夏のバカンスは海に近いロケーションで…と考えている人は多いはず。せっかくならば、目の覚めるようなオーシャンビューと共に温泉で心身を癒すという贅沢な体験を叶えてみてはいかがでしょうか?

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、海の絶景を堪能できる温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、静岡県伊豆市にある「森の入り江の離れ宿 無雙庵(むそうあん)枇杷」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

時間帯ごとに表情が変化!高台の露天風呂から駿河湾を俯瞰する

高台にあり海を見下ろすロケーションの「無雙庵枇杷」。
高台にあり海を見下ろすロケーションの「無雙庵枇杷」。

土肥の入江と駿河湾を望む小高い山の中腹に位置する「森の入江の離れ宿 無雙庵枇杷」。森に抱かれるようにひっそりと佇むこちらの宿の室数はわずか8室。その全てが離れの造りでおこもりステイに最適です。

「“オーシャンビューが自慢の宿”といえば、海辺の開放的なロケーションが多いのですが、そういう意味では、今回ご紹介する無雙庵枇杷は、個性的な存在といえるかもしれません。幹線道路からそれて宿専用の細い坂道を登った先にある隠れ宿で、高台から俯瞰した眺めは、ただ海が見えるだけでなく緑も豊か。南の島を訪れたかのような雰囲気で、下界から隔絶された非日常感を味わうことができます」(植竹さん)

客室「蛍」のテラスからの眺め。
客室「蛍」のテラスからの眺め。

「大浴場はなく、全ての客室が露天風呂付き。さらに、屋上に貸切露天風呂が2か所あります。完全にプライベートな空間で気兼ねなく入浴できる客室の露天風呂だけでも満足度が高いですが、貸切露天風呂からの見晴らしは格別。こちらにも足を運ぶことを強くおすすめしたいです。

特に印象に残っているのは夕刻や早朝。日の入りではオレンジ色の太陽がくっきりと見え、空と海のグラデーションが幻想的でしみじみとした哀愁に誘われます。他方、朝食前の早い時刻に貸切風呂を訪れると、駿河湾の表情は一変。日が昇っていくにつれて海面が輝きを増すさまは生き生きとエネルギッシュで、まさしく目の覚めるような光景でした」(植竹さん)

客室「蕪」の露天風呂。浴槽の造りは客室ごとに異なる。
客室「蕪」の露天風呂。浴槽の造りは客室ごとに異なる。

「しかも、ここの温泉は加温も加水も一切ない、貴重な源泉かけ流し。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉です。源泉かけ流しだからこそ、その日の天候などにより湯のコンディションは異なり、私が訪れた際には湯温はやや熱めに感じられました。

白い湯の花が舞うツルツルの湯に浸かっているとほどなく汗がにじんできます。海を眺めながらテラスのデッキチェアで一休みし、少し涼んだらまた湯に浸かり…という優雅な時間を過ごすことで、日頃の疲れやストレスをすっきり解消できました」(植竹さん)

貸切露天風呂「天狗の瓢」。
貸切露天風呂「天狗の瓢」。
貸切露天風呂「河童の誂」。
貸切露天風呂「河童の誂」。

伊豆の美食創作料理を個室でゆったり味わう 

料理の一例。
料理の一例。

無雙庵枇杷では、駿河湾の海の幸や地場産の野菜を盛り込んだ月替わりの創作懐石料理を提供。8つの客室それぞれに、囲炉裏と掘りごたつを備えた専用の個室が用意されており、駿河湾を眺めながらの食事を楽しむことができます。

「火入れが絶妙で柔らかい鮑や、椀物にさりげなく添えられた鯛など、海の幸のクオリティの高さは伊豆ならでは。また、お造りでは薬味のわさびまでもが絶品でした。

伊豆・天城産のわさびが皮付きの生の状態でおろし金と一緒に提供され、その場でゴリゴリ削ります。削りたてのわさびはただ辛いのではなく、爽やかさや市販のものにはないほのかな甘みが感じられ、普段の食卓で口にするものとは別物のよう。新鮮な旬の魚のおいしさをより引き立ててくれるので、わさびが苦手だったり食わず嫌いだったりする人もトライしてみてはいかがでしょうか」(植竹さん)

新鮮な海の幸と生のわさび。
新鮮な海の幸と生のわさび。
盛り付けの美しさにもこだわって…。
盛り付けの美しさにもこだわって…。

以上、「森の入り江の離れ宿 無雙庵枇杷」をご紹介しました。駿河湾を眺めながら源泉かけ流しの温泉に癒されたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生