「幸薄い」はそのままの意味で捉(とら)えれば、「不幸な」「不幸せそうな」様子を表しますが、実際に使われているニュアンスとしては、「控えめで儚げな印象」を表すことが多い言葉です。今回は「幸薄い」の意味と「幸薄い顔」の特徴、男性からの人気の秘訣について解説します。
【目次】
【「幸薄い」とは?「読み方」「意味」】
■読み方
「幸薄い」は「(さちうす)い」と読みます。そのまま読むだけなのですが、「幸」を「幸福」で見なれている「幸」を「こう」と読んでしまうと、次の「薄」は「はく」と読んでしまいたくなり、「こう…はく…い? あれ、違う、こう、うすい?」???となってしまいがちです。
■意味
「幸薄い」とは、「不幸せな様子」を意味する言葉です。
「幸」には、「しあわせ」「幸福」のほか、「思いがけない幸運」といった意味があります。「薄い」には「程度がはかばかしくない」「貧しい、恵まれない」という意味がありますので、「幸薄い」で「幸が少ない様子」、つまり「不幸せな様子」となるのです。ただし、現在使われている「幸薄い」には、ここまでネガティブな意味合いはなく、「控えめで儚げ」といったニュアンスで使われることが多いようです。
【「幸薄い顔」とはどんな顔?具体的な「特徴」9】
「幸薄い顔」を「不幸そうな顔」「幸せそうに見えない顔」「運が悪そうな顔」といった意味で解釈すれば、「寂しそうな印象の顔」という言葉に集約できます。
■顔色が悪い
■笑顔が少ない
■口角が下がって表情が暗い
■八の字眉
■うつむきがち
■あまり人と目を合わせない
■痩せている
■目鼻口のパーツがそれぞれ小さい
■メイクが薄い
いかがですか? 「幸薄い印象」を構成する要素といえば、つい「生来の顔立ち」を考えてしまいますが、実は表情やメイクが大きな影響を与えています。そのほかにも、地味な服装や暗い雰囲気、か弱い声など、その人の醸す全体の佇まいから、周囲は「幸薄そうな」印象を受け取るのです。そう指摘されて気になっている人は、仕草や姿勢なども含め、自分で少し意識して気を付ければ、改善できる余地は十分にありそうですね。
【似た意味の「類語」「言い換え」表現】
「幸薄い」を「不幸そうな」と、そのままの意味で捉えた場合の「類語」をいくつかご紹介しましょう。
■薄幸な
「不幸せなこと」を意味する「薄幸」は、一時的な出来事には使わず、人の一生や境遇などを客観的にマイナスに判断したときに用いられる言葉です。
■不運な ■非運な ■悲運な
「不運」は、運が悪いことを広く表現する際に、人の力ではどうしようもないという気持ちを込めて使われることが多い言葉です。「非運」は、努力しても運が開けないことを意味し、「否運」とも書きます。また、「悲運」は、悲しい運命。「生き別れの悲運」「悲運の死」など、悲しいと判断する状況を示す言葉と一緒に使われることが多い言葉です。
では、「幸薄い」を「儚げ」「控えめ」「物静か」といった意味で捉えると、どんな「類語」があるでしょうか。
■美人薄命
美人に生まれついた人は、とかく不幸せだったり、病弱で早死にしたりすることが多いことをいうたとえ。実際に特定の誰かが不幸であるとか寿命が短いことを言うのに使うわけではありませんので、念のため。「佳人薄命」とも。
【「幸薄い顔」がモテるといわれる理由は?】
「幸薄い顔」の女優代表といえば、木村多江さんでしょう。確かに元気溌剌! という印象ではありませんが、美人で品がよく、凛とした雰囲気も感じられるにもかかわらず、幸薄そうなイメージが強いですね。「幸薄い顔」がモテるのは、実はその人の顔立ちが「不幸そうに見える」からではなく、悲運に見舞われた状況、逆境に耐える表情が際だって美しいからではないでしょうか。具体的には、華奢で儚げ。派手な顔立ちよりは少し寂しげで端正な顔立ちが、逆境には似合います。
「幸薄い顔」という言葉にポジティブな響きはありませんが、それが具体的には「華奢で儚げ、少し寂しげに見える端正な顔立ちの女性」であるならば、随分と受け手の印象が変わりますね。どこかミステリアスで魅惑的。特に男性にとっては「守ってあげたい」女性のイメージにぴったりともいえるのではないでしょうか。
「幸薄い顔」は言葉通りの意味に捉えれば「不幸そうな顔」ですが、現在使われている言葉のニュアンスとしては、必ずしも悪口ではありません。とはいえ、「幸薄い顔」の女性が男性からモテるのは、「一見、地味そうに見えて、実は端正な顔」「裕福そうではないが、上品」「悲運に襲われても負けない芯の強さ」など、相反する要素を内包している場合に限定されそう。少なくとも、「清潔感」と「品のよさ」は必要不可欠と言えるでしょう。
【「反対語」は?】
最後に、「幸薄い」の反対語をチェックしてみましょう。
■多幸感のある
「多幸感」は「非常に幸せな感じ」を表す言葉です。
■福々しい
「福々しい」とは「いかにも福に恵まれているような様子」のことです。
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たとえば、いきなり人から「幸薄そう」と言われたら、ショックですよね。でもこの記事を読めば、「幸薄い顔」は生来備わった要素以上に、表情やメイクの印象などが大きな割合を占めていることがおわかりいただけたと思います。そして実は「幸薄い顔」は男性の「守ってあげたい」願望を刺激し、結果的にモテる要素のひとつでもあるのです。自分の個性を上手く生かして、「不幸そうな」ではなく、「ミステリアスで儚げな」女性を目指してみてはいかがですか。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :