「フレネミー」という言葉をご存じですか?「フレネミー」とは「友だちのふりをした敵対者」を意味する、アメリカ発の造語です。この記事を最後まで読んでいただければ、「あのときの、あの人って実は…!」と、思いあたる経験があるかもしれません。今回は「フレネミー」の意味や由来、対処法まで、簡潔に解説します。
【目次】
【「フレネミー」を正しく理解するための「基礎知識」】
■意味
「フレネミー」とは、「友人のふりをする敵対者」という意味の言葉で「親切に見せかけて、相手を陥れようとする人」のことを指します。あなたの周囲に、思いあたる人はいませんか?
■語源は?
「フレネミー」の語源は英語で「友だち」を意味する[friend(フレンド)]と「敵」を意味する[enemy(エネミー)]。このふたつを合わせた造語です。
■ネット由来の若者言葉なの?いつから?
「フレネミー」をネット由来の若者言葉と思った方もいるかもしれません。でも、違うのです。実はアメリカの外交評論家らが、中国とロシアの「友人であると同時に敵」という複雑な関係を表現するために用いたのが、この言葉のはじまり。この言葉が生まれた当時、中国とロシアは表向きの友好姿勢とは裏腹に、現実には激しい情報戦が繰り返され、協調とは程遠い状況であることが指摘されていました。
日本では2015年に「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にノミネートされています。『現代用語の基礎知識』に初めて掲載されたのは、2019年度版からです。
ビジネスシーンで「フレネミー」は、「競争相手でありながら同時にパートナーでもある関係性」を指します。ポジティブなニュアンスを含んでいますが、日常では職場などにおける人間関係の悩みの一因として、「友だちを装った敵」という意味で使われることが多いですね。
【「フレネミー」の「特徴」と「使い方」がわかる「例文」5選】
「フレネミー」の由来が、中国とロシアの関係にあったとは驚きですよね! 一方、私たちに身近な存在としての「フレネミー」の特徴は、友人を装ってターゲットに近づき、相手を不幸にしようと画策すること。非常に友好的で優しげに接してくるため、すぐには「フレネミー」と気付けないのが、巧妙で厄介なところです。そして、いい人を装い、ターゲットを安心させたら、プライベートに関する情報を引き出したり、自分が優位でいられるようにコントロールしたり…。
また、「フレネミー」は嫉妬心が強く、常に自分が優位な立ち位置にいたいため、ターゲットから得た情報を駆使して、さり気なくマウンティングを繰り返します。その攻撃は最初はごくマイルドで、優しげな言葉に包まれているため、ターゲットはじわじわと追い詰められ、メンタル的に辛(つら)い状況に陥ってしまうことが少なくありません。しかも周囲にも「フレネミー」とは気付かれにくいので、大きなストレスを抱えてしまうことに! 予防策として、まずは「フレネミーの存在」を意識しておくことが大切です。
■1:「私はA子のこと、本当の友だちだと思っていた。優しい言葉も微笑みも、全部ウソだったなんて。A子こそ、まさにフレネミーだ」
■2:「フレネミーには女性が多いイメージだが、実は男女を問わず、フレネミーは存在する」
■3:「A子が陰で私の悪口を言っていると教えてもらったおかげで、彼女がフレネミーだという確信をもてた」
■4:「彼ほど、表と裏の顔を巧みに使い分けている人を知らない。この落差こそが、フレネミーの特徴だ」
■5:「私は彼がフレネミーだということを知っている。だからプライベートをあれこれ詮索してきても、のらりくらりとはぐらかしている」
【「フレネミー」の「対処法」】
「フレネミー」がターゲットとするのは、自分が優位に立ちやすい人。平和主義で争いを好まないタイプ、相手の意見に流されやすい人は狙われやすいので要注意です。また、職場の人気者や華やかな人も、「フレネミー」の嫉妬の対象になりやすいようです。「フレネミー」の接近に気付いたら、どうすればよいのでしょうか。
■不自然にならない程度に距離を取る
■愚痴や悩みはもちろん、プライベートな話はしない
■「自慢」と受け取られそうな話はしない
■噂話を振ってきても同意しない
■とりあえず適当にほめておく
【「類語」「言い換え」表現】
■見せかけの友人
■コペティション
「コペティション(coopetition)」とは、[competition(競争)]と[cooperation(協力)]を結びつけた造語で、「競争相手との戦略的な目的での提携」のことです。「フレネミー」と共通するのは、「競争しつつも協力もする」という多面的な関係である点。
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できることなら「フレネミー」とは関わりをもちたくないものですが、不幸にもターゲットにされてしまったら、すみやかな避難を。最善の対処法は、適当にあしらいつつ「いい気分になっていただき(気付かれないうちに)遠ざかる」こと。露骨に避けるのは悪手です。少々面倒ですが、心の平和を取り戻すためには必要なこと。逆恨みされないためにも、くれぐれも慎重な対応を!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :