今回は、「あの人は器が大きい」や「彼は器が大きい人だ」などと使う、「器が大きい」というフレーズについて解説します。ほめ言葉ではありますが、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか? ビジネスシーンでもさらりと使えるように、特徴なども紹介します。
【目次】
【「器が大きい」ってどういうこと?】
人に対して「器が大きい」と言う場合には、人間力を指しています。「人としての度量が広い」「能力が十分に備わっている」「細かいことや小さいことを気にしない」という意味。「器」という語には、「容器」のほか、「人物や能力などの大きさ」という意味があります。「あの人は人の上に立つ器ではない」などと言いますよね。それが大きいということは「多くのものを受け入れるだけの度量がある」ということ。人間的に非常に大きな存在で、頼りがいがあるというほめ言葉なのです。
【「器が大きい人」の具体的な特徴】
では、「器が大きい人」の具体的な特徴を挙げてみましょう。あなたの職場にもこんな人がいたら…頼りになりますね。
■おおらかでポジティブ思考
小さなことで一喜一憂せず、どんと構えて「なんとかなる」という思考ができる人。受け止め方がポジティブだというだけで、周囲に安心感を与えます。
■長所を見つけて指摘するのが上手
目配りができるので人の長所を見つけるのが得意。誰にでも良いところはあるものです。それをあえて指摘するので、やる気や元気を引き出します。
■困難なことでも解決策を見つける努力をする
器の大きさを発揮、あるいは器の小ささが露呈してしまうのは、トラブルや困難に直面したときでしょう。「器が大きい人」は解決策を探り、「器が小さい人」は人のせいにしたり愚痴を言うばかり。たとえ良い策が見つからなかったとしても、解決の努力を怠らなかった「器の大きい人」は信頼を失わないでしょう。「器の大きい人」は「理想的な上司」と言えそうです。
【「器が大きい」はどう使う?例文4選】
■1:「こちらの事情を理解してくれて、なんて器が大きい人なんだろう」
■2:「理想のパートナー像は器が大きい人です」
■3:「困難な時こそ、器が大きいか否か示される」
■4:「器が大きくリーダーシップのある人が理想の上司だ」
【「器が大きい」の「類語」「言い換え」表現】
■類語
・懐が深い(ふところがふかい):心が広く、包容力があること。「懐が広い」は誤用です。
・度量が広い(どりょうがひろい):心が大ききく、ほかの意見や行動を許容する。偏見のないこと。
・心が広い(こころがひろい):おおらかで、周囲の状況や他人の言動をよく受け入れること。度量が広いこと。
「器が大きい」「懐が深い」「度量が広い」「心が広い」は、いずれも人間としての良い素質、魅力を表したほめ言葉です。ニュアンスの違いはあるものの大差はないので、併せて覚えておくと語彙が増えますね。
■言い換え表現
・清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ):心が広く、善でも悪でも分け隔てなく受け入れること。度量の大きいことのたとえ。
【「器が大きい」を英語で言うと…】
・He is very tolerant.(彼は器が大きい)
・He is a very tolerant person.(彼は器の大きい人だ)
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「器が大きい人」になるためには、自分の間違いや失敗を認め、人のせいにせず、覚悟をもち、考えの違いを理解したうえで歩み寄るなど、いろいろな方法があると思います。日々、精進ですね!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :