「今日の定例ミーティングも盛り上がらなかったねぇ」「新人がぜんぜん発言しないから。若者のリアルなトレンドや新鮮なアイディアを吸い上げるのもミーティングの目的なのに…」「それって、あの部長の威圧感のせいだよ」──こんな会話、あなたの周りでも聞こえることがありませんか? 今回は「威圧感」という言葉の基礎知識と共に、「威圧感のある人」についても紐解いていきましょう。

【目次】

「威圧感あるよね…」と陰で言われないよう気をつけましょう!
「なんか威圧感あるのよね…」と陰で言われないよう気を付けましょう!

「読み方」「意味」 など「威圧感」の基礎知識】

■読み方

「威圧感」と書いて「いあつかん」です。

■意味 

まずは「威圧」という言葉を見てみましょう。

『日本国語大辞典』には「威力や威光などによって、押えつけること」とあります。「威力」は「ほかを押えつけ服従させる、強い力や勢い」、「威光」は「人を恐れさせ、従わせる力や勢い」のこと。「威圧する」「威圧される」というように使います。「威勢がいい」の「威勢」も同様の意味で使われます。したがって「威圧感」とは「なんらかの威力を使って服従させる感じ」「圧倒されるような感覚」のこと。本当に「実力」があるかどうかに関わらず、“そういう雰囲気”を出している人っているものですね。

■英語では…

威圧的な様子のことを[high-handed]と表します。例えば「彼は威圧的にものを言う」は[He speaks in a high-handed manner]となります。

今回の「威圧感」だと、「圧倒するような、有無を言わせない、抗しがたい」という意味の[overpowering]が適切です。「恐怖感がある」という意味をもつ[feel intimidated]も近いですね。


「威圧感がある人」って?具体的な「特徴」

では、「威圧感」を与える人の特徴を挙げてみましょう。

■態度が横柄で人を寄せ付けない

偉そうに振る舞ったり、上から目線な態度で他人を威圧します。自分が特別扱いされることを望みます。

■愛想や愛嬌がない

目つきが悪く、表情はいつも固めです。愛想や愛嬌がないので、言葉を発していなくても人を攻撃しているような雰囲気を醸し出します。

■話し方が断定的で言葉遣いが高圧的

威圧的な人には、「こう思うけどどうかな?」「こういう例もあるけど…」という“余白”がありません。決定事項でもないのに、発言は断定的。有無を言わせない雰囲気を漂わせます。言葉遣いが高圧的だったり、必要以上に大声を出したりという話し方も特徴です。

■コミュニケーション能力が低い

上記を総合すると、「威圧感のある人」は他人を受け入れることが苦手な「コミュ力の低い人」だということがわかります。こういう人が上司だったり取り引き先にいた場合、業務以上にストレスで困りますね。実は「威圧感のある人」は、臆病で人から認められたいという欲が強い人。コンプレックスの裏返しなのかもしれません。


【「威圧感の使い方」がわかる「例文」4選】

■1:「彼女が出社するとすぐにわかるよね、朝から威圧感がすごいから」

■2:「威圧感って、自分の自信のなさや実力不足をカモフラージュする鎧のようなものなんじゃない?」

■3:「自己顕示欲が強い人は、たいてい威圧感も強い」

■4:「あの威圧的な話し方で周囲を委縮させてるって、本人は気付いていないんだろうね」

■5:「トップになる資質のひとつとして、ある程度の威圧感は必要なのかもしれない」


【「威圧感」を別の言葉にすると?「類語」「言い換え」表現

「威圧感」はどんな言葉に言い換えることができるでしょうか。

■圧迫感

物質的、精神的に威圧を与える感じ。

■抑圧感

抑制して圧迫したり、無理やり押さえつける感じ。

■凄み

人を恐れさせる様子をすること。

■高圧的

権力に物を言わせて人を押さえつけようとするさま。

■高飛車

相手に対して高圧的な態度をとること、またそのさま。

「威圧感がある」を人に使う場合、ほめ言葉に受け止める人は多くありません。冒頭に「いい意味で」を付けたところで、しかり。ビジネスシーンに必要な堂々とした態度、他者を圧倒するほどの仕事ぶりを称賛したいときには、「競合コンペに向けた彼女の態度には凄みを感じる」「揚げ足を取るかのような安っぽい反論を許さない毅然とした態度が彼女の武器だ」などの言い換えがベターです。


【「威圧感がある人」の反対はどんな人?

威圧感がある人とはできれば関わりたくないもの。もちろん自分も「威圧感がある」とは言われたくないですよね。では、「威圧感がない人」とはどういう人でしょう。

■温厚な人

「温厚」は、正確や態度などがおとなしく優しいさま。穏やかで落ち着いた雰囲気の人が「温厚な人」です。

■謙虚な人

「謙虚」は、心にわだかまりがなく、控え目で、慎ましいこと。立場に関わらず「謙虚な人」は、誰からも一目置かれます。

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有事の際や一刻を争う危機的な状況に陥ったときなど、混乱や心理的なパニックが生じるシーンでは、組織のトップに「威圧感」ある態度が求められることもなきにしもあらずですが、日常的に偉そうにしている人、上から目線な人、人を小馬鹿にしたような態度──そういった「威圧感」のある人には毅然とした態度で接するべき。「この人も不安なのかもしれない…」と、相手を慮る余裕を見せましょう。必要以上に反論・反抗しない、も得策です。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社) :