「彼女の才能は早いうちからほかと一線を画していた」「新製品の性能は従来品とは一線を画すものだ」といった文章で使われている「一線を画す」、「いっせんをがす」と読んでいませんか? ビジネストークでも大いに使える「一線を画す」を、しっかり確認していきましょう。
【目次】
【「一線を画す」をどう読む?ほめ言葉?基礎知識】
■読み方
「一線を画す」と書いて「いっせんをかくす」と読みます。「画す」を「がす」と読まないようご注意を。
■意味
「一線を画す」とは「境界をはっきりさせる」「はっきりと区切りをつける」「区別する」という意味です。「一線」は、「一線を引く」や「一線を越えてしまった」のように「けじめ」や「区切り」という意味で使われます。「画す」は「線を引く、描く」という意味なので、「1本の線を引いてはっきりと区別する」「境界線を引くことで違いを明確にする」ということですね。例えば「在宅でのリモートワークは、プライベートとビジネスの時間をどのようにして一線を画すかがポイントだ」は、「プライベートとビジネスをどう区別するのか」という意味になります。
■ほめ言葉?
では「彼女の才能は早いうちからほかと一線を画していた」の場合はどうでしょう。ここでの「一線を画す」は、「ほかの人とは違っていた=優れていた」という意味で使われています。「一線を画す」には、「はっきり他と区別できるほど優れている」という意味もあり、ビジネスでは「大変良い」という意味で用いられることが多いです。使い方によっては「ほめ言葉」となります。
【「一線を画す」の使い方がわかる「例文」4選】
■1:「AIの導入により、今までとは一線を画す業績が見込まれる」
■2:「ハリウッドでのアジア映画の台頭がこれまでと一線を画すのは、アカデミー賞の結果を見ても明らかだ」
■3:「営業成績で一線を画す結果を残すためには、日々の学びを生かすことが大切だ」
■4:「既存の商品とは一線を画す機能を搭載しなければ、消費者は満足しないだろう」
1、3、4は「今までと比べて格段にアップする」、2では「明らかによい方向に変化する」ことを表しています。
このように「一線を画す」は、ほかとの違いが明白であるほど優れていたり、類を見ないほど個性的であったりすることを強調する際に使われます。
【「一線を画す」の「類語・言い換え」「対義語」は?】
■類語・言い換え
ほめ言葉として使う際の「一線を画す」を言い換えてみましょう。
・抜群 ・次元が異なる ・飛び抜けた ・ずば抜けた ・抜きんでた ・卓越した
■対義語
「一線を画す」の対義語として、「悪くはないが抜きんでてはいない」という意味のフレーズを紹介します。
・互角 ・五分五分 ・負けず劣らず ・そこそこ ・まあまあ
【一緒に覚えよう!ビジネスで使える「画す」】
「画す」は「一線を画す」以外でもビジネスシーンで使えるワードなので、インプットしておきましょう。
■一新を画す/一時期を画する
まったく新しいことをして、前の時代と区切りをつけること。
■時代を画す/エポックを画する
過去に類を見ない有意義なことによって、新しい時代を開くこと。めざましい事柄が、時代を以前と以後とに区切ること。以前とは大きく違った意味をもつ新しい時代や段階が生まれること。
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漢数字の「一」繋がりで慣用句や熟語、ことわざなどを調べてみると、「一目置く」「鶴のひと声」「一筋縄ではいかない」「一挙手一投足」「百聞は一見に如かず」というふうにたくさんありますね。今回のように関連語を確認してみるだけでも“大人の語彙力”は確実にアップしていくでしょう!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA) :