「あなたって本当に我慢強いわね!」のように、「我慢強い」は忍耐力を備えた性格を指して使われる言葉です。感心と賞賛の気持ちを込めて使われることも多いのですが、当事者にとってはよいことばかりでもないようです。今回は、わかっているようで実は曖昧な、「我慢強い」という言葉について、正確な意味や使い方、言い換え表現から英語表現まで深掘りします!

【目次】

「縁の下の力持ち」と言われる人にも多い性格です。
「縁の下の力持ち」と言われる人にも多い性格です。

【「我慢強い」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「我慢強い」は「がまんづよい」と読みます。

■意味

我慢強いには本来、「忍耐力がある。辛抱強い」と、「我(が)を張る気持ちが強い」という、ふたつの意味があります。この場合の「我」とは「わがまま」のことですが、現在では「忍耐力がある。辛抱強い」という意味で使われることがほとんどです。


【「我慢強い人」の「特徴」は?】

ビジネスシーンでは、連日の残業や少々パワハラめいた上司の発言にもへこたれない人に対して、ポジティブな意味合いで「我慢強い」と使うことが多いですね。具体的に、「我慢強い」人の特徴を見ていきましょう。

■不平不満、愚痴を言わない

■多少の失敗では挫けない

■打たれ強い

■明確な意志や考え、強い信念をもっている

■前向き、ポジティブ


【「我慢強い」ことの「長所」と「短所」】

前述した「我慢強い」人の特徴は、そのまま「長所」に当てはまります。ただし、どんな性格の人にとっても、「長所」と「短所」は常に背中合わせです。「我慢強い人」の場合、長所が裏目に出ると、周囲から「人に対して厳しい」と評価されることもあるようです。

■「長所」

・どんな困難にも知恵と工夫で立ち向かう

・逆境に強い

・根気よく、粘り強い

・目標に向かって地道な努力を続けることができる

・責任感が強い

■「短所」

・「頑張れない人」への評価が厳しいことも

・人の意見や忠告に耳を貸さないことがある、頑固


【「よくない」と言われる理由は? 「我慢強い」人の「心理」】

「我慢強い」人は、素晴らしい資質を備えていることがわかりました! とはいえ、「我慢強い」ことは必ずしもいいことばかりではない、という意見もあります。その理由と、そこに働く「我慢強い人」の「心理」を解説します。

■ストレスをひとりで抱えがち

「我慢強い」人は、滅多なことで不平不満を人に漏らしません。そのため、自分では気づかないうちに視野が狭くなりがち。ストレス発散が上手にできないと、ストレスや不安をひとりで抱え込んでしまいます。

■心身の限界に気付くのが遅れがち

真面目で努力家なだけに、困難な局面に対しても、コツコツと努力を続けます。地道な努力が報われる成功体験を持つ人も多いため、自分自身の限界を超えて頑張ってしまうことも。気づいたときには、心身の健康を損ねてしまった…なんて事態には要注意です。

■周囲と対立し、孤立してしまうことも

「我慢強い」人は、芯の強さをもっています。自分の考えや信念を優先するあまり、他人の意見には耳をかさないことも少なくありません。トラブルをひとりで抱え込んでしまう傾向も強いため、八方塞がりの状況であとに引けなくなったり、周囲から孤立してしまうことも。

■突然、キレてしまうことも

「我慢強い」人は、周囲に自分の気持ちを話す機会が少ないため、実際にはどれだけストレスを溜め込んでいるのか、周りには理解されにくい傾向にあります。当人にとっては、我慢に我慢を重ねた結果、暴発してしまったような発言であっても、周囲にとっては青天の霹靂。「突然キレた!」と受け取られてしまうことも少なくありません。


【「類語」「言い換え」表現】

■辛抱強い

■忍耐強い

「長く困難に耐える力が強い」という意味において、「辛抱強い」と「忍耐強い」とはかなり近い意味の言葉です。「耐え忍ぶ力が強い」という意味で「我慢強い」とも共通していますが、怪我や病気などが原因となる「肉体的な苦痛に耐える力が強い」ことを表わすのは、「我慢強い」だけです。


【「対義語」は?】

■こらえ性がない

「こらえ性」とは、「つらいことや苦しいことなどを我慢できる意地や性分」のことです。

■飽きっぽい

「飽きっぽい」とは、「やることが長続きせず、すぐに飽きてしまう様子」を指します。

■根性なし

「根性」とは「物事をあくまでやり通す、逞(たくま)しい精神。気力」。「やり通す気力がない」、すなわち辛抱が足りないということになりますね。

■キレやすい

【「英語」で言うと?】

我慢強いは英語で[patient]です。

・She is so patient. (彼女は我慢強い)

・He is patient with the immaturity of youth.(彼は若者の未熟さに対して我慢強い)

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「我慢強い」人は、多少無理な注文に対しても不平不満を言わず、コツコツと努力を続けるため、上司にとっては非常に有り難い存在です。周囲からの信頼も厚く、頼りにされることが多いのではないでしょうか。ただ1点懸念されるのは、上司の性格や状況次第では、「組織にとって都合のよい存在」として使われてしまうこと。期待に応え、困難な仕事をやり遂げたとしても、頑張りすぎて自分自身の健康を損ねてしまっては本末転倒です。ときには、「無理しないで」という周囲の言葉に、甘えられるあなたでいてくださいね。

この記事の執筆者
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