「造詣」は、「○○(分野の名)に造詣が深い」というかたちで、ある分野に詳しいことを示す表現です。目上の方を誰かに紹介する際に使うと、プロフィールを説明しながらさり気なくその方を立てることができるため、知っておくととても重宝しますよ。今回は「造詣」の詳しい意味や使い方が理解できる例文、英語表現を解説します。

【目次】

広く深い知識や理解を表す言葉です。
広く深い知識や理解を表す言葉です。

【「造詣」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「造詣」は「ぞうけい」と読みます。「ぞうし」と誤読する人も多いようですよ。

■意味

「造詣」は「学問、芸術、技術など、ある分野に対する広く深い知識や理解、優れた技量」という意味の言葉です。

「造詣」の「造」は「つくる」「建てる」「始める」のほか、「行き着く」「功績をあげる」「(学問などが)あるレベルに達する」ことを示します。「詣」は音読みで「けい」、訓読みで「もうーでる」と読み、「(朝廷などに)行く、到着する」といった意味のほか、「学業などが到達したレベル」という意味もあります。このふたつを組み合わせた「造詣」には、①学問や技芸の道に深く行きわたる。②行きつく。③人の家に行く、といった意味がありますが、実際には①の学問や技芸の道に深く行きわたる」という意味で使われることがほとんどです。


【「造詣が深い」ってどういうこと?】

「○○に造詣が深い」というかたちで、ある分野に詳しいことを表現します。「造詣」が「ある分野に対し、広く深い知識や理解、技術をもっていること」であることから、「『造詣が深い』は二重表現では?」と思うかもしれませんが、正しい日本語表現です。


【「使い方」がわかる「例文」4選】

「造詣」は、知識や技術の持ち主に敬意を表しつつ、専門分野や趣味などを紹介できる言葉なので、人を紹介する場面で重宝します。

■1:「講師には、海外の文化に造詣の深い○○先生をお招きしました」

■2:「○○先生は、実は茶道にも造詣が深くていらっしゃいます」

■3:「今後は専門分野以外でも、関連事項への造詣を深めていけたらと思っています」

■4:「外国人でありながら、日本の文化に造詣のある彼女と話すのは、非常に興味深い」


【「類語」「言い換え」表現】

「造詣」と似たような意味をもつ言葉をいくつかご紹介しましょう。

■学識

■蘊蓄(うんちく)

「学問、芸術などについて深い知識と理解をもっていること」という意味において、「造詣」「学識」「蘊蓄」は共通した言葉です。違いは、「学識」は学問から得た高い見識や豊かな知識を言い、「造詣」は、その分野についての広い知識と深い理解を表します。また「蘊蓄」は、学問だけでなく、趣味や技術についても使われます。「蘊蓄を傾ける」のかたちで使うことが多いですね。

■博学

■博識

幅広い分野について詳しいことを表現する際は「博学」を用います。学んで身に付けた、学問的な事柄に関して使うことが多い言葉です。「博識」は、学問的な事柄だけでなく、政治や社会、文学、芸術など、多方面にわたる知識に広く用いられます。

■有識

「有識」は「 広く物事を知っていて、見識の高いこと。また、その人」を指す言葉で、主に「有識者」などと使われます。

■「○○に明るい」

■「○○に精通している」

ある分野(○○)に詳しいことを表す際に使われるフレーズです。


【「英語」で言うと?】

「造詣」にぴったりとあてはまる英単語はありませんが、「広く深い知識や理解をもっている」ことを表現するには、[have a deep knowledge of~]というフレーズが使えます。

・He has a deep knowledge of Japanese literature.(彼は日本文学に造詣が深い)

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ビジネスシーンで誰かを紹介する際、その人に敬意を表しつつ、専門分野や趣味などもさらっと紹介することができる「造詣」は、とても便利な言葉です。特に目上の方を誰かに引き合わせるときは、少々緊張するもの。尊敬の気持ちを表す言葉を上手に使いこなしたいものですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :