お気に入りのヒール靴は足をすっと入れただけで背筋をしゃんと伸ばしてくれたり、気分を上げてくれたり、女性にとって欠かせないアイテムです。

今回は、ヒール靴をダメにしまっている「日常の何気ない行動」に注目。足専門の理学療法士であり、足の治療と靴の製作を手がける「馬喰快歩堂」所長である三浦賢一さんに、ヒール靴を履く際のNG習慣を聞きました。定期的にケアすることはもちろん必要なのですが、「ちょっとしたこと」に気をつけることも大切なのです。

ヒール靴の劣化を早めてしまう、4つのNG習慣

■1:雨の日にエナメル素材のヒール靴を履く

いかにも水を弾きそうなエナメル素材も雨の日はNG

「雨の日は水を弾きそうなエナメル素材の靴を選ぶ」という人も多いのでは? ところが、この行動は劣化を早めているのです。

三浦さん曰く、エナメル素材のヒール靴の多くは、革表面に別の素材をコーティングしているのだそう。エナメル素材は別名で「パテントレザー」といい、革の表面に塗料を下塗りして、その上にウレタン樹脂を塗布し、乾燥させるという工程を繰り返して、光沢を出しているのだとか。

そのため、水たまりなどに靴底が浸ることをきっかけに、革とコーティングの間に水が入り込み、知らずに水がヒール靴内に侵入していることがあるのだとか。そして、その水が乾燥したときに剥離を起こし、劣化を早める原因となってしまいます。

■2:長時間履いたヒールを置きっぱなしにする

1日中履いたヒールはつま先が反り返っていることも

ヒールとは本来、足にフィットして脱げないようにできているもの。
1日中歩き回ると、サイドラインがたるんだり、よく見るとつま先が反り返った状態になってしまいます。それをそのまま放置すると形状が記憶されてしまい、翌日にはパカパカと脱げやすくなってしまうのは当然のこと。

1日中履いた日は、吸湿性に優れた木製のシューキーパーなどを使って水分を抜きつつ、しっかりと形を整えた状態でキープすることが大切です。

■3:トップリフトのゴムだけを交換する

写真の印部分が「トップリフト」

歩いていてカツカツと音が鳴り出したら、とりあえず街なかの靴修理店で応急処置をする、という人も多いはず。その際に手っ取り早くヒールの踵のゴム部分、「トップリフト」のゴム交換だけをしていませんか?

 実は多くの人が前部分も磨り減っていることを見落としがちです。トップリフトを補修しても前部分がそのままでは、全体のバランスが崩れ、途端に前に滑ったり、足の踵が抜けやすくなったりします。ヒールを直す際は、前貼りも同時に行いましょう。

■4:箱にいれて半年以上も保管する

箱保存も劣化を早めている場合があります

「ここぞ」という特別なシーンで履く大切なヒール靴は、大事に箱で保管という人も多いはず。しかし、これもNG習慣です。

現在販売されているヒール靴の多くは、人工皮革や合成樹脂でつくられたポリウレタン素材が多いそう。そのため素材の性質上、締め切った状態で長期間放置すると湿気によって加水分解され、どんどん靴が劣化してしまいます。

久しぶりにシューズボックスから出して歩いているうちに、靴底や中の裏地がボロボロ崩れてきて恥ずかしい思いをした、なんてこと、実はよくある話なのだとか。冠婚葬祭用のものなど、普段履かないヒール靴は特に注意が必要です。箱に入れて保管するのは避け、湿気がこもらない状態で置いておくこと。大切にしているからこそしてしまいがちな行動だけに、要注意です! 

大切なヒールを長く履くために

ヒール靴の履き方を今一度見直してみては?

【まとめ/ヒール靴の劣化を早める4つ習慣】
1. 雨の日にエナメル素材のヒール靴を履く
2. 長時間履いたヒールを置きっぱなしにする
3.トップリフトのゴムだけを交換する
4. 箱にいれて半年以上も保管する

ちょっとしたことですが、気をつけると気をつけないとでは、ずいぶん状態が変わってきます。また、本来は履いたら中4日は空けるのがベストなのだとか。3〜4足をローテーションしてあげると、お気に入りのヒール靴を長く大切に履くことができますよ。 

三浦賢一さん
足と靴専門の理学療法士
(みうら けんいち)高校時代に足やひざの慢性的な障害に苦しみ、「足から全身の健康を見直す」ことを提唱するために医療の道へ。足の治療と靴の製作の馬喰快歩堂所長。

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この記事の執筆者
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WRITING :
松崎愛香
EDIT :
高橋優海(東京通信社)