回はお客さまや取引先など、大切な相手へのインフォメーションにも使われる「時点」について確認していきます。

【目次】

「時点」と「現在」は同じニュアンス?
「時点」と「現在」は同じニュアンス?

「時点」とは?「読み方」「意味」 基礎知識】

■読み方

「時点」は「じてん」と読みます。

■意味

「時点」は、「時の流れの上で、ある一点、またはある時期」を指します。「午後5時時点」は5時のその瞬間を言い、「午後5時時点の発表では」というように、どの瞬間のことなのか明確にする際に使われます。例えば「昨年末の時点ではまだ発表できなかったが」の場合は、「昨年の年末」という「時期」を指しています。

■使い方

流れゆく時間のある一点・時期を指す「時点」は、補足する言葉を用いて過去の日時や現在、未来まで、限定なく使えます。「あの時点」や「昨年春の時点」などで過去を、「現時点」「今の時点」では現在を、「来週月曜日の時点で」「入場者数が1万人に達した時点で」というふうに未来のことを指します。


ビジネスでの正しい使い方がわかる「例文」6選

■1:「正午に私が確認した時点では、そのような連絡は入っていませんでした」

■2:「明日の屋外イベントは天候が心配されますが、午前6時時点の天気予報で決行・延期の判断をするそうです」

■3:「今後の予定は、社の決裁が下りた時点でお知らせします」

■4:「気象庁からの土砂災害警戒情報や、市町村発表の避難指示が出た時点で、すべての人が避難を完了していることが望ましい」

■5:「今の時点で問題点を見つけられれば容易に修正できる」

■6:「お客さまが到着された時点ですぐに準備を始めてください」


【「時点」と似ている「段階」「現在」「時刻」との違い 】

「時点」と同じように、時間のなかのある部分を指す言葉がいつくかあります。例えば、「時点」と「現在」はどう使い分けるのが正解なのでしょうか? 使用例と共に確認しましょう。

■「段階」との違い

「段階」は、「ある基準によって区切った能力や品質などの順序。等級」や、「物事の順序」のほか、「手遅れの段階だが最善を尽くす」という使い方のように「物事が進行していく途中で区切られたひとつの状態」のことなどを言います。

■「現在」との違い

「時点」と同じように時の流れの中でのあるところを指す「現在」。時間の流れを「過去」「現在」「未来」と3つに区分したうちのひとつで、「今」を示します。「現時点」と「現在」は同義ですが、「時点」があらゆる時間に対して使えるのに対し、「現在」は「1.過去」や「2.今の状態」のみに使用します。

1.記載のデータは2023年3月1日現在のものです。

2.明朝には現在の1ドル140円をいくらか下回るだろう。

■「時刻」との違い

「時刻」は何時何分という形で示されるので、「時点」より限定された瞬間を表します。


【「時点」の「類語」や「言い換え」表現

時を表す言葉はいろいろあってややこしい…と感じる人もいるかもしれませんね。「時点」と同じように使える言葉の意味も整理しておきましょう。

■瞬間

「瞬間」は、「きわめて短い時間」「またたく間」「何かをした、その途端」を意味します。「瞬き(またたき)をする間ほどの短い時間」からきた言葉です。「現時点」を「この瞬間」と言い換えることができます。

■時機

「時機」は、「ある事を行うのに適当なタイミング」のこと。「機会」や「チャンス」と同様です。「ころ合いの良い時点」を「時機」と言い換えることができます。


【ビジネスで使えそうな「時点」の英語表記】

「~の時点」は英語で〔as of ~〕で表わせます。

・今時点で as of now ・本日時点で as of today ・今朝の時点で as of this morning 

・昨年末時点で as of the end of last year

また、「あの時点」は〔at that point〕とも。

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ビジネス会話やメールでは、「時間を示すやり取り」が多いもの。その際にコミュニケーションがしっかりとれていないと、大変なことが起きかねません。今回の「時点」は過去も現在も未来のことについても使える言葉ですが、補足する言葉を用いて相手に間違いなく伝わるように表現してくださいね。

この記事の執筆者
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