「多寡」は「多少」とほぼ同じような意味で使われる言葉です。「もしかして、『たかをくくる』の『たか』?」と思ったあなた、それは記憶違いです! この記事では「多寡」の正しい意味や使い方、言い換え表現などをご紹介します。「たかをくくる」の正解も解説しますので、是非最後まで読んでくださいね!

【目次】

口語では「多少」を使うことがほとんどです。
口語では「多少」を使うことがほとんどです。

【「多寡」を理解するための「基礎知識」】

■読み方

「多寡」は「たか」と読みます。

■意味

「多寡」の「寡」はあまりなじみのない漢字ですが、「寡聞(見聞が狭いこと。知識が浅いこと)や「寡黙(口数が少ない)」といった熟語に用いられ、「少ないこと」を意味します。「多」はそのまま「多いこと」ですね。つまり「多寡」は、「多いことと少ないこと。多少」や「多いか少ないかの、その量や額」といった意味の言葉です。


【「多寡」の「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「会計報告では、金額の多寡にかかわらず内容を確認させていただきます」

「多寡にかかわらず」とは、「多いか少ないかに関係なく」という意味で用いられます。「金額の多寡にかかわらず」とは、「金額が大きいか小さいかには関係なく」という意味です。

■2:「必要な予算や人員の多寡は問いませんので、早急に仕上げていただきたい」

■3:「収入の多寡で人の価値が測れるとは思えない」

■4:「報酬の多寡によって仕事のモチベーションが変わってくるのは当然だ」

■5:「ごく単純に言えば、評価点数の多寡に従って賞与が決まります」


【「多寡」の「類語」「言い換え」表現】

■多少

「多少」と「多寡」はよく似た言葉ですが、使い分けとしては、①「多少」の方が、日常的に使われる。②「多少」は、「多少後悔している」のように、いくらか、少し、の意味で使うこともある。という2点が挙げられます。つまり「多少」のほうが「多寡」よりも広い意味合いで用いられる言葉なのですね!

■多かれ少なかれ

「多かれ少なかれ」は「多少の差はあるがどちらにしても」という意味で用いられます。


>【「多寡」を「英語」で言うと?】

「多寡」を「多少」「数の大小や量」と捉えると、[number][amount]で表すことができます。

・The schedule may vary  according to the number of participants.
(参加者の多少によって予定は変わるかもしれない。)

・Please dispose of the garbage yourself regardless of the amount.
(ごみは量にかかわらず自分で始末してください。)


【「たかが知れている」「たかをくくる」の「たか」は「多寡」?】

まずはふたつの言葉の意味を確認しましょう。

「たかがしれている」は「その程度は分かりきっている。大したことはない」という意味です。そして「たかをくくる」は「その程度だろうと予測する」「あなどる」といった意味。ふたつの言葉に共通するのは「その程度とあなどる」というニュアンスです。「多寡」の意味とは違います。それもそのはず、「たかがしれている」「たかをくくる」の「たか」に漢字を当てると「高」となります。「高」という漢字は「数量・金額の合計」という意味の他に「程度の高いこと。また、限度・限界」という意味をもち、「せいぜいのところ」という意味合いで使われるのです。つまり、このふたつは「高が知れている」「高をくくる」が正解。覚えておきましょう!

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日常会話で「たか」と聞いたとき、頭の中で「多寡」とはなかなか変換しにくいですよね。実際、会話では「多寡」でなく、「多少」が使われることがほとんどです。ちなみに、「かた」、と音が逆さまな「過多」は、「多すぎること。過剰」という意味となります。この機会に「多寡」の使い方をマスターし、報告書や企画書など、少しあらたまった文書では「多少」の代わりに使ってみてはいかがでしょうか。知性がアピールできるかもしれません!

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /角川類語新辞典(角川書店) :