「選りすぐり」は「よいもののなかから、さらに選び抜かれたもの」という意味の言葉です。人だけでなく、モノに対しても使われますよ。今回は「選りすぐり」という言葉の意味や類語、対義語を解説します。

【目次】

「よいものの中から、特に選ばれたよいもの」です。
「よいものの中から、特に選ばれたよいもの」です。

【「選りすぐり」を正しく理解するための「基礎知識」】

■「よりすぐり」と「えりすぐり」どっちの読み方が正しい?

「選りすぐり」は「よりすぐり」でも「えりすぐり」でも正解です!

■意味

「よいもののなかから、さらに選び抜かれたもの」が「選りすぐり」です。

「選りすぐり」の「すぐり」は、もともと動詞の「すぐる」からきています。漢字では「選る」と表記され、「多くの中から優れたものを選び出す」という意味をもちます。つまり「選りすぐり」は、「選ぶ」という意味の語を重ねてできた言葉です「いくつかのよいものの中から、さらに選ばれた特別によいもの」という意味になります。


【「使い方」がわかる「例文」6選】

「選りすぐり」は、人だけでなく、モノに対しても使われます。ビジネスシーンでは、チームのメンバーや商品を説明したり紹介したりする際にぴったりの言葉です。例文をチェックしてみましょう。

■1:「会社の命運を賭けた新しいプロジェクトは、選りすぐりのメンバーで構成された」

■2:「こちらは選りすぐりの材料だけを使って作られた、弊社おすすめの商品となります」

■3:「全国大会は、選りすぐりの選手だけで競われる」

■4:「そのシェフは料理のテクニックのみならず、選りすぐりの食材を使うことでも知られている」

■5:「そのコンクールには、全国各地から選りすぐりのダンサーが集結する」

■NG:「彼女は選りすぐりです」

「選りすぐり」は「よいもののなかから、さらに選び抜かれたもの」という意味なので、比較対象がなく、単に「優秀」といった意味で使用することはできません。


【「類語」「言い換え」表現】

「選りすぐり」の同義語をいくつかご紹介しましょう。

■選り抜き

「多くのものの中から選び出すこと。また、選び出されたもの」が「選り抜き」です。「えりぬき」もしくは「よりぬき」と読み、「選りすぐり」とほとんど同じ意味で使えます。

■粒より

「粒より」も「多くのものの中から優れたものを選び出すこと。また、選び出されたもの」。『デジタル大辞泉』では、同義語として「選り抜き」を挙げています。似た言葉に「粒揃い」がありますが、こちらは「たくさんの中の粒(人やモノ)の大きさや質が、良質でよく揃っていること」。「粒揃い」は「よいものがすでに揃っている」状態であり、「よいものを選ぶ」というニュアンスは含まれていません。

■厳選

「厳選」は「厳重に選択すること。厳しい基準で選び出すこと」。「選りすぐり」には特別な「基準」はないことが、ふたつの語の違いです。

■少数精鋭

「少数精鋭」は「少数精鋭主義」などと使われ、「人数は少ないが、優れた者だけを揃えること」です。人を対象として使われます。


【「対義語」は?】

■寄せ集め 

「寄せ集め」は、とりあえずの間に合わせのために、急いで集めるようなシーンで用いられます。数合わせのようなニュアンスで、質のよしあしは問われていません。

■烏合の衆

たくさん集まって、がやがやと騒ぐだけのカラスの群れのように「規律も統一もなく寄り集まっている群集、または兵隊のこと」を「烏合の衆」と言います。その集団を見下すニュアンスがあるので、使う際には注意が必要です。

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「選りすぐりの逸品」「選りすぐりの精鋭」といった表現には、同じような意味の言葉が繰り返し使われていますが、「間違い」とまではされず、一般的に認められている範囲です。もしも気になるようであれば、「自分では使わない」のが正解。明らかに間違った使い方は問題ですが、「日本語警察」のようにピリピリ神経を尖らせる必要はありません。ましてや、人に自分の考えを強要するようでは、「大人の語彙力」を身に付けたとは言えませんね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :