「【目次】

【「短絡的」の「読み方」「意味」】

■読み方

「短絡的」は「たんらくてき」と読みます。

■意味

「短絡的」の「短絡」とは、深く物事を考えずに、あるいは取るべき手順を踏まずに、簡単に原因と結果、問いと答えなどを結びつけてしまうことです。

もともと「短絡」は電気の「ショート」を意味する電気工学用語でした。例えば、電圧の差を無視してバッテリーのプラスとマイナスを直接つなげると、電気回路は誤作動を起こしたり破損したりしてしまいます。ここから、2点間(原因と結果、あるいは問いと答えなど)を安易に結びつけてしまうことを、「短絡的」と表現するようになりました。これは、思慮が浅かったり、せっかちな性格のために、結果的に失敗するというネガティブなニュアンスを含んだ表現です。「意志決定が早い」といったポジティブなニュアンスは含みませんので、会話のなかで使うときには注意が必要です。


【「短絡的な人」の具体的な「特徴」は?】

周囲から「短絡的」と評価される人には、どんな特徴があるのでしょうか。

■物事を深く考えない

■思いつきで行動する

■思考が単純

■楽観的

■人の話を聞かない

■せっかちである

■(良くも悪くも)こだわりが少ない

自分の周りに「こんな人いる!」と思う当たる人も多いのでは?「短絡的な人」は最大限好意的に見れば、ポジティブな人とも言えますが、慎重な人からしたら「何も考えてない」ように映るかもしれませんね。


【シチュエーション別】短絡的な発言・行動の具体例

ビジネス編:職場でありがちな「短絡的」な行動

■「とりあえず前例通りで進めましょう」と考える
 →考えることを放棄すれば、最適な手段を見逃しています。

■ 会議で「それ無理でしょ」と即座に否定する
 →背景や意図を聞かずに潰すことで、発言者のモチベーションを低下させてしまいます。

■1回の失敗で「あの人は使えない」と評価する
 →人の成長プロセスを見ず、表面的に判断してしまうのは危険です。

■ 上司に怒られた=「自分はダメなんだ」と思い込む
 →原因分析せず、自己否定で終わるだけでは成長は望めません。

■ 反論された瞬間に「嫌われてる」と思い込む
 →意見と人格を分けて考えられない思考癖は改善の余地ありです。

■「残業=頑張ってる」と評価する
 →効率や成果を無視した思考と言えます。

■ プレゼンで質問が多い=「つまらなかった」と捉える
 →実は、関心があるからこそ積極的な質問が出ることもありますよね。

■メールの言い回しが冷たい=「この人、怒ってる?」と感じて距離を取りたくなる
 →文面だけで感情を決めつけるのは危険です。必要であれば、もう一段深いコミュニケーションを。

■「ほかの部署は楽そうでいいな」と仕事量だけで比較する
 →見えてない負担や責任もあるかも、といったん考えてみて下さい。

■「あの人、いつも暇そう」などと、表面的な行動だけで判断
 →成果や背景を知らずにレッテルを貼るのはNGです。

 SNS編:ネットでやってしまいがちな「短絡的」な行動 

■タイトルだけ読んで「内容わかった」と思い込む
 →ネットでは、本文に真逆のことが書かれている場合も多々あります。

■「フォロワー数が多い=正しい情報」と信じてしまう
 →影響力=信頼性ではありません。

■ひとつの切り抜き動画で「この人は最悪」と断定する
 →前後の文脈を見ないまま批判するのは早計です。

■「バズってる=全員が支持してる」と勘違いする
 →実は批判的リプも多い場合も。「自分で考える」習慣は決して失いたくないですよね。

■ その場のノリで「いいね」やシェアを連打
 →あとから「炎上する投稿に加担していた」と気付くことも…。

■「この人が言ってるから正しい」と思考を停止させてしまう
 →裏取りせず拡散させるのはネット社会でもっとも危険な行為のひとつです。

■「リプが冷たい=嫌われてる」と落ち込む
 →人の感情をいちいち受け止めていては身が削られてしまいます。

■ 炎上投稿に「正義感」で突っ込む
 →背景を知らずに巻き込まれる可能性も…。とにもかくにもSNSへの投稿は常に慎重なりたいものです。

■ 自分の投稿が伸びない=「無価値」と感じる
 →人生はSNSの数字が全てではありません。楽しくないと感じたら距離を置く勇気を。

■「写真がおしゃれ=その人の人生もうまくいってる」と思い込む
 →見えているのは“切り取られた一瞬”だけ。その憧れがモチベーションにならず、嫉妬やネガティブ思考になるものなら、これも距離を置いた方が心身の健康に有効です。


【「類語」「言い換え」表現】

■単純

■浅はか

■軽佻浮薄

■軽薄

■浮薄

■安直

「軽佻浮薄」は軽はずみで落ち着きのない様子。「浅はか」は、思慮が足りない様子そのものを表しますが、「軽薄」や「浮薄」は浅はかな考えの結果、言動が慎重さを欠くさまを表わします。「安直」は簡単で手軽な様子やいい加減なことです。

■思慮が足りない

■直感的

「思いつきで行動する」ことをネガティブなニュアンス抜きで表現するならば、「直感的」が適当です。


【「短絡的」の「反対語」は?】

「物事を深く考えずに結論を出す」という意味の「短絡的」と反対の意味をもつ言葉をご紹介します。

■思慮深い

■慎重

■内省的(ないせいてき)

「内省的」とは「自分自身の思想、言動などを深く省みるさま」を意味する言葉です。

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「短絡的」とは、「AだからBだ」と物事を直線的かつ単純に捉えてしまう思考のクセのこと。その背景には、思考の省略や感情の先走りが潜んでいることも少なくありません。社会経験を重ね、数々の判断を求められる私たち大人世代にとって、「短絡的」という評価は、信頼・判断力・品位のすべてを損なう可能性があります。

ときに直感は大切ですが、それが熟慮に裏打ちされた直感であることが大人の知性。場の空気を読みすぎて遠慮するより、一歩引いて全体像を見通す力こそ、これからのビジネスキャリアを支える鍵になるはずです。

自分自身の思考グセを見直すことは、自己成長の第一歩。「短絡的」にならないために、多角的に考え、対話を重ね、判断に深みをもたせる――。それが、信頼されるリーダーとしての成熟したふるまいへとつながっていくのではないでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) :