【目次】

碑文谷ってどこにあるの?「場所」

春になると美しい桜並木の碑さくら通り。目黒通りから1本入ったところにある風情のある道だ。
春になると美しい桜並木の「碑(いしぶみ)さくら通り」。「清水池公園」から環七通りに延びるバス通りで風情のある道だ。

碑文谷(ひもんや)があるのは東京都目黒区。1丁目から6丁目まである広大なエリアです。エリア中央辺りに北東から南西に向かって目黒通りが、エリアの西側を環状七号線(環七通り)が通っていて、車移動が便利な場所。そして、ここが高級住宅街であることを示すかのように、碑文谷付近の目黒通り沿いには  「フェラーリ」、「ランボルギーニ」、「マセラティ」といった高級車のディーラーやサービス工場が並んでいます。大通りから少し小道へ入っていくと緑の多い閑静な住宅街に。「すずめのお宿緑地公園」や「清水池公園」など大きな公園が点在しています。

碑文谷の「最寄り駅」

東急東横線の「学芸大学駅」。急行も停まるので便利。
東急東横線の「学芸大学駅」。急行も停まるので便利。

碑文谷は、東急東横線の「学芸大学駅」や「都立大学駅」、そして東急目黒線の「西小山駅」が最寄り駅です。例えば、「学芸大学駅」からターミナル駅の「渋谷駅」までは電車で8分程度で着くので便利。碑文谷3丁目付近からは、東急大井町線や目黒線が通る「大岡山駅」も利用できます。ただし碑文谷の閑静な住宅地は、駅から少し距離があるのも特徴です。場所によっては、どの駅からも徒歩で15分程度かかってしまうということも。だからこそ得られる静かな住環境があります。

目黒駅前。カフェやレストラン、クリニックなども入った「目黒セントラルスクエア」が建ち、駅周辺はさらに利用しやすくなった。
目黒駅前。カフェやレストラン、クリニックなども入った「目黒セントラルスクエア」が2018年に建ち、駅周辺はさらに利用しやすくなった。

とはいえ心配は無用です。なぜならこの辺りは、バスの便が抜群によいから。目黒通り沿いは通勤時間帯になるとバスが3分間隔で走り、バス専用レーンもあり、混雑せずにJR山手線の目黒駅までたどり着くことができるんです。目黒駅まではバスで15分程度です。

碑文谷の「地図」

碑文谷の「歴史」と「由来」

碑文谷3丁目にある「すずめのお宿緑地公園」は竹林で、当時の名残を留めている。
碑文谷3丁目にある「すずめのお宿緑地公園」は竹林で、当時の名残を留めている。

碑文谷は目黒区の中でも特に古い歴史があります。江戸時代、この辺りは碑文谷村と呼ばれていました。目黒には、上目黒村、中目黒村、下目黒村、三田村、碑文谷村、衾村の6つの村があってそのうちのひとつです。明治22(1889)年に隣の衾村と合併し、「碑衾(ひぶすま)村」と呼ばれるようになりました。当時、碑文谷はタケノコや野菜、米などの栽培が盛んな農地で、特に、有数な竹林だったこの地では、良質のタケノコが収穫されたといわれ、大正中頃には、最盛期を迎えました。

大正12(1923)年9月の関東大震災のあと、高台にあるこの地域に多くの人が移り住みます。目黒駅と蒲田駅を結ぶ目蒲線(現在の目黒線と多摩川線)が同年11月に開通し、さらに昭和2(1927)年には東横線が開業してこの辺りは住宅地へと変わりました。

碑文谷の「由来」

「碑文石」が保存されている碑文谷八幡宮。木々に囲まれていて清々しい雰囲気だ。
「碑文石」が保存されている碑文谷八幡宮。立派な木々に囲まれていて清々しい雰囲気だ。

碑文谷という珍しい地名の由来には諸説あります。もっとも有名なのが「碑文石」由来の説です。「碑文石」は、上部中央に大日如来、左に勢至菩薩、右に観音菩薩を表す梵字が刻まれている石碑で、碑文谷3丁目にある碑文谷八幡宮に大切に保存されています。 碑文谷八幡宮は、江戸時代の碑文谷村の鎮守。江戸時代の地誌「新編武蔵風土紀稿」には、「昔、村内の鎌倉街道の端に梵字を刻んだ碑が立っていたので、それが地名の由来になった」という記述があります。

そほのか、 檜物屋(ひものや)を起源とする説もあります。これは、この辺りの鎌倉街道沿いで、 檜物(ひもの)を扱う職人がいて、それが地名になったという説です。 檜物は、味噌こしやふるい、神社の柄杓(ひしゃく)など、ヒノキを材料にした曲げ物容器のこと。「ひものや」が「ひもんや」となったというわけです。

碑文谷の3つの「魅力」

■1:公園にも、通りにも緑の溢れるエリアです

目黒区碑文谷周辺には程よく緑が点在していて長閑な雰囲気があります。子どもと遊んだり、犬の散歩やちょっとした運動にも最適な公園や緑道が住まいの近くにあるのはとてもうれしいポイント。「碑(いしぶみ)さくら通り」や「立会川緑道」などの通り沿いにも桜が植えられていて、春になるととても綺麗です。代表的なものをご紹介しましょう。

■碑文谷公園

碑文谷公園は目黒通りの北側、碑文谷6丁目にある。
碑文谷公園は目黒通りの北側、碑文谷6丁目にある。

「碑文谷公園」は、目黒区内でも古くからある公園のひとつです。公園内には8,000平方メートルほどある大きな池があります。この池は、江戸時期から昭和初期にかけて、碑文谷村共有の水田灌漑用の貯水池として大切に管理されていました。現在はこの池でボート遊びなどができます。そのほか、ポニー園や小動物とのふれあいコーナー、野球場やテニスコートもあり、ファミリーにも人気の高い公園です。

 碑(いしぶみ)さくら通り

「碑さくら通り」。写真左に見える青い屋根の建物が「サレジオ教会」。
「碑さくら通り」。写真左に見える青い屋根の建物が「サレジオ教会」。

目黒といえば、目黒川沿いの桜並木が有名。ですが、この碑文谷周辺には、春になるとそれと同等、それ以上のすばらしい絶景が見られる桜並木が複数あります。写真は、目黒本町2丁目にある「清水池公園」辺りから、碑文谷1丁目にある「サレジオ教会」を通って環七通りに向かう「碑さくら通り」です。道路片側に立派な桜並木が続いていて、心地よく散策を楽しむことができます。この通り沿いにある「清水池公園」は、碑文谷公園の兄弟池といわれる古い大きな池があり、目黒区内で唯一、釣りができる公園としても知られています。

■2:近くに大型スーパーがあります

目黒通りの「イオンスタイル碑文谷」。2階にはスターバックスやワインバルが入っていて寛げる空間です。
目黒通りの「イオンスタイル碑文谷」。2階にはスターバックスやワインバルがあり、寛げる空間に。

目黒通り沿いの碑文谷4丁目に大型スーパーマーケットの「イオンスタイル碑文谷」があります。食料品や酒類、衣料品、キッズ用品など圧巻の品揃え。同じく4丁目には「オオゼキ碑文谷店」もあり、ダイソーも入っています。駅まで行かなくてもなんでも揃えられる環境は便利です。通称「インテリアストリート」とも呼ばれ、家具店の多い目黒通り沿いには、2022年に「ニトリ 目黒通り店」もオープンしました。キッチン用品やベビー用品などがここでもそろえられます。

そのほか、最寄り駅の「学芸大学駅」にはスーパーマーケットの「東急ストア 学芸大学店」があります。そして「学芸大学駅」の西口と東口両側には活気のある商店街が広がっていて、レストランや惣菜店、ベーカリー、薬局、花屋、カフェ、雑貨店などが揃っています。

学芸大学駅前の商店街。飲食店やドラッグストア、輸入食品の「KALDI」などさまざまなお店がそろう。
学芸大学駅前の商店街。飲食店やドラッグストア、輸入食品の「KALDI」などさまざまなお店がそろう。

JR山手線の目黒駅も便利です。目黒駅前には「アトレ目黒」があり、高級スーパーマーケットの「ザ・ガーデン自由が丘」が入っています。また、目黒駅から目黒川方向へと下っていく「権之助坂」沿いなどにはたくさんの飲食店が並んでいます。碑文谷は、買い物や外食には困らないエリアです。

目黒駅前「権之助坂」。この坂を下っていくと桜並木がきれいな目黒川に出る。
目黒駅前「権之助坂」。この坂を下っていくと桜並木がきれいな目黒川に出る。

■3:歴史の古いエリアで落ち着いた雰囲気です

この辺りにはとても古い歴史が残されています。23区内で最古の木造建築である「釈迦堂」があるのが「圓融(えんゆう)寺」です。

 圓融寺

「圓融寺」の「阿弥陀堂」。節分の豆まき行事では大勢の人で賑わう。
「圓融寺」の「釈迦堂」。節分の豆まき行事では大勢の人で賑わう。

圓融寺は平安初期853年に創建された古刹(こさつ)です。元々の名前は「法服寺」で天台宗の寺でした。その後、鎌倉時代に日蓮宗に改められ、「法華寺」という名前になります。のちに徳川幕府と対立をして取り潰しにあい、天台宗の寺に戻されて名前が「圓融寺」となり現在に至ります。「釈迦堂」の建築年代は室町時代とされていて、東京都区内では最古の木造建築で、重要文化財に指定されています。

 カトリック碑文谷教会(サレジオ教会)

サレジオ教会。教会内に飾られている「悲しみの聖母」という絵は、「江戸のサンタ・マリア」と呼ばれている。
サレジオ教会。教会内に掲げられている「悲しみの聖母」という絵は、「江戸のサンタ・マリア」と呼ばれている。教会にあるものはレプリカ。実物は「東京国立博物館」に収蔵されている。

碑文谷エリアでとりわけ目立つ存在なのが高い鐘塔のある「サレジオ教会」です。 現在の建物は、昭和29(1954)年に建てられました。教会内はアーチ状の天井で、ロマネスク様式で建てられたステンドグラスがとても美しい教会です。ちなみに圓融寺にもサレジオ教会にも園庭の大きな幼稚園があります。

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目黒区碑文谷には、碑文谷だからこそ叶えられる「理想の環境」があります。駅から程よく離れているから得られる静かな環境、かといって日々の買い物には困らず、子どもと遊び、ランニングしたり犬の散歩ができる緑溢れる公園もたくさん。この辺りに住むと離れられなくなる人が多いと聞きますが、華やかで賑やかな都心のすぐ近くに住んでいることを忘れるくらいに静かでゆったりとした生活ができそうです。

参考:目黒区ホームページ
   みどりの散歩道(碑文谷・立会川コース)ホームページ
   カトリック碑文谷教会(サレジオ教会)ホームページ
   圓融寺ホームページ
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AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子