誰かに面と向かって「あなたの見当違いでは?」と指摘されたことがありますか?「見当違い」はズバリ、「判断ミス」を指摘する言葉です。似た言葉で「お門違い」がありますが、ふたつの言葉の違いをご存じですか? 今回は「見当違い」について詳しく解説します。
【目次】
【「見当違い」を理解するための「基礎知識」】
■読み方
「見当違い」は「けんとうちがい」と読みます。
■意味
「見当」には主にふたつの意味があります。「大体の方向・方角」と「はっきりしていない事柄について大体の予想をすること。見込み」です。ここから、「見当違い」は「目指す方向を誤ること。また、その様子」や「推測や判断を誤ること。また、その様子」という意味になりました。ビジネスシーンでは、的外れな意見に対して「それは見当違いだ」などと使われることが多いですね。
■英語で言うと?
「見当違い」ズバリの英単語はありませんが、形容詞[wrong]や[miss the point]というフレーズで表現することが可能です。
・She is wrong in thinking that he will succeed. (彼が成功すると考えるのは彼女の見当違いだ)
・Your idea misses the point.(君の考えは見当違いだ)
【「お門違い」との「違い」は?】
■「お門違い」の意味は?
「お門違い」は「御門違い」とも書きます。「お」は相手に対する敬意を表す接頭語。「門」は家の象徴であり、「お門」は門を尊んで示す言葉ですが、特に皇居の門を指す際は「御門」と書いて「みかど」と読みます。「お門違い」は「間違った家や人、方向に行くこと」や「物事の間違った方向を目指すこと。見当違い」という意味です。後者の意味であれば「見当違い」とほぼ同じように使われています。
■「見当違い」と「お門違い」の違いは?
おおよその方向や方角を間違えた場合は「見当違い」。ピンポイントで「人や家」を間違えたら「お門違い」と使い分けます。また、「見当違い」は「判断ミス」のニュアンスであるのに対し、「お門違い」はピンポイントに「目の付け所を間違えている」ことを示しています。「間違い」の指摘としては「お門違い」のほうがシビアな印象です。
■「お門違い」を英語で言うと?
「人や家を間違える」という意味で「お門違い」をひと言で表現する英単語はありませんが、お門違いの非難をする、見当違いな努力をするという意味で〔bark up〕という言い回しが使えます。
・You're scolding the wrong person.(私を叱るのはお門違いだ)
・you're barking up the wrong tree (あなたはお門違いのことをしている)
【「使い分け」は?ビジネスでの「使い方」がわかる「例文」6選】
■1:「あの場で部長に意見するとは、見当違いも甚だしい」
■2:「あの件で私にクレームをぶつけてくるとは、お門違いも甚だしい」
「お門違い」は「見当違い」よりもピンポイントで、間違ったことをしたりされたとき、あるいは言ったりいわれたときに使用されます。同じように「見当違いも甚だしい」「お門違いも甚だしい」と使った場合、前者は「その判断は間違っている」後者は「私に(もしくは誰々に)〜するのは間違っている」というニュアンスです。
■3:「御社にこんなお願いをするのはお門違いかもしれませんが、ご検討いただけますと幸いです」
■4:NG「部長、この提案書をA社に提出するのはお門違いではないでしょうか」
自分の言動に対して「お門違いかもしれませんが…」と使う場合は謙遜の意味合いがあり謙虚な印象となりますが、相手に向かって、特に目上の方の言動に対して「お門違い」を使うのは不遜です。
■5:「カフェの場所は地図で確認したつもりだったが、実際には見当違いの方角に向かって歩いていた」
■6:「(訪問すべき家を間違えてしまった場合に)どうやらお門違いだったようです。大変失礼いたしました」
【「見当違い」の「類語」「言い換え」表現】
■見当外れ
■的外れ
■見込み外れ
■見込み違い
■誤算
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もうひとつ「見当違い」と似た言葉に「筋違い」があります。こちらも「見当違い」や「お門違い」と同じような意味でも用いられますが、特に「道理に反すること」に対しては「筋違い」が使われます。いずれにせよ、「お門違い」も「見当違い」も、間違いを指摘するときに使われる言葉です。自分の見当以上にキツい印象を与えることがありますから、使用の際には十分注意してくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :