あなたの周りに、相手の頭を押さえつけるようなもの言いをする人、いませんか? 態度が尊大でもの言いが強い「高飛車な人」とはコミュニケーションを取るのが難しく、気を使うために近くにいるだけで疲れてしまいます。今回のテーマは「高飛車」。なんとなく理解している言葉の意味を明確にして、適切に使いこなすためのヒントをお届けします。

【目次】

実は将棋由来の言葉です。
将棋由来の言葉です。

【「高飛車な人」の「高飛車」とは?「読み方」と「意味」など「基礎知識」】

■「たかぴしゃ」?「たかびしゃ?」正しい読み方は?

「高飛車」は一般的に「たかびしゃ」と読みますが「たかぴしゃ」でも間違いではありません。

■意味

「相手に対して高圧的な態度をとることやその様子」を「高飛車」と言います。「高圧的」とは「権力にものを言わせて人を押さえつけようとするさま」のこと。つまり「高飛車な人」は相手は自分の言うことを聞いて当然だという前提で、上から目線で威圧するような態度で相手を従わせようとする人のことをいいます。決めつけが葉h乂しく、人の話をあまり聞かず、自分が正しいと思い込んでいる人も多いのも特徴。要するに、「偉そうな態度の人」ですね。

「高飛車な人」のなかには、実際に高い地位に就いていたり、上司や取引先、顧客、さらにはそれらの配偶者など、「権力にものを言わせる」ことが可能な人であることも少なくありません。ビジネスシーンでは、それが正しいか正しくないかはともかくとして、立場上、対応する側は一方的に我慢を強いられることもあります。深く知れば知るほど、関わりをもちたくない種類の人ですね。

■由来

「高飛車」は将棋由来の言葉です。将棋では、飛車という駒を自陣の前に押し出す戦法を指し、「浮(き)飛車」とも言います。守りを捨てて、攻撃に特化した戦法であり、ここから転じて、江戸時代末期から、高圧的な態度のことを「高飛車」というようになりました。


【「高飛車な人」の「特徴」と「使い方」がわかる「例文」7選】

■1:「上から目線の強い口調から、Aさんは高飛車な人だと陰で言われている」

■2:「実は自分に自信がなかったり、ポジションに実力が見合っていない人ほど、高飛車な態度に出るものだ」

■3:「自分の高飛車なもの言いのせいで周囲に人が集まってこないことを、本人はまったく気付いていないのだから困りものだ」

■4:「言葉遣いが断定的なうえに、尊大で愛想もない。あんな高飛車な夫では妻は苦労するだろうな」

■5:「彼は人間関係を上下でしか測れない。そのため、自分より下、と勝手に位置づけた人に対しては徹底的に高飛車に出る」

■6:「高飛車な人は決めつけが激しく、こちらが説明しようとしても話を聞こうとしない人が多いようだ」

■7:「バブル時代だろうか。高飛車な女性を揶揄した『タカビー』や『タカピー』という言葉が流行ったはずだが、PCの予測変換にも出てこないし、完全な死語のようだ」


【「類語」「言い換え」表現】

「高飛車」の類語・言い換え表現をいくつかご紹介しましょう。

■頭ごなし

「相手の言い分を聞かずに最初からがみがみ言う様子」を「頭ごなし」と言います。ただし、「高飛車な態度」とは言いますが、「頭ごなしな態度」とは言いません。「頭ごなし」は「頭ごなしなもの言い」や「頭ごなしに叱りつける」という使い方が正解です。

■居丈高(いたけだか)

「居丈高」とは「人を威圧するような態度」のことです。「怒りを含んで人を威圧する」といったニュアンスも含みます。

■威圧的

■高圧的

自分のほうが立場が上だと思い、「上から押さえつける」様子を「威圧的」「高圧的」と言います。「威圧的」は「権威や権力を使って押さえつける」ニュアンスも含みます。

■横柄

「横柄」は、「ほかの人を見下げるような態度で無礼であるさま」を表します。謙虚さがなく、相手を小馬鹿にしているようなニュアンスを含んでいます。


【「対義語」は?】

では「高飛車」の対義語はどんな言葉でしょうか。

■謙虚

「謙虚」とは「控えめで慎ましいこと」。

■慎ましい

「自らの挙動が重々しく控えめであるさま。表立たないで控えめである。思慮深い」ことを「慎ましい」と言います。 

■低姿勢

「低姿勢」は「相手に対してへりくだった態度を取ること。また、そのさま」を示す言葉です。

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「高飛車な人」を上司にもってしまったら…想像しただけでストレスが溜まりそうです。接点を減らすのも難しい関係ならば、まずは相手を意識的に「そういう箱」に入れてしまうのが得策です。必要以上にへりくだる必要はなく、「そういうもの言いしかできない人」「そういう考え方しかできない人」と割り切って、理性的・合理的な対応を心掛けましょう。あなたの大切な「心」を、そんな人のために傷つける必要はないのです。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) /『すぐに使える! 教養の「語彙力」3240」(西東社) :