【目次】

尾山台ってどこにあるの?「場所」

尾山台の住宅街は坂道が多い。斜面に区画の大きい一戸建てが並んでいる。
尾山台の住宅街は坂道が多い。斜面に区画の大きい一戸建て住宅が並んでいる。

高級住宅街「尾山台」があるのは東京都世田谷区の南部。環状8号線を挟んで北側が3丁目、南側に1丁目と2丁目があります。尾山台の北側は東急大井町線と接していて、最寄り駅のひとつである尾山台駅があります。北と西は等々力、南は玉堤、田園調布と隣接しています。比較的平坦なエリアですが、多摩川と並行するように流れる丸子川付近は、国分寺崖線※にあるため、アップダウンがあります。

※武蔵野を代表する地形。立川市から大田区まで連続する延長約30キロメートルに及ぶ「がけ地」で貴重な樹林地が形成されている。

尾山台の「最寄り駅」

東急大井町線の尾山台駅。駅前には4つの商店街があって活気がある。
東急大井町線の尾山台駅。駅前には4つの商店街があって活気がある。

尾山台の最寄り駅は東急大井町線の「尾山台駅」と「九品仏駅」です。大井町線は、「大井町駅」から、東急池上線の通る「旗の台駅」、東急目黒線の通る「大岡山駅」や東急東横線の通る「自由が丘駅」を経由して、東急田園都市線の通る「二子玉川駅」を通り、「溝の口駅」へと向かいます。東急大井町線は、東急電鉄のほかの路線への乗り換えがとても便利です。

尾山台の「地図」

尾山台の「歴史」と「由来」

尾山台2丁目にある「宇佐神社」。尾山台周辺には古墳が点在し、この神社の境内にも「八幡塚古墳」がある。
尾山台2丁目にある「宇佐神社」。尾山台周辺には古墳が点在し、この神社の境内にも「八幡塚古墳」がある。

尾山台の歴史には、田園調布の開発が大きく関わっています。

大正7(1918)年に実業家の渋沢栄一らによって理想的な住宅地「田園都市」の開発を目的とする「田園都市株式会社」が設立されます。そして大正12(1923)年ごろ、現在の大田区の田園調布周辺で住宅地の分譲が開始されました。さらに大正14(1925)年、田園調布の隣にある玉川村(現在の世田谷区の4分の1を占める)でも「玉川全円耕地整理事業」が認可されました。これは玉川村全域で行われたとても大規模な耕地整理です。この工事が終了したのは昭和29(1954)年のこと。なんと、30年ほどかかりました。

その玉川村の中でいち早く工事に着手されたのは、尾山台を含む東部です。開発の進む田園調布に近く、鉄道も開通していたため、耕地整理への機運が高かったからというのがその理由です。

大井町線の線路。尾山台駅ができたのは1929年。お隣の九品仏駅までは徒歩で10分程度と近い。
大井町線の線路。尾山台駅ができたのは昭和4(1929)年。隣の九品仏駅までは徒歩で10分程度と散歩がてら歩ける距離。

大正11(1922)年に「田園都市株式会社」を母体として「目黒蒲田電鉄」が設立され、大正12(1923)年3月に目黒〜丸子間が開業されました。そして同年11月に丸子〜蒲田間まで路線が延長され、目蒲線が全線開通しました。その後、好調な「目黒蒲田電鉄」は大井町線の工事に着工します。大井町〜大岡山間が開通したのは昭和2(1927)年のこと。大井町〜二子玉川間までつながったのは昭和4(1929)年です。

これらの路線の開発により、交通不便だった玉川村の東部が一気に開発されました。そして昭和7(1932)年に玉川村は東京市に合併されて世田谷区の一部となりました。

尾山台の「由来」

尾山台にある高台から「田園調布雙葉学園」方向を臨む。緑がとても豊かな場所だ。
尾山台にある高台から「田園調布雙葉学園」方向を臨む。緑がとても豊かな場所だ。

尾山台は、江戸時代には「荏原郡小山(おやま)村」呼ばれていた区域です。小山は、この村の主要部分が国分寺崖線の高台にあることを示しています。小山が尾山となったのは明治7年から明治22年までの間だそう。その理由は、同じく荏原郡に小山(こやま)村(現在の品川区小山)があって漢字で表した場合に紛らわしかったからだとか。

尾山台の3つの「魅力」

■1:風紀地区で高い建物がありません

尾山台の住宅地。並ぶ一戸建ては比較的大きいのも特徴的だ。
尾山台の住宅地。並ぶ一戸建て住宅は比較的大きいのも特徴的だ。

尾山台駅南側にある尾山台エリアは、その多くが第一種低層住宅専用地域です。なかでも1〜2丁目は風致地区にかかっていて、建蔽率は40%以下、そして建物の高さは15メートル以下、道路から建物の壁面後退距離は2メートルと指定されているため、敷地内にある建物はゆとりをもって建てられています。良質な住環境が保たれているのもそのためです。

■2:自由が丘と二子玉川に挟まれています

自由が丘駅前にある九品仏緑道。「無印良品」など、たくさんのお店が並ぶ。尾山台から自由が丘までは大井町線で2駅。
自由が丘駅前にある九品仏川緑道。「無印良品」など、たくさんのお店が並ぶ。尾山台駅から自由が丘駅までは大井町線で2駅。

尾山台から自由が丘までは2kmほど、二子玉川までは3kmほど。おしゃれなお店や話題のスポットが点在するこの2駅に近いのも尾山台の魅力的です。二子玉川駅前には「二子玉川ライズ」や「玉川高島屋」といった商業施設があってショッピングを楽しむことができますし、映画館もあります。自由が丘駅周辺にもおしゃれなカフェやレストラン、雑貨店などが集まっています。どちらの駅も魅力たっぷり。この2駅には子供の習い事も充実していて、子供連れでも利用しやすい環境が整っています。

また、自由が丘までは徒歩で20分程度。「今日はどこで何をしよう」と思ったときに、お散歩ついでに行けるエリアに魅力的な街があるのは便利ですよね。

■3:尾山台駅前には賑やかな商店街があります

駅南側の尾山台エリアにあるのが「ハッピーロード尾山台」という商店街。明るい雰囲気で散策が楽しい。
駅南側の尾山台エリアにあるのが「ハッピーロード尾山台」という商店街。明るい雰囲気で散策が楽しい。

尾山台駅前には南側にも北側にも商店街があります。カフェやレストラン、複数のスーパーマーケット、薬局やクリニックなどさまざまなお店があり、食事や日々の買い物にはまったく困らない環境が整っています。尾山台駅の南側から環八通りまで続くのが、石畳が敷かれている「ハッピーロード尾山台」という商店街です。環八通りまで緩やかな上り坂で、パン屋やカフェ、ワインの専門店やオーガニックの青果店などたくさんのお店が並んでいます。

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世田谷区尾山台は賑やかな二子玉川や自由が丘の間にあって、とても静かな住宅街です。敷地内にはゆったりとした住宅が並び、道幅も広く、国分寺崖線にあって緑も多い。東京にいながらも穏やかな生活ができる場所だと感じました。駅前には活気のある商店街もあり、買い物には困りません。ここに暮らしたら、五感を満たせる楽しい暮らしができそうです。

参考:世田谷区ホームページ
   ハッピーロード尾山台
   尾山台駅周辺商店街ガイドマップ
   世田谷区の土地〜絵図と図面を読み解く〜(世田谷区立郷土資料館)
   世田谷の歴史と文化 世田谷区立郷土資料館 展示ガイドブック(世田谷区立郷土資料館)
   東京急行電鉄50年史
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PHOTO :
AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子