テーブルにおいしいワインがあれば、お料理の味わいもグンとアップします。いつもの食卓がレストラン級になる1本をご紹介しましょう。ジョエル・ロブションがフランス南西地方の有名生産者「アラン・ブリュモン」とコラボレーションしたワイン「ジョエル・ロブション シューム・ジュール」です。
アラン・ブリュモンという造り手を初めて耳にする方も多いかもしれません。大西洋とピレネー山脈にほど近い南西地方に畑とワイナリーを構える優れた生産者で、タナという黒ブドウから造るしっかりとした赤ワインや、近年あまり栽培されていなかったプティ・クルビュというこのエリア固有の品種を復興させて、飲みごたえのある白ワインを造っています。ワインメイクングのプロセスで人工的な介入をできる限りすることなく、さらに長期熟成させた高品質なワインは、世界中のソムリエやジャーナリストなどプロが一目置くほど。かのトム・クルーズが自家製ジェット機でワインを買いに来る、というのも有名な話です。
ジョエル・ロブションが、自らの名前を冠したワインを造るにあたり、パートナーとしてアラン・ブリュモンを選んだ理由はもうひとつあります。それは、ドメーヌが、美食材の宝庫であるペリゴール地方に位置することです。食通が愛して止まないフォアグラや、上質な胸肉で知られるマグレ鴨、芳醇なトリュフ。ペリゴールはフレンチに欠かせないこうした素材の産地でもあり、世界中のシェフが熱い眼差しを寄せる、ガストロノミーと縁が深い場所。古くから、高級食材を用いた料理とともにワインが楽しまれてきました。ジョエル・ロブションが注目するのは当然だといえます。
このワインのお披露目のために、現当主のアラン・ブリュモン氏と後継者である若き醸造家、アントワン・ヴェイリーが来日。ロブション・ファミリー代表のルイ・ロブション氏とともにプレゼンテーションを行いました。親日家でもあるブリュモン氏は、「私たちにとって日本は大切なマーケット。古来より洗練された伝統文化と独自の食文化を継承してきた日本の人たちに、ロブション・ファミリーとともに造った私たちのワインを紹介できることをとても嬉しく思う」と、日本に親しみを込めたスピーチを自ら披露したのです。
醸造家のアントワン・ヴェイリー氏がジョエル・ロブションのために造ったワインは4種類。スタンダードレンジ、プレステージキュヴェがそれぞれ2アイテムあり、グルメな皆さんにはいずれも知っていただきたいラインナップです。スタンダードレンジの白と赤は、この地域固有のブドウから造られたワインで、産地のテロワールを色濃く反映しています。プレステージラインの2アイテムは、畑にほんの少しだけ植えられているシャルドネとピノ・ノワールを使った、とても貴重なワインなのです。いずれも、ジョエル・ロブショングループのレストランのハウスワインとして提供されるほか、小売店やECサイトで入手することができます。
伝統品種の個性を表現した、産地を知ることができるワイン
スタンダードレンジのワインは、白は「パシュラン・デュ・ヴィク・ビル」、赤は「マディラン」という名前がつけられています。主体となるのはそれぞれ、プティ・クルビュとプティ・マンサンという白ブドウ、タナとカベルネ・ソーヴィニヨンという黒ブドウです。
プティ・クルビュというブドウはこの地方でかつて多く見られながら、生育が遅く栽培が難しいことから畑が減少していました。しかしブリュモン氏は、きちんと成熟すると素晴らしい実をつけるとして大切に育て、植樹面積を増やしてこのブドウを復興させたのです。できたワインは清涼感があり、食事のスタートにふさわしい、チャーミングな味わいです。
タナはワインの味わいの大切な要素である「タンニン」の語源となった品種。しっかりとした渋みがあり、これが豊富だと熟成ポテンシャルも高くなります。ともすると粗野な印象になりがちなのですが、アラン・ブリュモンではこのブドウを巧みに用いて、エレガントかつ上質に仕上げるのが得意。今回のコラボワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランをブレンドしてバランスよく仕上げました。
エレガントなブルゴーニュ品種を使った、希少なファミリーリザーヴ
今回、話題になっているのがこのプレステージレンジです。マディランの名手であるアラン・ブリュモンがブルゴーニュ原産のシャルドネとピノ・ノワールをリリースしたことで、ソムリエやワインジャーナリストも注目しています。この品種はレストランのワインリストでもおなじみですから、シャルドネというブドウからできたワインを、一度は味わったことがあるのではないでしょうか。
ロブション・ファミリーがワイナリーを訪れた際に供されたのがこのシャルドネでした。ゲストをもてなすためにほんの少しだけ造られており、商品にするためのものではなかったのですが、ロブション・ファミリーはこのエレガントで熟成された味わいの虜になったのです。樽で1年熟成させたあとさらに8年間の瓶内熟成を経てゴールドに輝く色合い、リッチでまろやかな味わいに仕上がっています。
赤ワインは、世界中のワインラヴァーが愛して止まないピノ・ノワール100%。ドメーヌが所有する畑にはさまざまなテロワールがあり、ピノ・ノワールに適した石灰岩土壌の部分にのみ、これを栽培しています。ピノ・ノワールをピュアでエレガントに仕上げるためにステンレスタンクのみで発酵・熟成。ブドウ本来のピュアなフレーバーと奥行きが表現された、上品で美しいワインです。
「ジョエル・ロブション」シェフ・ソムリエ 高丸智天氏おすすめのペアリング
1. ジョエル・ロブション ブラン シュームジュール by アラン・ブリュモン(白・辛口)
熟れた柑橘やハーブのアロマ。柔らかなアタックと飲み心地のよいジューシーさがあり、スターターにぴったり。白身魚のタルタルやスモークサーモン、カプレーゼと。
2. ジョエル・ロブション ルージュ シュームジュール by アラン・ブリュモン(赤・フルボディ)
プラムやダークチェリー、時間が経つとキャラメルやコーヒーのフレーバー。酸とタンニン、果実味のバランスがよい。ローストビーフや煮込料理、スペアリブなどと一緒に。
3. ジョエル・ロブション シャルドネ シュームジュール by アラン・ブリュモン(白・辛口)
カリンやアプリコット、メロンの香り、ローストアーモンド。リッチなアタックと穏やかな酸味、長く続く余韻。シーフードのグラタンやチキンのクリーム煮、オマール海老のローストなどと合わせて。
4. ジョエル・ロブション ピノ・ノワール シュームジュール by アラン・ブリュモン(赤・フルボディ)
ラズベリーやチェリー、スミレのチャーミングなアロマ。スリムだが骨格はしっかりしており、繊細な酸とピュアな果実感。鴨肉のコンフィ、キノコのリゾット、豚のリエットなどにマリアージュする。
ロブション・ファミリーが認め、惚れ込んだグルメ食材のエリアで造られるワイン。話題性も十分で話が弾むことも間違いありません。レストランに行った気分にもなれるこんなワインを知っていれば、おいしい時間がさらに豊かなひとときになるのではないでしょうか。
※商品の価格はすべて税込みです。
問い合わせ先
- 三国ワイン TEL:03-5542-3939
- EDIT&WRITING :
- 谷 宏美